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日本代表ライオンズ戦メンバーのなぜ ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ答える【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
先発中唯一の初キャップとなるフィフィタ(写真:つのだよしお/アフロ)

 ラグビー日本代表は日本時間6月26日、スコットランド・エディンバラのマレーフィールドでブリティッシュ&アイリッシュ・(B&I)ライオンズと対戦。同24日に出場メンバーが発表され、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが会見した。

★は8強入りしたワールドカップ日本大会の登録メンバー(計17名、うち14名が先発)

※は6月12日の強化試合(対サンウルブズ)の先発メンバー

◎は主将

( )内は身長/体重/キャップ数=代表戦出場数

1,稲垣啓太(186/116/34)★※

2,坂手淳史(180/104/21)★※

3,具智元(183/118/13)★

4,ヴィンピー・ファンデルヴァルト(188/112/16)★※

5,ジェームス・ムーア(195/110/8)★※

6,リーチ マイケル(189/113/68)◎★※

7,ピーター・ラブスカフニ(189/106/8)★

8,アマナキ・レレイ・マフィ(189/112/27)★※

9,茂野海人(170/75/10)★※

10,田村優(181/92/63)★※

11,シオサイア・フィフィタ(189/105/—)

12,中村亮土(181/92/24)★※

13,ラファエレ ティモシー(186/100/23)★※

14,松島幸太朗(178/88/39)★

15,山中亮平(188/100/18)★※

16,堀越康介(175/100/2)

17,クレイグ・ミラー(186/116/—)

18,ヴァル アサエリ愛(187/115/14)★※

19,ジャック・コーネルセン(195/110/—)

20,姫野和樹(187/112/17)★

21,テビタ・タタフ(183/124/3)

22,斎藤直人(165/73/—)

23,松田力也(181/92/24)★

 イングランドなど4協会の連合軍であるB&Iライオンズの歴史的一戦。ジョセフは熟練者主体のメンバーを編んだように映る。

 しかし、指揮官の見解は違った。

(スクリーンショットは筆者制作)
(スクリーンショットは筆者制作)

 試合の見どころとともに、メンバーリングの意図を語る。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——選考のポリシーは。

「2年近くラグビーをしていない。主要選手を入れながらも、新しい選手にも準備、プレーをさせていかなければいけない面があります。今後の未来を考えながら、シオサイア・フィフィタ、ジャック・コーネルセン、クレイグ・ミラーと、新しい選手に違うスキルセットを見せてもらうことが、未来に繋がる」

——12日の強化試合から先発を4名、入れ替えた理由、もしくは、11名がそのままとなった理由を教えてください。

「メンバーを代えたというより、サンウルブズ戦から他の選手とのコンビネーションを見てみたい(と思っていた)。色々な選手たちを見て、コンビネーションを見てみたいところは、(前回と)代わっています。右プロップのグーさん(具智元)は、怪我でサンウルブズ戦に出られませんでしたが、いまはフィットしている。身体も問題ない。アウトサイドバックスに関しては、フィフィタがサンウルブズ戦でインパクトを出してくれていた(今回、リザーブから先発に繰り上がった)。新しい選手に関しては、今年、日本代表でチャンスを与えていきたいと考えています」

——齋藤選手、フィフィタ選手は2020年のサンウルブズに入ってスーパーラグビーでプレーしている。2人の起用には自信を持っているのか。

「彼らは自信を持って送り出せる。ただ、彼らはテストマッチレベルのラグビーをしていないので、試される状況にあります。これはチームにとってもテストです。彼らは仕上がった選手ではないが、彼らにもチャンスを与えることで、チームとしても成長したい」

——リザーブのフォワードが通常より1人多い6人となっています。

「過去にもこういう形を取ったことがあるが、自分たちのチームにはクオリティの高いルースフォワード(フォワード第3列)がいます。姫野は経験もあり、後半に出てくることでインパクトを与えるのは重要。ですので、この形を取りました。

(姫野には)後半に自信を持ってインパクトを出してもらいたい。フィールド上でティア1(強豪)のチームを相手に80分間、インパクトを出すのは難しいところがある。ただ、彼には後半に出てきてもらう。自分の仕事をしてもらう。インパクトを出してもらう。それを求めています。

 シックスネーションズ(欧州6か国対抗戦)でも明らかで、相手はセットピース(スクラム、ラインアウト)主体で組み立てる。ラインアウトからのモールの強みとして出してきそうです。相手には身体の大きい選手がいる。我々は、自分たちのやりたいことを妥協しないなか、控えにフォワードを多く入れることでそこ(相手の強み)に対応したい」

——海外でのプレーを経て途中合流した松島選手、姫野選手の状態について。

「長い間、彼らとはプレーしていなかったが、それぞれニュージーランド、フランスで成長が加速した。チームメイトも、彼らのようなクオリティの高い選手とプレーすることで自信が得られるのでは」

——B&Iライオンズのメンバー発表を受けて。

「日本のメディアの方々には、相手チームの選手に関しての話はしたくない。なぜなら、自分たちにフォーカスを当てたいからです。もちろん、相手には素晴らしい選手がたくさんいる。ただしチームとしては、自分たちのマインドセットを自分の仕事、ゲームプラン(に集中させたい)。自分たちにフォーカスすることで、自分たちの能力を出せると思っています。選手によっては各々、相手を分析しているでしょうが、特にいままで試合に出ていない選手は自分たちにフォーカスすることで力を発揮できるのでは。

このような大きな試合でも、ベーシックなことを正しくすいこうするのが重要。スクラム、ラインアウトでは圧力がかかると予想するので、正しくやりたい。それを優先順位に対応。それから、キックゲーム。相手はそこでもプレッシャーをかける。それに対して、我々はプランを持っています。自分たちのチャンスを見つければ、こちらからもプレッシャーをかける。チャンスがあれば仕留める。試合中、チャンスはなかなかな来ない。自分たちのプラン通りに(点を)狙っていける自信はありますが、向こうにも(スコアを狙う)モーメントがある。そこで気を抜かず、集中し続けるのが重要だと考えます」

 日本大会組を軸にメンバーを構成しながら、ジョセフはノンキャップ勢の起用を「チームにとってもテスト」と捉え、新陳代謝がなされていることを強調する。

 また会見中の「新しい選手に関しては、今年、日本代表でチャンスを与えていきたい」との言葉に沿えば、7月3日のアイルランド代表戦を含めたけい2試合で、今回選出された計11名のノンキャップ組のうち多くが出番を得そうだ。

 B&Iライオンズではそのうちフィフィタが先発。サンウルブズ戦でアピールしたミラー、コーネルセン、齋藤も控えから出番をうかがう。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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