Yahoo!ニュース

南アフリカからも安全入国。日本代表主将のピーター・ラブスカフニがクボタ合流。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真は筆者撮影)

 ラグビー日本代表のピーター・ラブスカフニ主将が、12月13日、所属先のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(クボタ)の活動に合流。千葉県内のグラウンドで練習後、チーム主催の会見に出席した。

「初日。自分もエキサイティングです。感情的にもグレート。皆にも会えた。今季、楽しみにしています」

 11月下旬までの約2か月間、ナショナルチームの国内外の合宿、ツアーに参加。解散後は母国の南アフリカへ一時帰国し、検査と隔離と個人練習を経てクボタの本隊に戻った。

 チーム発表によると、南アフリカから日本への入国は11月26日。以後は3日間、隔離宿泊施設にて完全隔離のもと過ごし、11月29日のPCR検査で陰性を確認した。

 日本政府は南アフリカで発見された新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)への対策として、11月30日以降は入国制限を強化している。他の南アフリカ出身選手が合流できないなか、ラブスカフニの安否も心配されていた。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――チームに合流するまで。

「まずは隔離をしっかりする。その次に身体(のケアという考え)。ヨーロッパ遠征ではいい感じで終わったので、筋肉をしっかり動かせるようにしました。隔離期間はできることをやっていた。制限下ですが、2週間はしっかり(トレーニング)できた。

(ホテルではベッドをどかすなど、トレーニングのために)クリエイティブにスペースを作ろうとしました。時間もあったし、どこにも行けなかったので、身体を動かすようにはしていました」

――隔離先での食事は充実していないと言われています。

「色んな方々がベストを尽くしてくれたのはわかります。ホテルでも、自分が欲しいものを手に入れさせてくれたので、文句はないです。ホテルに滞在した他の方々も、安全な環境で同じゴールを目指して過ごしていた」

――合計14日間の隔離期間の過ごし方について。

「最初、家族とは離れて滞在しました。自分はホテルで。家に戻ってからは、家族と過ごしました」

――ヨーロッパ遠征後、一時、南アフリカに帰国していました。その後の11月30日に、オミクロン株対策としての入国制限が始まりました。ラブスカフニ選手の入国はその直前。経緯を教えてください。

「南アフリカに帰ったのは子どもと家族を迎えに行くのが理由でした。家族も一緒に戻ってこられて、ハッピーです」

――国際移動は難しい状態。現地の様子は。

「何人か、知り合いの選手でも、別な方法で入国しようとしていると聞いています。コントロールできることがないなか、最善のプランをしようとしているのはわかる。戻るためにできることをやっている、ということだと思います」

 チームは1月7日、東京・国立競技場で国内ジャパンラグビーリーグワン・ディビジョン1の開幕戦に挑む。今年、前身のトップリーグで王者となった埼玉パナソニックワイルドナイツとぶつかる。

 現在は練習試合を重ねており、ラブスカフニも早期の1軍復帰のためハードワーク。全体セッション後は得意のタックル、ジャッカルの練習を繰り返していた。

「もともとはチームメイトの手助けをしようとしていたが、時間もあったので自分も一緒にやりました。今後もスキルセッションはやっていきます。日本代表から持ち帰ったわけではないですが、前回のツアーでは多くを学んだ。自分のなかで『こうなりたい』がある。それを通して成長する。

まず自分のスキルを上げる。ひとつ言えば、判断を成長させたいと考えています」

――リーグワンへ。

「他のチームも、リーグ自体も、レベルが上がる。外国人選手も(出場枠の変更により)多く出ると思いますが、日本のローカルタレントも出てくると思います。どんな形になるか楽しみです」

 2016年に来日。2019年に日本代表デビューを飾り、同年のワールドカップ日本大会では計2試合でゲームキャプテンを担い、初の8強入りを果たしている。

 そして今回はツアー全体で主将を任されるなど、列島における立ち位置をより確かなものにしている。来日前といまとの心境の変化について聞かれると、「最初の時点から日本が大好きだったが、その気持ちはさらに大きくなった。長く滞在するほど理解度が高まった」。さらにこうも語っている。

「日本の話をする時は誇りを持っている。他の国の人には『ぜひ日本に来て経験して欲しい』と言いたい。改めて、自分がどんな風にチャンスをもらってきたかについても感謝します」

 なおクボタでまだ合流していない選手は、現役南アフリカ代表のマルコム・マークスのみだ。クラブ関係者は、他チームの外国人選手と足並みを揃える形での早期合流に向け、リーグに協力を仰ぎたいとする。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事