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緊急補強。神戸スティーラーズに世界一ルカニョ・アムが加入。会見で何語った?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
入団会見で語るアム(スクリーンショットは筆者制作)。

 南アフリカ代表の一員として2019年のラグビーワールドカップ日本大会で世界一に輝いたルカニョ・アムが3月10日、このほど契約したコベルコ神戸スティーラーズに合流。オンライン会見で意気込みを語った。

 アムは身長186センチ、体重100キロの28歳。アウトサイドセンターを主戦場とし、守備範囲の広さに定評がある。

 リーグワンの1部に加盟するスティーラーズは、2018年度こそ前身のトップリーグを制覇も今季ここまで2勝6敗と苦しんでいる。カンフル剤として期待されるアムは、どんな効果をもたらすか。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――入団の経緯は。

「昨季最後のほうに、日本に来るワンシーズンの話をスティーラーズからいただいていた。ただ、コロナの関係で国境が開いておらず、日本にこられなかった。ただ日本に来られて楽しみにしている状態です。2019年のワールドカップで日本に来た時、楽しめました。日本の人、文化を理解するのもまた。今回、日本に来るチャンスを得るにあたり、決断は難しくなかった。

タイミング的に言うと(理想の入国時期は)今年1月。そして(期間満了は)5月までです」

――チームから何を期待されていて、それにどう応えたいか。

「シーズン途中からチームに合流。期待されているのは私のXファクターのプレーです。そのために何をすべきか。まず一刻も早くサインプレーを覚え、チームメイトのことを理解する、お互いいいプレーをしたい。プレーでチームを勝利に導きたい」

――チームは低迷。

「数試合、見ていると、本当にアンラッキーな場面はあったと思っています。コベルコのプレースタイルはエキサイティングなもの。前のチームからコベルコに入ってプレーするのはすぐに慣れそうな気がします。試合のなかではひとつのボールバウンド、ひとつのパス次第で結果は変わってくる。いい方向に向かっている。あともう少しです」

――自身の長所は。

「自分としてはバランスを持ってプレーしたい。そのためには自分のチームメイトの強気をよく理解しないといけない。私の持ち味はスペースを作ること。アウトサイドバックスが走り込めるスペースを作る。と同時に、自分がキャリーしてゲインラインを切ることも狙っていきたい」

――あなたはディフェンスレンジが広い。なぜでしょう。

「アウトサイドバックスとしてのディフェンスで、重要な点がいくつかあります。まずは相手の時間とスペースを奪うこと。ここに制限をつけることで、相手のいいプレーを止められる。いま、世界には素晴らしいステップワーク、スピードを持ったいい選手がたくさんいるんです。なので、相手の時間とスペースを減らすことで向こうのプレーのオプションを減らしたい。また、相手のやろうとしてくるプレーを読むことも重要です。ボールはどこか。アタックをしている選手はどこにいるか。そのなかで脅威となるのは誰か。それらを注意して見ることでいい判断ができ、いいディフェンスができる」

――それをスティーラーズで再現するには。

「スティーラーズでは、ディフェンスシステムに自分自身を取り込まないといけない。スティーラーズのシステムのなかで自分の持ち味を出す。いい場所に立つ。いいタイミングで(タックルに)入る。そうしてうまいこと相手をシャットダウンしたいのですが、自分がする内容によってチームがよくなるようにしなくてはいけません」

――本日、フルメニューはこなしたか。

「いや。きょうは合流日なので、コンディションを少しずつ上げるために別メニューをおこないました」

――クラブに影響力を及ぼすウェイン・スミス総監督とはどんな話を。

「ウェインさんとのやり取りは加入前からありました。(内容は)チームについての話がほとんど。チームの歴史、プレースタイル。それを本人と話しました」

――世界的選手が多く、これからの発展が期待されるリーグワン。ここでプレーする意味は。

「自分としてのイメージは新たな経験。別な国でプレーすることでいろいろな学びがあると思うし、エキサイティングな気持ちです。自分を試す期間でもあるなか、チームに貢献したい」

――日本でのプレー期間を自身のキャリアにどう活かしたいか。

「誰しもそうだと思いますが、選手として日々、成長しようと思っています。一貫性を高めたい。神戸では、いままでと違うコーチの下でプレーできる。違うコーチのマインドセット、考え方を自分の成長につなげたい。自分のキャリアにも貢献するでしょうし、南アフリカのシャークス(前所属先)に帰ってからもここで学んだ内容を活かしたい。また、ここにいる間は、自分の出せるものをすべて出したい。長いキャリアの間で、この期間は重要なものになると感じています」

――日本で再会が楽しみな選手は。

「特にこの人というものはないが、シャークスなど南アフリカで一緒にプレーした選手が対戦相手にいたらうれしいな、とは思います」

 会見では、ワールドカップで頂点に立てた理由も改めて聞かれた。

「プレッシャーが高い大会で重要なのはプレッシャーをポジティブに受け入れ、ポジティブに変えたチームがより良いプレーができる。南アはどの状況にも対応できた。そのなかでシンプルなプレーができ、全員がやろうとしていることが理解でき、いいパフォーマンスができた」

 適応力、一体感。ウイルス禍におけるリーグワンでも、求められる資質かもしれない。アムは規定上、3月20日の静岡ブルーレヴズ戦(エコパスタジアム)から出場可能だ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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