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報道陣が猛練習を「見たい」と直訴。稲垣啓太の反応は?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ハードトレーニングの直後に取材に応じる(写真は16日/筆者撮影)

 出場すれば自身3度目となるワールドカップのフランス大会を今秋に控え、ラグビー日本代表の稲垣啓太は史上最大級と言えるハードな鍛錬に取り組む。

 6月12日からの浦安合宿において、ジョン・ドネヒュースポットコーチのタックルセッションに参加した。

 約1時間、休憩なしでひたすらぶつかり合うセッションについて、取材対応のたびに報道陣へ解説。始動日から約2週間で終了したこのメニューを、本来ならば「見て欲しい」くらいだと話していた。

 本稿では16、26日の所感を紹介する。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

<16日、例のセッションが佳境に突入したタイミング>

「…こういうことがチーム作りという例って、あまりないと思うんです。特にインターナショナルのチームでは。だって、それぞれの国によって文化が違うし、それがどう出るかもそのチーム次第。だから、どこの例に倣うということはないんです。自分たちで作り上げなくてはいけない。それはもう、皆、わかっているんです。

 日本代表と言っても色んな国の文化を持つ選手が集まっている。それをどう『OUR TEAM』(現在のチームスローガン)として昇華させるか。

 複雑には考えていないです。朝、色んな人と会った時に挨拶ができるか。皆、もうね、めっちゃ疲れていて、死にそうな顔をしているんですよ。ゾンビみたいな。そういったなかで目と目を合わせ、シェイクハンズして『今日、頑張ろうな』とできるか。それをスタッフともできるのか。

 人によって壁を作っちゃいけないですよね。ラグビーは、練習は、ひとりじゃできないですし、レビューはひとりでしても意味ないんです。ひとつのプレーには人が関わっていているわけで、関わっている人と一緒にレビューしないと、意味がないんです。そういう意味では、相互依存し、一緒にやることで信頼感、責任感が生まれる。そうした日々の積み重ねですよね」

——ドネヒューのセッションは。

「皆さん、1回、『あそこ(セッションがある白いテント)』のなかを見た方がいいですよ」

——本当は見たいのですが。

「…いや、とてもお見せできる内容ではないんです。

 あのテント内で、裸足でやる。指ももげます。

 コンタクトエリアで何が大事か。最初のポジショニングで7割が決まる。その後、相手をどうコントロールするか。左右に振られないためにはどうするか。…『あそこ』では、ジャージィを掴んじゃだめなんですよ」

——相手の肉体を掴まないと、振り切られる。

「ジャージィ掴んで、何ができるのと。その時点で(事前に)ポジショニングには入れていないんです。それを、どう、一番、うまく、速く、やるか。カオスです」

——見たいです。

「まぁ、おすすめはしません」

<26日、例のセッションの最終回の翌週>

——今日の公開練習では、何名かが顔に大きな絆創膏を貼っていました(稲垣は見た目上は無傷)。

「タックルセッションが激しすぎて、切り傷、擦り傷ができたんです。(セッションの模様は)YouTubeにあがってましたよね? …フォワードのやつではないですが。

 見たまま。あれは相撲なんですよ。前のめりになったら叩き落としても、首を絞め閉めあげてもいいというルールです。

 まぁ、傷なんて、ラグビーやってりゃすぐできますから。別に、大丈夫だと思います」

——先週までのセッションでできた傷ということですね。

「はい。2日の休みじゃ、治らないですよね」

——稲垣選手の体重の増減は。

「増えて、下がって、というのはありました。あのタックルセッションをやって、身体がでかくなったという選手はいました。何でレスリング選手が戦闘体型になるのかがわかった…と。

 ジャージィを掴んではいけない。身体をスクエアにして、相手を正面で捉えて、ホールドしろと言われました。それをしようとすると、全身の筋肉を使うんです。それで結構、大きくなったという人が多かった。僕はトータルでの変化はなかったのですが、身体、張ってるなぁという感覚はありました」

 今回の日本代表は、ワールドカップ優勝を目指している。高い目標を掲げる背景について、稲垣はこう話している。

「自然と、ですね。僕はずっと言っていましたけど。個人的な考えですが、勝負で一番上を目指さない理由がわからない。わかりますよ、(8強入りした)前回大会よりひとつうえの目標でベスト4というのも、でも、それでは負けて終わるじゃないですか。理解はできるけど、納得はできない。そこ(頂点)を目指すのは当然で、でないとあがっていけない」

 トップを目指すマインドは、別な場所でも強調していた。変わらぬ心構えでハードワークを重ねる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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