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どうしてノンキャップ5名? 指揮官ジョセフが説く。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
左が長田、パスをするのが齋藤直人、その真上が福井(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表は7月8日、東京・秩父宮ラグビー場で今年の初戦をおこなう。

「JAPAN XV」名義で対オールブラックス・フィフティーンとの2連戦初戦に臨む(15日の2戦目=熊本・えがお健康スタジアムは日本代表として挑む)。6日に8日の登録メンバーを発表した。

 顔ぶれは以下の通りだ。

1,クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/10/29・9

2,堀越康介(東京サントリーサンゴリアス)…175・100・1995/6/2・7

3,垣永真之介(東京サントリーサンゴリアス)…180・115・1991/12/19・11

4,ジェームス・ムーア(浦安D-Rocks)…195・110・1993/6/11・13

5,アマト・ファカタヴァ(リコーブラックラムズ東京)…195・118・1994/12/7・0

6,リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)…189・113・1988/10/7・78 ◎

7,福井翔大(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・101・1999/9/28・0

8,ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…187・112・1997/1/20・5

9,齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)…165・73・1997/8/26・11

10,松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…181・92・1994/5/3・29

11,セミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ)…181・93・1992/6/9・2

12,中野将伍(東京サントリーサンゴリアス)…186・98・1997/6/11・6

13,ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・102・1997/5/2・10

14,ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)…177・95・1994/4/12・0

15,松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)…178・88・1993/2/26・47

16,堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1986/1/21・68

17,シオネ・ハラシリ(横浜キヤノンイーグルス)…180・120・1999/10/15・0

18,具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)…183・117・1994/7/20・21

19,ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…195・110・1994/10/13・12

20,姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)…187・108・1994/7/27・25

21,流大(東京サントリーサンゴリアス)…166・75・1992/9/4・30 ◎

22,小倉順平(横浜キヤノンイーグルス)…172・82・1992/7/11・4

23,長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…179・90・1999/11/25・0

 常連組を重用する傾向の強い現体制下にあっては、非テストマッチとはいえノンキャップ(代表戦未経験者)が5名という構成はチャレンジングに映る。

 この発表を踏まえ、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが会見した。

 2016年秋に就任し、19年のワールドカップ日本大会で8強入りした指揮官は、今季初戦となる次のゲームへどう臨むのか? メンバー選考の意図と背景は? 質疑を通し、展望が伝わった。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——リーグワン新人賞の長田智希選手に期待することは何ですか。

「ワールドカップまで2カ月あると理解しています。長田はリーグワンで一貫性あるプレーをしてくれました。彼がこの試合を経験してどれだけステップアップしてくれるかを見たくて、起用しました。彼だけではなく、福井翔大、ジョネ・ナイカブラ、シオネ・ハラシリも、それまでいた場所とは違うプレッシャーがかかるなかでプレーできるかを見たくて、メンバーに入れています」

——若手にとっては数少ないチャンスという位置づけですか。

「強い相手にどんなプレーをするかは見てみたい。ワールドカップまでの計6ゲームで、これから試合はどんどんタフになります。彼ら(長田、福井ら)に出場機会を与えることを重点的に考えます。その他、ワイダートレーニングスコッドもいます。自分たちとしてはバランスを見ながら(若手に)機会を与えたい」

——松島選手はキャンプからフルバックでプレーしています。それまで代表ではウイングをすることが多かったですが。

「私が日本に来てから、松島はあまりフルバックでプレーしていなかったです。右ウイングが多かった。ただ、いまの代表には新たなウイングが入っています。松島は所属するサンゴリアスではフルバックとして一貫性があると評価しています。

 同時に、計6試合において色んなコンビネーションを試したいところもある。ウイングでは、木田晴斗は怪我から順当に戻っているところではあります。今回はナイカブラを交えて、です」

——リーチ選手と流選手が共同主将を務めます。

「最初に明確にしておきたいのは、日本代表には経験のある選手がたくさんいます。このレベルでできる主将が、たくさんいる。

 リーチはずっと代表の主将(ワールドカップでは2大会連続)をしてきたし、流はサンウルブズ、サンゴリアスなどで主将をしています。

 また、いまのラグビーでは、試合の最初に主将として出場した選手が、最後までグラウンドにいないケースもある。大事な時間帯に主将がいないとなると、他の選手にプレッシャーがかかる。今回、流は、怪我がない限り後半からフレッシュな状態で出る。そして、チームを引っ張る。そうするために、共同主将制を採用しました」

——共同主将制は、ワールドカップでも継続する考えですか。

「ワールドカップでも同じようにはすると思いますが、確実にそうだとは言えません。ワールドカップのメンバーは33名。人数は絞られます(現在は36名に加え候補選手も10名)。パシフィック・ネーションズカップ(7月中旬~8月上旬)が終わった段階で判断します」

——この試合で期待したいプレーは何ですか。

「セレクション。選手たちに機会を与える。リーグワンで活躍した選手がステップアップできるか(を見る)。メンバーのなかには経験のある選手もいて、その選手が後半から出てくるところもある。(経験者と新参者の)バランスを考慮して作ったメンバーです。実際、そこまで(チームの)プランを遂行できないとは思いますが、これがスターティングポイントだと考えています。

 もっとも重要な部分はメンタリティです。相手チームは、オールブラックスに入りたい。すでにオールブラックスになったことのある選手もいます。いい試合をしたいモチベーションは高い。彼らの発揮するフィジカリティにどれだけ対抗できるかを楽しみにしたい」

——小倉順平選手はスタンドオフ(10番)とフルバック(15番)を兼務できます。

「順平は過去(2017年)にスコッドに入っていた選手です。10番でプレーしたことがあります。彼がイーグルスで15番だったのは、10番に田村優(日本大会時の正司令塔)がいたからでしょう。

 メンバーを絞り込むなか、たくさんのポジションをカバーできる選手の存在は重要です。彼はイーグルスでもいいプレーをしていて、10、15番ができます。私のなかでは10番として見ていますが。ゴールキックも蹴られますし、彼は自信を持ってプレーしてくれる。強いニュージーランドの選手たちを相手に彼がどれくらいできるか、見てみたいです」

——堀江翔太選手、松田力也選手といった昨秋、参加しなかった主力候補への期待は。

「経験のある選手として彼らのことを見ています。目立った存在だと思っています。彼らはリーグワンでも活躍し、存在を活かしていた。

 堀江はもうそこまで若くはないですが(37歳)、ワールドカップでは彼の経験が必要です。力也は去年の怪我から戻り、一貫性を持ってプレーできるかを見ている。いままで合宿を見ていたら、よくなってきている。2人ともワールドカップへ大事な選手になってくる」

——本当はプレーさせたかったけど、コンディションの観点から出場を見合わせた選手はいますか。

「怪我で離脱しているのは木田です。ポテンシャルのある選手。天性のプレーヤーです。リーグワンでも一貫性のあるプレーをしていたので、彼に機会を与えてみたかった。ただ、まだまだ試合はある。彼の出る機会はあります」

——22、23番の選手はたくさんのポジションができるバックスの選手が入っているような。ワールドカップでもそうするつもりですか。

「フォワードでも、バックスでも、色々なポジションをカバーできる選手がいたら起用しやすいと、自分のなかでは考えています」

 これらのやりとりにおいて、選考基準に関する本質的な言及は「バランスを考慮」であろう。

 ジョセフは今回、先発にはリーチ、齋藤、松島ら、リザーブには姫野、流と要所に常連組をちりばめながら、5名のノンキャップを含むレギュラー予備軍を起用している。

 チームの戦い方を貫くべしという従来のスタンスを保ちながら、試されるべきタレントへチャンスを与えている。

 ジョセフが再三、口にする「プレッシャーがかかるなかでプレーできるか」は、普段と異なる空間で普段通りの力が出せるか、という意味合いだろう。

 国内リーグよりも強度が増すゲームにおいて、フィジカリティで引けを取らないか、ミスを重ねずにいられるか…。これらに注視されたい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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