Yahoo!ニュース

「日本代表としてのキャリアの最後はいい成績を」と流大。決意の1年。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
代表キャップは27(スクリーンショットは筆者制作)

 現在30歳。ラグビー日本代表として国際舞台で戦うのは、来年のワールドカップフランス大会が最後だ。

 流大。ラグビー日本代表のスクラムハーフは言う。

「もう、もし(2024年以降に代表へ)招集していただいたとしても、絶対に行くことはないです」

 9月15日、オンライン会見で語った。別府での候補合宿がメディアに公開された6日にも、「ワールドカップは誰にでも出られるものではない。日本代表としてのキャリアの最後は、いい成績を残せるようにしたい」と述べていた。

 今度の「もし招集していただいたとしても」によって、大会後の代表引退が明確化されたような。

「何と言うんですかね…。僕のなかで、前回のワールドカップ(2019年の日本大会)が終わった時に決めたことというか…。もう1大会、覚悟を持って取り組む。それをしっかりやり切る。…という気持ちです。また、長い人生、プレーヤーとしてなのか、指導者としてなのかはわかりませんが、まだまだラグビーに関わっていく。その次の準備をしたいという気持ちもあります」

 身長166センチ、体重75キロ。攻撃の起点にあたるスクラムハーフとして、ゲーム制御と正確なキックを持ち味とする。

 荒尾高校、帝京大学、現所属先の東京サントリーサンゴリアスで主将を歴任。組織の中心に立つ資質も買われ、2017年に入った日本代表でも長らくリーダー陣の一角を担った。

 前述の日本大会では実施された全5試合に出て、8強入りを果たした。

日本大会ではアイルランド代表などから勝利
日本大会ではアイルランド代表などから勝利写真:ロイター/アフロ

 病気のため離脱した今夏の代表ツアーでは、坂手淳史とともに共同主将を務める予定でもあった。

 今回の代表活動では、10月1日以降の対オーストラリア代表Aの3連戦(東京、福岡、大阪)、10月29日のニュージーランド代表戦(東京)、11月12日のイングランド代表戦(ロンドン)、20日のフランス代表戦(トゥールーズ)を見据える。

 取材ではチームへの所感、自身のコンディションについても述べた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——ワールドカップまであと1年を切りました。

「まずはオーストラリアAとの3試合、秋のテストマッチ(代表戦)へという意識が強い。なので、そこまでワールドカップへ意識は向いてないのですが、(現日本代表では)若い選手が増えて、高い強度でプレーできるようになった。選手層が厚くなってきている。その辺は、前回大会時よりも手応えがあるかなと思います」

——久々に代表チームに戻ってきて、変化を感じることはありますか。

「治療部屋にパソコンがいっぱいあって、そこへ若い選手が皆で集まって一緒にビデオ(試合や練習の)を観る。これは以前もやっていましたけど、(いまは)若い選手が率先してやっている。あとは、実際の練習で若い選手がはつらつといいプレーをしている。

まず彼らには高いポテンシャルがある。21~22歳で、代表の練習や試合でいいプレーができる(李承信、メイン平、ワーナー・ディアンズが該当か)のは、彼らの高い才能です。そして彼らがチームに入ってきやすくしたり、一緒に(試合や練習を)レビューしたりするのは、いままでいたメンバーが支えているところです。僕自身も、その辺をうまくつないでいきたいです」

——スローガンは以前の『ONE TEAM』から『OUR TEAM』に変わりました。

「僕は今回の合宿で、初めてその言葉を聞きました。坂手中心に色々と聞かせてもらって意味をくみ取りました。まだ完全に(真意を)理解できているわけではなくて、合宿を重ねながら深いところまでわかっていかなくてはいけない。ただ、『このチームに対して責任とプライドを持って責任を持って行動できるか』『海外の強豪に(勝つに)は独自のスタイルを作り上げることが必要』というところから来ている言葉だと思います」

——ワールドカップに向け、これから必要な積み上げは。

「どのメンバーが出ても一貫性を持ったパフォーマンスをできるかが、キーになっています。ワールドカップのメンバーが何人になるかわからないですが、誰が出てもいいパフォーマンスをすることが(8強以上に進むための)第一条件。サンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーに参戦する日本チーム)がなくなり、今回はオーストラリアA、テストマッチ、(国内の)リーグワンへと入っていく。リーグワンでもスタンダードを落とさず、テストマッチレベルのラグビーをし続けることしかできない。個人個人が自覚を持って、パフォーマンスを上げ続けるのが大事です」

——練習後の回復具合は。

「もう、大変ですよ。若い時には感じていない疲れもあるので。いい栄養、水分を摂って、ストレッチして…と頑張っています」

 別な場所では、「残り少ないラグビー人生。悔いを残さないようにしたい」と話している。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事