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JAPAN XV選考背景。指揮官の「我慢」とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
松島は今回も圧巻の走りを披露するか。(写真:つのだよしお/アフロ)

 来秋のワールドカップフランス大会を見据えるラグビー日本代表は、10月8日、福岡・ベスト電器スタジアムで対オーストラリアA・3連戦の第2戦をおこなう。

「JAPAN XV」名義でおこなう今度のシリーズでは、1日、東京・秩父宮ラグビー場で初戦をおこない、22―34と敗れている。8日の初勝利に向け、6日、当日の登録メンバーを発表した。

 2戦連続でのスターターはナンバーエイトのリーチ マイケル、フランカーの下川甲嗣、ウイングのシオサイア・フィフィタら9名。同初戦でリザーブだった姫野和樹、松島幸太朗がそれぞれフランカー、ウイングで先発に回った。

 右足首を負傷していたスタンドオフの李承信、松島や姫野らとともに今夏の活動を辞退していたインサイドセンターの中村亮土も、フィールド上でキックオフを迎える。中村は、首を手術してから初の実戦となる。

 同日、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが会見した。

 以下、メンバーリスト及び共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

背番号,名前(所属先)…身長・体重・生年月日・キャップ(代表戦=テストマッチ)出場数 ◎=キャプテン

1,クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/10/29・6

2,坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1993/6/21・30 ◎

3,垣永真之介(東京サントリーサンゴリアス)…180・115・1991/12/19・11

4,ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)…201・117・2002/4/11・4

5, ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…195・110・1994/10/13・9

6,下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)…188・105・1999/1/17・0

7,姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)…187・108・1994/7/27・22

8,リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)…189・113・1988/10/7・75

9,齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)…165・73・1997/8/26・8

10,李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)…176・85・2001/1/13・3

11,シオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ)…187・105・1998/12/20・9

12,中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)…182・92・1991/6/3・30

13,ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・102・1997/5/2・7

14,松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)…178・87・1993/2/26・44

15,山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)…188・98・1988/6/22・24

16,堀越康介(東京サントリーサンゴリアス)…175・100・1995/6/2・5

17,三浦昌悟(トヨタヴェルブリッツ)…180・113・1995/6/8・9

18,木津悠輔(トヨタヴェルブリッツ)…178・112・1995/12/2・5

19,小瀧尚弘(コベルコ神戸スティーラーズ)…194・114・1992/6/13・11

20,テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス)…183・124・1996/1/2・12

21,流大(東京サントリーサンゴリアス)…166・75・1992/9/4・27

22,中野将伍(東京サントリーサンゴリアス)…186・98・1997/6/11・5

23,ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…192・102・1989/4/13・3

——前回は試合終盤に失点が重なった。

「プレッシャーにどう対応していくか。レフリーも含めゲームの流れを見ていく必要はある。前回もいい試合をしたし、勝てたと思っているが、重要な時間帯にペナルティ、ミスをしてしまっては勝てないと、チームは学ぶことができた。これからもたくさんの試合が組まれている。選手がしっかりとラグビーをしていくことで、よくなっていくと思っています」

——李選手が復帰。デビューを果たした夏を経て、どんな期待をするか。

「李は若くて可能性のある選手だと、7月のフランス代表戦で証明した。どんどん経験を積むことは彼の未来にとっていいこと。10番(スタンドオフ)はチームをドライブして欲しい。同時に、試合中の対応力も大事。自分の仕事をしてもらいたい」

——スタンドオフと言えば、山沢拓也選手の状況は。

「脳震盪の影響で長い間、練習に出られなかったが、今週からフルトレーニングに参加。もう1週間で、彼のコンディションも上がってくる。自信をつけさせたい。圧力のかかる試合の前にトレーニングをさせたい。来週のセレクションには加われるかと」

——姫野選手が先発に戻った。

「(前回7番で先発の)ピーター・ラブスカフニが練習中に膝をひねりました。リスクを負いたくない。また、下川を育成したい。未来のある選手として、継続的に起用したい。テビタ・タタフがベンチスタートできることもチームにとってはいいことです(候補合宿がはじまった9月上旬時点では、フィットネスなどに課題があったため選外)」

——中村選手については。

「素晴らしい練習をしてくれています。最初に合宿に来た時はやる気がある状態でした。腰の筋肉を怪我したことでキャンプ1(初期)ではあまり練習に参加できなかったが、回復力があり、タフで、スマートです。試合の後半には特にその経験が必要になる」

——松島選手もスターターとなった。

「本当に松島は質の高い選手。前回はベンチから出て行ってすぐにインパクトを出してトライを獲った。復帰したばかりとあって、自信をつけさせるのが重要。亮土、姫野も然りです。自分たち(首脳陣)が我慢するなかで、彼らがコンディションを上げ、自信をつけていくことが重要」

 実力者に適したゲームタイムを与え、復調するまで「我慢」。そんな狙いも持っておこなうオーストラリアAとの3連戦を終えると、10月29日に東京・国立競技場でニュージーランド代表と、11月12日にロンドン・トゥイッケナムスタジアムでイングランド代表と、同20日にスタジアム・ド・トゥールーズでフランス代表とそれぞれぶつかる。

 ジョセフは言う。

「自分たちとしてはラグビーをプレーすることが必要。この3年間で数試合しかできていないので、質の高い試合をしていく必要がある。オーストラリアAには代表クラスのいい選手がたくさんいる。同時に我々もそういうチームで戦っている。ニュージーランド代表戦、イングランド代表戦などでベストチームとして戦っていくためには、そこに行くまでの試合(オーストラリアAとの連戦)には価値がある。(同シリーズに)出られない選手も出てくかもしれないが、チームを作り、積み重ねていくことが重要だと思います」

 今度の福岡での80分間を見据え、姫野はこう述べる。

「後半の仕上がりはあまりよくなくて、チームの課題に挙げられる部分。(その要因は)チームではメンタル面が大きいと話しています。チームとしてやらなきゃいけない時間帯で個人的なプレーをしてしまったり、チームの言葉を使わせてもらうと絆の部分が緩んだりする傾向がある。明日はコネクションする。『2ミニッツ』という言葉を自分たちで使って、準備してきました。意味は、『次の仕事にフォーカスする』『リセット、アジャストする』。そういった言葉を作って、チームの絆を強固にしようとしてきた。また、繋がっていけると期待しています」

 対するオーストラリアAのライアン・ロネガン主将は「(JAPAN XVには)先週よりも経験豊富な選手がたくさんいる。前回の試合結果を受け、日本もやる気が増しているのでは。全てに警戒し、我々のプレーもより発揮させたい」と話す。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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