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日本代表、2019年以来の実戦。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ選考背景語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
別府合宿中の様子(写真提供・JRFU)

 ラグビー日本代表が6月12日、2019年のワールドカップ日本大会以来となる実戦をおこなう。10日、下記のメンバーを発表し、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが会見した。

<日本代表(JAPAN XV)>

1 稲垣啓太

2 坂手淳史

3 ヴァル アサエリ愛

4 ヴィンピー・ファンデルヴァルト

5 ジェームス・ムーア

6 リーチ マイケル ◎

7 小澤直輝

8 アマナキ・レレイ・マフィ

9 茂野海人

10 田村優

11 ゲラード・ファンデンヒーファー

12 中村亮土

13 ラファエレ ティモシー

14 レメキ ロマノ ラヴァ

15 山中亮平

16 堀越康介

17 クレイグ・ミラー

18 垣永真之介

19 ジャック・コーネルセン

20 テビタ・タタフ

21 ピーター・ラブスカフニ

22 齋藤直人

23 松田力也

24 シェーン・ゲイツ

25 シオサイア・フィフィタ

<サンウルブズ>

1 森川由起乙

2 庭井祐輔

3 北川賢吾

4 長谷川崚太

5 ヘル ウヴェ

6 リアキ・モリ

7 エドワード・カーク ◎

8 ベン・ガンター

9 荒井康植

10 山沢拓也

11 尾﨑晟也

12 梶村祐介

13 ディラン・ライリー

14 髙橋汰地

15 野口竜司

16 彦坂圭克

17 三浦昌悟

18 淺岡俊亮

19 秋山大地

20 布巻峻介

21 中嶋大希

22 前田土芽

23 鹿尾貫太

24 竹山晃暉

◎はキャプテン

 5月下旬から別府で合宿を張ったチームは、静岡・エコパスタジアムでの強化試合でサンウルブズと対戦。日本代表の先発に日本大会組が13人、並んだ傍ら、メンバーの一部を大久保直弥ヘッドコーチ率いるサンウルブズ側へ派遣。会見では各選手の位置づけなどについて問われた。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——先発、リザーブ、サンウルブズへ回った選手、それぞれの位置づけを。

「ポジションによっては誰が(今後のレギュラーとして)出るかがクリアになっていますが、他に見てみたいポジションもあり、新しい選手にはまだまだ機会があると考えています」

——サンウルブズへの派遣か、日本組への残留かで迷った選手はいるか。

「選手個々について彼はどうでこう、と理由を言いたくないが、基本的には日本代表の13人(スターターに入る日本大会組)は一緒にやってきた部分がある。彼らがどのくらいのインパクトを出し、試合をフィニッシュできるかを最優先に選んだ。その他の選手でも、リザーブからどういうインパクトを出せるか(を考えた)。新しい選手にもどんなプレーをしてくれるか、期待する。サンウルブズ組については違った環境で力を出せるかを見たい」

——スターターには日本大会組が多い。

「今回が最初の試合なので、ある程度ゲーム(日本代表の戦い方)を理解している2019年のメンバーに出る権利があると考えています。合宿でも他の選手を自信を持って手助けしていて、労働意欲が素晴らしかった。新しい選手はこれからレベルアップしなくてはいけないし、世界で戦うためインテンシティを上げたいし、どこまでやれるかを見たい考えもあります」

——日本大会でプレーした松田力也選手やピーター・ラブスカフニ選手は日本代表側のリザーブ。この両者をサンウルブズで長時間プレーさせる選択肢もありそうだが。

「当日は暑いなか、ハイテンポの試合をする。ゲーム時間に関してそこまで決めたものはないが、試合の後半もしっかりコントロールされた状態でやりたいことを考慮しました。彼ら(松田、ラブスカフニ)は長くジャパンでプレーしている。過去にリーダーシップのある選手がベンチから出た経緯があります」

——いずれも日本大会でプレーしていない選手では、フランカーの小澤選手、ウイングのファンデンヒーファー選手が日本代表側で先発する。

「小澤は私もコーチしたことがある。途中で残念ながら怪我をしてチーム(日本大会組)に入れなったが、彼には安定感がある。彼にはこれからステップアップしてもらい、役割を理解してもらいたい。ここがチャレンジになると思います。

 ファンデンヒーファーは強い。ウイングでは松島は後にフランスから合流するが、今回は、彼(ファンデンヒーファー)にチャンスを与える。レメキ選手は怪我でトップリーグの試合にあまり出ていなかったが、彼のポテンシャル、フィットネス、ハングリーさ(を評価している)。ウイングでは他にも髙橋選手、フィフィタ選手とエキサイティングな選手がいる。楽しみです」

——プロップの具智元選手、ウイングのセミシ・マシレワ選手はどちらにも入っていないが。

「2人とも合宿中に軽い怪我をした。B&Iライオンズ戦(後述)まで2週間と時間が迫っている。リスクは負えない。彼らにブレイクを与える意味で、休ませました」

——今回、代表へ初選出された選手について。

「新しい選手は合宿で驚いた部分もあると思う。チームの強度、耐久力、グラウンド内外での期待された部分にです。ただリーダー陣が積極的に新しい選手に自己責任を持つよう促していて、新しい選手も自己責任を負うようになった。選手たちは成長した。合宿は終わった。これからは選手たちが持っているものを出し切る。選手によっては出場時間の長い選手、短い選手もいると思うが、その中で全力を出すのが重要」

——今回のポイントは。

「この試合は難しくなる。相手にはプレッシャーもないし、我々は期待されている。相手にも素晴らしい選手がいて、コーチ陣も素晴らしい。日本はこれから大きな試合を戦う。プレッシャーのなかで、冷静に、コントロールされた試合をすることが重要になってきます」

 2016年秋に就任したジョセフヘッドコーチは、トニー・ブラウンアタックコーチ、長谷川慎スクラムコーチらとチームスタイルを形成。今度の強化試合を経て、26日にはスコットランド・エディンバラでB&Iライオンズ(ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ=※)と、続く7日にはアイルランド・ダブリンでアイルランド代表とぶつかる。

※B&Iライオンズ=イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの代表的な選手により4年に一度編まれる連合軍。毎回、南半球の強豪国を回っており、今年は南アフリカツアーを前に本拠地で日本代表と初対戦。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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