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フランス代表戦直前に堀江翔太ら「陽性」で離脱。日本代表の感染対策は。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
会見する藤井氏(スクリーンショットは筆者制作)

 ラグビー日本代表の堀江翔太、齋藤直人、野口竜司が、新型コロナウイルスの陽性反応に伴いチームを離れた。

 6月29日までに「コンディション不良」により離脱したと30日、発表された。この日は7月2日のフランス代表戦(愛知・豊田スタジアム)のメンバー発表に伴い、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチがオンラインで会見する予定だった。

 その会見が始まる前、広報担当者は「体調不良(の選手)については、のちに藤井が説明をします」と前置き。まずは6月25日ウルグアイ代表戦(福岡・ミクニワールドスタジアム北九州/43―7で勝利)と比べて1番から23番までで計12か所で入れ替えがあった顔ぶれについて、ジョセフが答弁した。

 その後、ナショナルチームディレクターの藤井雄一郎氏が会議ツールに参加。報道陣の質問に答えた。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

「コンディション不良の選手が出た。もともと僕らのほうでも、もしそういう体調不良の選手が出た場合はその選手を弾いて(隔離して)、感染を広げないように、その選手がすぐに戻ってこられるようにと(考えていた)。ゲームをしたいというのが第一の目標だったので。

 その3名も、無症状。いまのまま状態がよければ、次のフランス戦(9日に東京・国立競技場で2戦目がある)には戻れるんじゃないかということで隔離している。協会(日本ラグビーフットボール協会、以下同)で作ったプロトコルがあるので、それに従っていく。

 ちょっとでも喉が痛いという選手も、チームから出す(隔離する)可能性もある。その都度、(選手が)出たり、入ったりがあり、もしかしたら発表が遅れることもあるとは思うんですが、それはあくまで残り2つのゲームを何とかしたいから。ずっとそれ(コロナ禍に伴う実戦不足)に苦しめられてきたので。

 …皆さんにはそれを理解していただいて。私たちも、試合ができるように頑張ります。と、いう風な感じで、もし何か質問があれば対応します」

――3人とも陽性なのか。

「抗原検査なので、確定ではないという状況ですが、日曜日には(抗原検査で)陽性が出ている。これで症状も何もなければ、1週間経ったら――日曜日に――復帰できるということになっている。それで(当該選手を)外している」

――改めて経緯を。

「フィジオ(理学療法士)でひとり熱が出たものがいて、触れた選手をいったん外して、そのなかで抗原検査をして、陽性の出たものをすぐ外した。それが、その3名です。ただ、症状自体もほぼないですし、もともと全員のスクリーニングをする予定ではなかったので、練習もずっと続けられています。引き続き自分たちがしている感染対策を行いながら、プロトコルに沿って、動いているという状況。いま離れた3人も、症状はない。おそらく日曜には帰ってくると思っています」

――フィジオの方の発熱が確認されたのは。

「26日(ウルグアイ代表戦の翌日)です」

――これ以上の感染拡大のリスクは。

「絶対ないとは言えない。また、陰性でも喉がちょっと痛いという選手も、このなかで弾いて(合宿先で隔離して)いて、なかにはそこから何もなくて(戦列に)戻っている選手もいます。いまはあっちいったり、こっちいったりしていて、3人も(陽性者が)出たので『蔓延しているんじゃないか』という見方になるとは思いますが、僕らはちょっとでも疑いのある選手は出している(隔離している)感じです。

 もともと、僕らはそのように準備していた。(2021年の活動再開から)いままで運よく感染者が全くいなかったのですが、今回、こういうことになって、準備していた通りに動いている。いまのところ、そこまで深刻ではないという状況です」

――3人は隔離しているとのこと。改めて、それ以外の選手は。

「2名、喉が痛いと言った選手がいて、いったん外していますが、その選手はスクリーニングをおこなって陰性だったので、戻って練習しています」

――PCR検査ではなく抗原検査にしているわけは。

「抗原検査の精度が高いということと、PCR検査を受けると濃厚接触者のことで(濃厚接触者が増えて)、感染した選手より試合ができなくなる選手が多くなる。国も違うステージに入っていますし、協会もそれに則っている。ラグビーも、基本、ゲームがやりたいというのを前提に、そのプロトコルに変えたということです」

――今回、隔離された選手は愛知に行かず宮崎に滞留する。

「この1~2日で症状が改善されれば再合流の可能性があります。状況を見て、です」

――もともと、今回のツアー中に検査の予定は。

「最初はあったんですけど、中(合宿地)に入ってからはもう検査しなくていいと。感染症の先生と常に連携を取りながらやっていて、私たちだけの判断ではなく、専門家の先生から指示されたものをそのままやっている。

 例えば5人、(PCR検査で)陽性者が出て、保健所からこの15人が濃厚接触…と言われたら試合ができない。そのケースももともと考えられていたので、それは、なくそうということで、この形にしています」

――昨年まではかなり厳しい外出制限をかけていましたが、今年に関しては。

「(代表予備軍にあたるナショナルディベロップメントスコッド=NDSが滞在していた)別府でも、ここ(日本代表が合宿中の宮崎)でもそうですが、基本的には『この場所、この場所』と(外出許可先を指定)。また、日によっては外出…ということもありました」

――今回の件は、フランス代表側とも共有しているのでしょうか。

「お互い、同じプロトコルと対策でやっている」

――当該選手以外のポジションでも追加招集選手が増えているが。

「怪我人もぽろぽろと出ていて、それによる交替もあります。また、もう戻りはしているんですが、その時(追加招集を依頼したタイミングのことか)に喉が痛いと言っていた選手に関しても、早め、早めに(代理の選手を)持ってきているということです」

――NDS以外の場所から繰り上がった追加招集選手については。

「まずNDSから呼ぼうとして、怪我をしていたり、その人が外国人で帰省してしまったり、というケースがあれば、別のところから招集する可能性もあります」

 元宗像サニックスブルース監督の藤井は、日本のサニックスでプレーしていたジョセフと親交が深い。2019年のワールドカップ日本大会で8強入りした際も、選手選考に関する相談を受けるなど、固い信頼関係で知られていた。

 今回の役割分担も自然な流れで、協会理事でもある藤井氏は「基本的には絶対ゲームがしたいということ。選手の安全も第一に考えながら、協会とタッグを組んでしっかり対応したい」と話した。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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