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強化縮小報道の宗像サニックスは「夢のあるチーム」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
左からヘスケス、ムーア、ブラウン、福坪(スクリーンショットは筆者制作)

 国内ラグビートップリーグに加盟し、来季以降の強化規模縮小が報じられる宗像サニックスが4月17日、東京・秩父宮ラグビー場で同リーグのプレーオフトーナメント1回戦で下部トップチャレンジの近鉄に21―31で惜敗。シーズン終了を迎えた。

 試合後の会見にはコーリー・ブラウンヘッドコーチ、元自衛官で合同トライアウトにより入団の福坪龍一郎主将、2019年ワールドカップ日本大会日本代表で現日本代表候補のジェームズ・ムーア、2015年同イングランド大会日本代表で入部11季目のカーン・ヘスケスが会見。思いを語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

ブラウン

「まず近鉄の皆さん、おめでとうございます。秩父宮はいいグラウンドコンディションでした。今日の選手の試合での努力、態度には誇りに思います。今週は色々なことがあり、難しい状況でプレーしなければなりませんでした。ただ、試合ではクイックタップを使っていいラグビーができた。スピードと勢いがある時は相手にプレッシャーをかけられた。そこからトライも獲れた。ただ、自分たちのミスからチャンスを与えたこともありました」

福坪

「試合開催にあたって、関係者の皆様、ありがとうございます。いい状態でプレーできました。ヘッドコーチも言った通り、難しい状況でした。ただ、お互いのことを信頼し合って今季やって来たことを出そうとチームで話して、プレーしました、よかったところもあったし、相手にチャンスを与えた、守り切れなかったところもあった。試合中は切り替えて次に、次に、と、自分たちのラグビーをしようとしていきました。ただ、結果はこうなってしまった。近鉄さんには、勝利おめでとうと言いたいです」

ムーア

「自分たちにとって難しい状態での試合でした。来季チームを去る選手もたくさんいると思いますが、今季最後にここで試合ができたこと、いいパフォーマンスができたことは嬉しい。近鉄さんのパフォーマンスが素晴らしく、自分たちが劣ってしまい、このような結果になってしまった」

ヘスケス

「皆さんと一緒です! 難しい週でした。ただ、サポーターや家族の支援があっていいラグビーができています。スコアに関係なくサポーターの方々に応援していただき、感謝しています。自分たちのいいラグビーを見せたいと思い、毎週、やっていました。いいラグビーができたとしたら、ファンの皆さんのおかげです。近鉄さんには、勝利をおめでとうと言いたいです」

――「難しい状況」について。

福坪

「ご存じの通りニュースにもなりまして。各選手、チームとも週の始まりは面談を重ねてきました。…それでやっぱり各選手、色々と考えることがあって、まぁ、オフフィールドで考えたんですが、水曜日からチーム練習を始め、ゲームが始まれば目の前のことに集中できるから大丈夫だと伝え、この1週間、準備しました、実際、ゲームになれば目の前のゲームに集中できて戦えた。そこはよかったかなと。まぁ、正直、今後チームがどういう方向に行くか僕たちもはっきりとはわからない。ただ今後も、サニックスのラグビーのチームはラグビーをやっている選手にとって夢のあるチーム。続いていくと思います。夢のあるチームであり続けると思います」

ムーア

「ニュースを見た時は残念な気持ちでした。サニックスはファンを大事にする素晴らしいチーム。記事が出たことでたくさんのファンが残念な気持ちになったと思います。今後の私の状況は、後に出ると思います。いまは差し支えさせていただきます」

ヘスケス

「(声を詰まらせながら、時折、ムーアが肩を叩かれ)自分としてはここで11シーズン目でした。サニックスとでたくさんのことを学ばせていただきました。たくさんのファミリーと思える方と関われました。そのファミリーを失うのは残念な気持ちです。サニックスは自分にとっては人生のすべてだと思っています。今回の記事は寂しい気持ちでした」

――この件は報道を前に知ったという認識かでよいか。

 ここでは選手が何やら周りを気にするうち、協会関係者が「きょうの記者会見では差し控えさせていただきます」と話した。 

――試合後、最後の円陣では何と話したか。

福坪

「自分たちはプロスポーツチーム(社員選手は少ない)。報道に関係なく1年で人は入れ替わるものです。主将をやらせてもらったことは嬉しく思うし、皆とここでプレーできたことも嬉しくて…。今季私たちは5月からプレシーズンに入り、約1年、ラグビー漬けの毎日をやってきました、そこには自信を持っていいし、最後、スタッフの皆さんにも感謝を伝えたという形です。はい」

 同部は前身のサニックス時代から、大型補強に頼らぬ独自の強化方針で礎を築いてきた。ほとんどのシーズンにおいてタフな走り込みで運動量を高め、大きくボールを動かすスタイルを提唱。2009年度は史上最高の16チーム中7に躍り出る。文字通り「夢のある」チームだった。

 2018年度までは、現男子15人制日本代表チームディレクターの藤井雄一郎氏が指揮。現日本代表指揮官のジェイミー・ジョセフもプレー経験がある。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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