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日本代表合宿始動。流大は「周りが何と言おうとやるべきことをやる」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
冷静さが長所。(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表の宮崎合宿が10日、本格始動。リーダー格の流大は賛否あるウルフパック(日本候補選手によるチーム)の強化試合について見解を示し、今秋のワールドカップ日本大会への意気込みを明かした。

 流は身長166センチ、体重71キロの26歳でポジションはスクラムハーフ。帝京大学のキャプテンとして大学選手権6連覇を達成し、2016年には現所属先のサントリーで当時入社2年目ながらキャプテンにとなり以後国内トップリーグで2連覇。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いる日本代表では、グラウンド内外で目配り、気配りを心がけ、リーチ マイケルキャプテンを側面支援する。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――春はジョセフ率いるウルフパックに参加し、強化試合を重ねました。収穫と課題は。

「長い期間、一緒にいて試合や練習をしたので、お互いのコミュニケーション、戦術、ゲームへの準備を共有できた。相手のレベルのこととかを言われますが、僕らはあまり気にしていなくて。ただ、(課題としては)スーパーラグビーのBチームとやった時のレベルでパシフィック・ネーションズカップ(7月から日本代表が参加する大会)でプレーしてしまうと、たぶん、良くない結果になってしまう。もう1回、宮崎合宿でインテンシティ(強度)を上げて、よりハードなことをしていくと思います。ブレイクダウン、セットピースでも、(これからの)相手はもっと強いと思う。そこに対しての準備はしないといけないです」

――「相手のレベルのこととか…」。確かに、対戦したのがスーパーラグビーの2軍格だったため意味合いを問う声はありました。

「初めての選手を含めた色々な選手とコミュニケーションを取って、プレーできた。僕自身は6試合に出られました。試合を経験できたのは大きいです。やはり、スタッフのプランニングもあります。2月から練習をスタートさせ、徐々にインテンシティを上げ、試合もちょっとずつ(レベルを)上げて…と。それを僕は100パーセント信じていますし、そのなかで選手がすることは目の前のゲームへの準備を100パーセントすること。周りが何と言おうと、自分たちがやるべきことをするだけです」

――これまで、リーダーとしてしてきたことは。

「選手、で、やる、ということです。コーチ陣がプランニングを出してくれるなか、自分たちでやったほうがいいこともある。例えばオフフィールドでのリカバリーはS&C(ストレングス&コンディショニング部門のスタッフ)に言われて始めるより、選手たちでやったほうが一体感も出ます。その辺のことはリーダーが促していました。

 ハーフタイムにジェイミーがあえてロッカールームへ入らなかった試合もあって、その時は選手同士で話しました。ここでは『リーダーが何を選手に伝えなければいけないか』『試合の状況によってどんな発言、ボディランゲージが必要か』をまた改めて学ばせてもらいました」

――さて、候補選手の人数はかなり絞られました。合宿では徐々にワールドカップへの準備もなされますが。

「ワンチームでいなければいけませんが、一方でお互いがお互いをライバル視するようになる。多分、ピリピリした感じも出るし、難しくなります。僕も、まずいち選手として勝負なくてはいけないと思っているので、勝負する。ただ、変わらずにリーダーとして、選手、スタッフとのコミュニケーションがうまくいくような働きかけをしたいですし、選手にもワンチーム、というところ(への意識の醸成)でリーダーシップを取ってやっていきたいです」

――好選手がひしめくスクラムハーフの位置は、多くの国が大会登録者数の目安とする3名に絞られました。いよいよワールドカップへ…という思いにはなりませんか。

「グラウンドに立って勝利に貢献するまでは何も成し遂げていないです。いまここにいたとしてもこれから怪我をするかもしれないですし、何が起こるかわからない。常に1番を取るために、ハードワークするだけです」

――大会で勝つため、自分はどんな選手になっていたいですか。

「一貫性を持つ。対戦するチームはどこもプレースタイルが違います。ブレイクダウンにプレッシャーをかけてくるチームもあれば、ディフェンスラインを揃えるチームもあります。そんななか自分もチームもコントロールできるような、一貫性を持ったプレーをするのが大事だと思います」

 自然かつ堂々たる態度とバランス感覚が妙味だ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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