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サンゴリアス、前指揮官率いるイーグルスと対戦。流大は「いいエナジー」を。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
左から流、中村主将、田原コーチングコーディネーター(筆者撮影)

 少なくとも、第三者は特別視していた。

 ラグビーのリーグワン・ディビジョン1の第11節は3月27日、各地であり、東京サントリーサンゴリアスは横浜キヤノンイーグルスに40―27と勝利。試合終盤までわずか1点差というクロスゲームを制し、10勝1敗で首位をキープした。

 対するイーグルスの指揮官は沢木敬介監督だ。かつてはサンゴリアスに選手、指導者として在籍。2016年度からの3季は監督を務め、前身のトップリーグで2度の優勝、1度の準優勝と結果を残している。

 昨季からイーグルスを率い、初年度はトップリーグで2016年度以来の8強入りを果たし、今季も第10節まで7勝3敗と4位につけていた(第11節終了時点も変わらず)。

 果たして、通常のゲームと異なる感情はあったか。試合後の公式会見に田原耕太郎コーチングコーディネーター、中村亮土主将、沢木時代に主将を務めた流大が出席した。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

田原

「はじめに、きょうはミルトン(・ヘイグ)監督なんですが、本人は陰性なのですが、スタッフに1名、陽性が出まして、その濃厚接触者ということで、念のため今回の試合には参加していません。

今日のゲーム、ありがとうございました。80分、難しいゲームになるのは分かっていたんですけど、すごくタフなゲームのなかで、ここにいる亮土主将を中心に選手がアジャストしてくれて勝ってくれた。また、このラウンドを首位で終われた。選手たちのパフォーマンスに満足しています」

中村

「まず、グラウンド状態が素晴らしくて、ストレスなくラグビーができた。関係者の皆様に感謝したいです。ありがとうございます。

ヘッドコーチがいないなかでの準備。選手が主体的になった分、グラウンドでコミュニケーションを取りながら、80分間を通してサントリーのラグビーができたと思います。キヤノンさんの素晴らしいプレッシャーのなか、また学ぶこと、課題が出た。次のブロックに向け、チームとしてレベルアップして、試合に向けて準備したいです。ありがとうございました」

「本日はありがとうございました。グラウンドも素晴らしかったですし、観客の皆さんの雰囲気、声援…。赤い方(イーグルスファン)が多かったのですが、そのなかでもサントリーに対しても応援していただけたような雰囲気だったので、試合をしていて気持ちがよかったです。

試合前から、(勝負がつくまで)80分かかると言ってきました。いつ、どうなるかわからない素晴らしいクロスゲームになり、そこを勝ち切れたのはよかったです。

公式戦でキヤノンさんとやるのは久しぶりでしたし、僕自身、色々な感情を持って試合には挑ませてもらったので、勝ててよかったです」

――相手のイーグルスは、前監督が率いていたチームです。

「何というんですかね…。敬介さんがキヤノンの監督になった時点で、ベスト4に入って優勝争いをすること、どんなチームを作るのかもわかっていました。実際、素晴らしいラグビーを作っていると思います。なので、試合に対しての特別な感情(があった)というよりも、キヤノンというチームが素晴らしいチームであることを認識し、そこに準備して試合に臨んだ。今週、準備段階では、皆、いい態度で、いいエナジーを持っていました。あとは、相手チームには梶村(祐介)、松井(千士)という2人の後輩(元サンゴリアス)もいたので、試合をしていて楽しかったです」

中村

「はい。同じく」

田原

「敬介さんのチームなので、難しいゲームになると(感じていた)。まったく新しいことをやってくることもあると思っていて、今週、選手たちからもそういう声もあがっていました。こう…色々な感情は出ちゃうゲームなので、『いつも通りやれ』ということは大事にしたポイントです。ウォーミングアップも、いつも以上にエナジー高くやっていた。上から見たら、そこが空回りした部分もあった。優勝するために色んな学びがあったのかな、と思います」

 冒頭から「難しい」とか、「特別な感情」といったフレーズが出た。いざ当該の話題に触れると、マイクを譲り合いながらまずは流が簡潔に述べた。

 沢木とプレーした経験のある田原コーチングコーディネーターによる、「エナジー」に伴う「空回り」があったのではとの指摘も味わい深かった。

 ちなみに試合前のグラウンドでは、サンゴリアスの選手が沢木のもとへ挨拶に出向く姿も見られた。

 なお、この日の会場は昭和電工ドーム大分。中村は鹿児島出身、流は福岡出身とあり、大分でのゲームには家族も訪れたという。

中村

「九州での試合がないなか、家族、鹿児島実業高校の後輩たちも観に来るというところで、先輩のいいところを見せたいという感情はありました。サントリーとしても合宿などでお世話になっているので、大分も、今回、ホームのような感覚でゲームをさせてもらいました」

「僕も九州で試合ができることは貴重な機会で、今季に関しては1回限り。家族も、出身のラグビースクールの子どもたちも来てくれたみたいで、嬉しかったです。

いま、九州のリーグワンのチームが減っているなど、色々な報道があります。少しでも九州のラグビーを盛り上げたい気持ちを持っています。ホスト、ビジターといったいろいろな関係がありますが、個人的にはもっと九州の試合をやって欲しいです。いいスタジアムもたくさんありますので、どんどん開催してもらえたら嬉しいと思っています」

 会見が始まる前は、近くのロッカールームからサンゴリアスのチームソングが聞こえた。ディビジョン1はこれにてバイウィークに突入。4月9、10日には第12節がある。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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