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エディー・ジョーンズが気になった好プレーとは?/リーグワンD1・第5節ベスト15【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
スピアーズの藤原(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 椅子から離れる。テーブルの前に立ち、身振り手振りを交える。着席している際も、話の内容を表現すべく目の前に並ぶ瓶を持ち上げたり、置き場所を変えたりする。

 今年から日本代表のヘッドコーチになったエディー・ジョーンズがメディアブリーフィングに応じたのは、国内リーグワンの第5節が終わって間もない1月15日のことだ。

「アプローチはチョウソク(超速)ラグビー。日本のラグビーの核となるアイデンティティです。南アフリカ代表が試合をする時、必ずフィジカルなゲームになる。ニュージーランド代表もでかく、カウンターアタックが得意だとわかる。そこで、日本代表は速くプレーする。『それが日本代表だ』とわかるスタイルに変える」

 極めたいのは、万事における速さだという。足の速さはもちろん、判断の速さ、タックルをする瞬間に姿勢を低くする速さ、負荷がかかるなか次のプレーに移る速さ…。

「クボタと神戸の試合ですごくいい例があったんですが…」

 こう切り出したのは、キックの使い方について聞かれた時のことだ。

 当該のシーンは14日にあった。クボタスピアーズ船橋・東京ベイの藤原忍が、兵庫・ノエビアスタジアム神戸でのコベルコ神戸スティーラーズ戦で繰り出したプレーのことだ。

 キックオフ早々に敵陣深い位置で攻撃権を得るなか、左中間のラックから球を持ち出しショートサイドと呼ばれる狭い区画へ直進。飛び出す防御の裏側へ低い弾道を放ち、それを追ったスピアーズのチェイスラインが捕球役を捕まえた。

 そのままペナルティーキックを奪い、直後の先制トライに繋げた。

 ジョーンズは続ける。

「このように、ボールを獲り返すためのキックがしたいです。キック後のディフェンスはゲームにとって重要。学ばないといけないスキルです。まず、キックでプレッシャーをかけていくことをしないといけない」

 走るか、パスをつなぐか、スペースに蹴るかの判断、ボール保持者の選択への反応にも、組織的な速さを涵養させたいのだろう。

 本欄では有料版、無料版でジョーンズの談話を共有予定。今回は第5節を振り返る。

リーグワン ディビジョン1 第5節 結果

三菱重工相模原ダイナボアーズ 21―81 埼玉パナソニックワイルドナイツ

静岡ブルーレヴズ 25―29 東京サントリーサンゴリアス

横浜キヤノンイーグルス 24―8 リコーブラックラムズ東京

花園近鉄ライナーズ 14―47 トヨタヴェルブリッツ

コベルコ神戸スティーラーズ 34―38 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

東芝ブレイブルーパス東京 40―12 三重ホンダヒート

リーグワン ディビジョン1 第5節 私的ベストフィフティーン

1,中島イシレリ(コベルコ神戸スティーラーズ)…スクラムではフッカーの松岡賢太とともに相手の右プロップへ圧をかける。向こうのフッカー、左プロップを蚊帳の外へ追い出した。コンタクトシーンでも存在感。

2,デイン・コールズ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…スクラムはやや苦しんだもののバックスペースへのカバー、自軍キックオフ後のタックルとフィールドで存在感。

3,細木康太郎(東京サントリーサンゴリアス)…前半途中に急遽出場から、スクラムを安定させて一時勝ち越しに繋がる突進を披露。

4,ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)…チョークタックル、ラインアウトの防御、モールディフェンスで魅した。

5,ルード・デヤハー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…長距離を走ってのキックチャージ、突進。

6,ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…相手のミスを誘うタックル、鋭いジャッカル。

7,佐々木剛(東芝ブレイブルーパス東京)…強烈なラン、自陣でのターンオーバー。

8,アーディ・サベア(コベルコ神戸スティーラーズ)…突進力、ジャッカル、チョークタックル。

9,藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…得点機に落ち着いて差配するうえ、相手キッカーへの圧力も見事。

10,リッチー・モウンガ(東芝ブレイブルーパス東京)…ラインの深さを適宜、変えながら自らつぶれ役となったり、大外の空間を活用したり。

11,木田晴斗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…キック捕球後、迫る圧をいなして前進。自らも左足で長距離砲を放ち、中盤でのチェイスラインでは広範囲にわたってランナーをチェック。

12,ヴィリアミ・タヒトゥア(静岡ブルーレヴズ)…強烈な突進。

13,ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…防御でのファインプレーを大きな成果に繋げる。

14,チェスリン・コルビ(東京サントリーサンゴリアス)…1本、タッチラインの外へ出されるも、わずかな隙間をえぐる鋭い走りは圧巻。防御でも光った。

15,野口竜司(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…ウイングで登場。キックの捕球とその後の軽快な走り。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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