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サンウルブズの齋藤直人が、早稲田大学卒業式よりも大事だったもの。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
テレビ電話で取材対応(筆者撮影)。

 国際リーグのスーパーラグビーは3月14日、15日までの第7節を最後に中断することが決まった。

 新型コロナウイルスの世界的な大流行により、ニュージーランド政府が14日、15日午前0時以降のすべての入国者に対して、14日間自主隔離するよう求めることを発表。その後、スーパーラグビーを統括するサンザーが会議を経て決定した。

 日本のサンウルブズは14日、東京・秩父宮ラグビー場で開催予定だったクルセイダーズとの第7節をブリスベン・サンコープスタジアムで実施。こちらも国内でのコロナウイルス感染拡大に応じての決定だった。試合は14―49で敗れている。

 試合前、早稲田大学4年でスクラムハーフの齋藤直人が電話取材に応じている。シーズンを通しての学びについて話していた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――2月中旬から約2週間の予定だった遠征が長くなりました。

「帰れなくなったから気持ちが落ちるとかはなくて、毎試合、毎試合に向かっての準備のことだけを考えて試合しています」

――クルセイダーズは3連覇中の強豪です。

「相手がクルセイダーズであっても数少ないチャンスをいかに活かせるかが大事。そこもチーム全員で共有できている」

――大学から社会人に移る。帰国後の生活は。

「レベルズ戦(2月1日)後のバイウィーク(休息週)に自分と中野(将伍、インサイドセンター)だけ1日、早く帰らせてもらって、荷物を新しい所属先のクラブハウスに送らせてもらいました。クラブハウスから寮への積み込みとかはそのチームにやってもらいました。

 自分が気にしていることとすれば、会社との兼ね合いなんですけど、いまはサンウルブズに集中して頑張ってと言っていただけている。それ以外のことで、帰れないことについては何も思っていないです」

――オフの気晴らしは。

「オフの日は出かけたりしますけど、気晴らしと言っても、ホテル生活も苦じゃないので」

――早稲田大学の卒業式は。結局、中止になりましたが。

「2人(自身と中野)とも遠征メンバーに選ばれるつもりでしたので、卒業式に出るつもりはもともとなかったです」

――収穫と課題は。

「収穫は、外国のチームと試合をしたら、少なからず(相手の身体が)大きいという感情を持っていたんですけど、スーパーラグビーが始まって数試合でそういった感情は徐々になくなったというか。大きい相手、速い相手にも身体が慣れてきたのかなと。課題は全て。まだまだ足りないですけど、劣勢の状況での状況判断、パスさばきが課題だと思っています」

――劣勢時のプレー、具体的には。

「チームが劣勢な状況でも、ブレイクダウンが劣勢な状況でもスクラムハーフからチームに勢いを与えられるように…。ルディ(・ペイジ=サンウルブズに在籍する元南アフリカ代表のスクラムハーフ)を見ていると、試合中のチームにエナジーを与える声かけ、ルディ自身の強気な判断でのプレーがあって、そういった部分が自分には足りないと感じています」

――スポーツイベントが相次ぎ中止になっていますが。

「そういう状況のなかでもラグビーをさせていただけることに感謝していますし、日本が大変な状況というのはチーム全員がわかっていると思うので、日本のファンの方々に勇気、希望を与えられるような試合をしたいと思います」

 日本国内のトップリーグも「コンプライアンス教育」を徹底するという理由で3月のゲームを中止している。今回のサンザーの発表があるまで、齋藤らサンウルブズはいまのこの国で唯一トップレベルの公式戦をおこなうラグビーのチームだった。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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