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引退するのを忘れそう? 堀江翔太の向上心。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 もうすぐ辞めると決めたのに、そのことを忘れてしまうことがある。日々、上手くなろうと努力し続けているからだ。

 ラグビー日本代表として4度のワールドカップに出場した堀江翔太は、12月中旬からのリーグワン1部開幕を前に今季限りでの引退を表明。所属する埼玉パナソニックワイルドナイツのフッカーとして、3月9日には本拠地の熊谷ラグビー場で東芝ブレイブルーパス東京との第9節をおこなう。全勝対決として注目される。

 試合前最初の練習をした5日、クラブハウスで取材に応じた。意気込みを語る流れで、最後の最後まで向上心を保つ決意を明かした。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——次に戦うブレイブルーパス。好調です。

「ね。若手が育ちながらも、すごくいい選手が2人、入っている。それがいいんじゃないですか」

——今季のブレイブルーパスには、昨秋にニュージーランド代表として決勝までワールドカップフランス大会の決勝に進んだリッチー・モウンガ(スタンドオフ=10番)、シャノン・フリゼル(フランカー=6番)という両選手が入っています。2人の加入で強くなったという見方は、間違ってはいないけど正確ではない。

「そうですよ。いい若手がたくさんいっぱいいるんじゃないですか。それをうまく使えるような10番、6番が前進させて、若手がやりやすいようにしている」

——このチームのアタックを止めるには。

「東芝は、Xファクターの選手がゲイン(突破)して、成長している若手がトライまで持っていくというような感覚ではある。それに対して、1 週間、準備したいなと思います。もちろん、その(ブレイブルーパスの伝統的な持ち味である)フィジカルという部分も落とさずに持っていると思うので、そこも負けたらあかんなと」

——「Xファクター」に位置する選手が、防御の薄くなりやすい大外に構えているのが興味深いです。

「強い奴、速い奴が外におったりする。フィジカルだけではなく、スキルも使ってくる。ディフェンスも整備されていて、何か、意図をするディフェンスもしてくる。バランスの取れたチームじゃないですか」

——旧トップリーグから通算して多くの名勝負を演じたライバルの「東芝」。このチームとレギュラーシーズンで試合をするのは、次が最後では。

「あ、そっか。そうすね」

——言われるまでは、気づかない。

「あ、そうすね。意識すると…。この前、『(プレーオフの)決勝まで行って、あと10試合か』という時があったんですけど、数を見ると『もう、終わるなぁ』と思う」

——そう考えることは、よくない感覚があるのですか。

「いやいや。ただ、(カウントダウンを意識すると)『あと少しやから、頑張らなあかんな』という思いになるので…」

——それよりは、週末の試合に向けて今週の準備をしようと考えるのがよいのですね。

「そうですね。僕が色々ラグビーを経験してきたなかでは、本当に一戦、一戦、どれだけ達成するかというのが一番、当てはまる(しっくりくる)。先を見ずに、一戦、一戦、用意してきたことを出すのが大切だと思います」

——いま、目標にしていることは。

「僕にとっては、シーズンの全部が『最後の試合』になるので、体調を崩さず、怪我をせず、全試合、出たいなと。もちろんチームの出す、出さへん(選手選考)はあると思いますけど、なるべく試合は出たいと思いますし、どのプレーに対しても、『これでいいや』と思わず、いろいろチャレンジしたいことはチャレンジして、最後でも成長できたらいいかなと思っています」

——先の第8節でも、対する静岡ブルーレヴズの走者を止めまくっていました。

「フィジカルの部分も、去年よりよくなっておかなあかんし、ブレイクダウンでも、ロッキー(チームメイトのラクラン・ボーシェー)の教えをもらったりとかして、それを意識しながらやっていますね。そうするから、引退するって言ったけど、そんなことを忘れることが多いですね」

——辞めると自分で決めたとて、まだまだ上手くなりたいんですね。

「最後まで走り切りたい、やり切りたいという気持ちが強いので。『ここでもういいや』と止めるのは上を目指そう、優勝しようとしている周りの選手に申し訳ない。行動で、伝わる部分もあります。あと、中途半端な思いでするのも怪我に繋がりそう。だから、やっぱり、やり切りたい」

 大阪府出身。島本高校、帝京大学、現埼玉パナソニックワイルドナイツのほか、オーストラリアのレベルズや日本からスーパーラグビー参戦のサンウルブズでもプレー。世界中で異彩を放ってきた38歳が現役生活最高のパフォーマンスを披露するのは、今季のプレーオフ決勝かもしれない。

取材日の堀江(筆者撮影)
取材日の堀江(筆者撮影)

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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