誰に教わったのだろう。

「オバンデス!」

 東北地方で用いられる夜の挨拶言葉を発したのは、バーナード・フォーリー。ラグビーオーストラリア代表として71キャップ(代表戦出場数)を誇る31歳だ。明るい性格で知られる。

 5月19日、所属先のクボタの納会に先立ちオンライン会見に登壇した。

 チームは3日前、大阪・東大阪市花園ラグビー場でのトップリーグプレーオフ準決勝でサントリーに9―26で敗戦。現行制度下では初の4強入りと前向きな結果を残した半面、過去優勝5回の強豪には苦しめられた。

 何より正司令塔のフォーリーは、出場停止処分を受けて欠場した。準々決勝で一発退場処分の対象となった危険なプレーが、引き続き重く見られた。

 ただし、振り返る言葉はおおむね前向きで、何よりこのフレーズがファンを喜ばせた。

「来季に関しては、原則、クボタに残る予定です」

 来季以降の残留を示唆したのである。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

--今季を振り返って。

「残念な終わり方でしたが、成長、成功もありました。スコッドの層が厚くなったし、グループの成長もありました」

--サントリーにはエリアの取り合いで苦しめられた。

「サントリーはいいゲームプランを持っていて、プレッシャーをかけていた。キックプランもよかった。クボタ側のアタックもスローボールにされた。がっかりした。サントリーは(相手チームの事情で準々決勝が不成立となり)3週間、休んでいたなか、うちは(自身の退場により準々決勝の)長い時間、14人で戦わされていて疲労感もあったと思われます」

--その準々決勝を受け、自身は準決勝に出られなくなりました。

「準決勝に出られないことにはがっかりした。準々決勝でレッドカードを受けたプレーに関して、(リーグ側との)ヒアリングもありましたが、あのプレーは悪質でも故意でもなかったと思います。自分のなかでは、トライを止めるためのプレーで…。チームとしてハードワークしてきたなか、ああいう終わりになったのも、自分がプレーできなかったのも残念でした。ただそれ(出場停止)がわかってからは、ゲームメンバーの準備(のサポート)を全う。勝つためにできることは何でもしました」

 確かに決勝当日、フォーリーはコーチ席の近くに座ることもあった。

--どんどん強くなっているチームの特徴について。

「チームは日々進歩。コーチ陣はプログラムを持ち、選手にオーナーシップを持たせ、成功している。ワールドクラスの経験がある選手、才能のある若手がいい混ざり具合でスコッドが成り立っているのでいい形になっている。その若手は、何年後かにはクボタを引っ張ってくれるようになるかもしれない。エキサイトな盛り上がりのあるチームになっています」

--来季へは。

「来季に関しては、原則、クボタに残る予定です。スコッドの層も厚くなり、チームも伸びています。さらなる目標達成のためにやることをやりたい」

--来季、さらに成功するには何が必要か。

「大事なのは自分たちのスタイルを固めること。オフフィールドでは選手間で長い時間を過ごし、つながりを強める。オンフィールドではトップ4のチームへどうチャレンジするか、大きなゲームのプレッシャーにどう対処するかという経験(が必要)。その部分(後者)はここ数年で足りていなかったことですが、逆に経験を積んでいければ成功に近づけます」

--最後に。

「今季は楽しいシーズンでした。終わり方は残念でしたが、しっかり復習し、来季に繋げたいです。アリガトウ! マタネ! オツカレサマデス!」

 19日のオンライン会見には、これまでクボタを引っ張ってきた他の有力外国人選手も登場。フォーリーと同じ2年目でニュージーランド代表48キャップのライアン・クロッティ、今季加わった南アフリカ代表33キャップのマルコム・マークスも、来季への思いを口にしている。

「実際は交渉中ですが、私としては(クボタで)プレーしたい。これまでクラブに投資してきて、他の選手を助けられたところがあるでしょうし、いい思い出もある。またこの先2年ぐらいで優勝するチャンスもあると思うので、ステイしたいです」(クロッティ)

「初年度、凄く楽しめました。今後どうなるか(未知数な点)もあるにはありますが、来年も楽しみにしています。自分が今後、将来的にどうなるか、日本にどれだけいるかのは定かではありません。ただ、クボタには全力でコミットしたい。2023年のワールドカップに向けてもハードワークがしたいし、国代表に選ばれれば名誉で光栄。選ばれるよう、色々と準備したい」(マークス)

 世界から日本へ集まった大物には、NTTドコモのTJペレナラ、トヨタ自動車のマイケル・フーパーら1年限りで退団する選手も少なくない。そんななかでも船橋市を本拠地とする台風の目は、一度手を組んだ名手との絆をより深めている。