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「ニュージーランドのスタンダードが落ちかねない」。リッチー・モウンガの警鐘。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
新天地のジャージィをまとうモウンガ(筆者撮影)

 オールブラックスことニュージーランド代表で44キャップ(代表戦出場数)を獲得したリッチー・モウンガが、1月6日、来季から加入する東芝ブレイブルーパス東京の入団会見に出席。自国の規定に警鐘を鳴らす一幕があった。

 モウンガは切れ味鋭いランが魅力のスタンドオフ。ブレイブルーパスには同じくオールブラックスで、フランカーを務めるシャノン・フリゼルとともに加わる予定だ。契約年数は3年見込みと言われる。

 ニュージーランドには自国でプレーする選手でないとオールブラックスになれない仕組みがあり、現役のオールブラックスが来日する際はサバティカル(※)を利した1年契約でプレーしていた。

※サバティカル=もともとは長期契約者向けのまとまった休暇という意味。ここではニュージーランド協会と契約するオールブラックスの選手が1年間、海外でプレーできる制度を指す。

 以下、共同会見時の一問一答(編集箇所あり)

——日本のチーム、ブレイブルーパスを選んだ理由。

「日本に来ることは自分の夢でした。数年前、海外でプレーしたいと思うようになり、日本に来たい理由は素晴らしい、美しい国であり、素晴らしい人がいて、景色も素晴らしいからです。2人の子どもと妻、自分にとって一番いい判断だと思っています。文化も学んで、自分自身ができる全てを東芝に捧げたい。

 コーチだけではなく選手もこちらで活躍しています。それは、(リーグワンが)今後どんどん素晴らしくなるのではということを表している。多くの外国人、コーチが参加に興味を示しているのは、未来があるからです。

 日本のリーグワンの成長は著しいと思っています。日本のラグビーがワールドカップ(2019年の日本大会)後に発展したのは、彼らの力があったから。東芝はこれまでも成功してきたチームだと知っています。誇れる歴史を持ったクラブだと知っています。

 ここ数年、(リーグの)競争力が上がってきているのも認識しています。私の出身地であるクライストチャーチからも多くの選手が入っていることが、東芝を気に入る理由になりました」

——長期契約のわけは。

「(推定される)3年契約は優勝のためのチャンスを与えられたという理解です」

——ニュージーランドには、自国でプレーしている人しかオールブラックスになれない仕組みがあります。そんななかモウンガさんは今回、日本のチームと複数年契約を結びました。2027年のワールドカップへの出場についてはどのように考えていますか。

「まだ東芝に来てもいない段階ですので、いまのことに集中したいのが正直なところです。東芝と契約する前には、その前のクラブで自分がどうするかに集中していました。ですので、東芝にいる間の唯一のゴールは東芝の優勝です」

——国内制度の変更を求めるつもりはありませんか。

「ニュージーランドも他国に合わせて順応すべきだと思っています。でないと、いい選手がもっと早いタイミングで離れて国を代表することができなくなる。日本に来るニュージーランドの選手の数も年々、増えています。変化に順応しないと、ニュージーランドのラグビーのスタンダードは落ちかねない。国を代表したい選手も多いと思いますが、ラグビーを引退した後のことを考え別の国でプレーしたい人も増えている。変化は必要です」

 記者の質問に応じる形で問いを投げかけたモウンガだが、おもに強調したメッセージは「自分のコントロールできることに集中する」。2023年のワールドカップフランス大会を前に各国代表の指揮官が変わるなか、世界の勢力分布図がどうなりそうかと問われてもこうだ。

「いままでで一番、競い合う競争になっている。皆さんが見て楽しむには素晴らしいものになるでしょう。個人としては、先を見すぎないようにしています。まずオールブラックスに選ばれるよう(現所属先で)毎週、毎週、フォーカスしてプレーする。それが仕事です。これまでもそうしてきた。まず自分自身のパフォーマンス、自分のコントロールできることに集中します」

 ブレイブルーパスに合流するのはフランス大会後だ。「まずフィールド上では成功をもたらす。東芝らしく勝つ。魅力的なスタイルで勝つ。高いレベルの考えが現れたようなラグビーをする。同時に、選手が見たものに対して自由に反応し、表現できるラグビーを目指したいです」と意気込んでもいた。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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