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2種類の新時代ベストフィフティーン+2019年以降に必要な交渉力とは。【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
フィフィタは準代表にあたるジュニア・ジャパンでプレー。代表資格への関門はパスか。(写真:築田純/アフロスポーツ)

 祭りごとの際に渋谷のスクランブル交差点が混乱するのは、元号が変わっても不変。新時代の到来に胸を弾ませるには、スポーツの未来を語るのが吉。本稿ではまず、日本代表ラグビー界ノンキャップ(代表戦未経験者)ベストフィフティーンを私的に編成する。

 メンバーには代表資格取得(後述)が期待される海外選手も含まれるが、ラグビーワールドカップトレーニングスコッドの一員として2019年のワールドカップ日本大会出場を目指す選手(ロックのグラント・ハッティング、フランカーのベン・ガンター、ピーター・ラピース・ラブスカフニ)は選外とした。

1 細木康太郎(帝京大学2年=本職は右プロップ、フィジカリティ、フロントローにしてスペースを破った後に味方のランコースを作るような走路を作れる)

2 島根一磨 (パナソニック=全てのセッションとゲームでオールアウト、ピンチの場面でのバッキングアップとジャッカル、身体の強さ)

3 木津悠輔(トヨタ自動車=ワークレート、相手の真正面に立ってロータックルを打ち込める、格闘家でいう「当て勘」に長ける)

4 秋山大地(トヨタ自動車=高身長にしてロータックルを連発。コンタクトシチュエーションに何度も出現し、真っすぐに身体を当てる)

5 マイケル・ストーバーク(近鉄=身長2メートル超で運動量とスピードに定評あり。来日3年目の27歳)

6 ブロディ・マクカラン(神戸製鋼=帝京大学では初の留学生副キャプテン、長い手を活かしたジャッカルやオフロードパス、ハイボールキャッチが光る)

7 山本凱(慶応義塾大学2年=格上相手のワンサイドゲームでも衰えぬ激しさ、タックルと突進とジャッカルで覗かせる強靭さ)

8 アマト・ファカタヴァ(リコー=問答無用のパワーとフットワーク、オフロードパス、大東文化大学入学のため来日する前は、ニュージーランドでもプロ契約の話あり)

9 齋藤直人(早稲田大学4年=キックとパスの飛距離、余裕を持ちながら実現する速いテンポでの試合運びは、ジュニア・ジャパンやジャパンAでも披露された)

10 ヘイデン・パーカー (正確無比なゴールキック、果敢なタックラーでもある)

11 木田晴斗 (立命館大学1年、持ち前のフットワークとボディバランスで人垣をすり抜ける、タックルされた後のボールコントロールが巧み)

12 マイケル・リトル(三菱重工相模原/サンウルブズ=小さくとも強さと俊敏性を活かして突破、バッキングアップでもチームを救う)

13 ニコラス・マクカラン(帝京大学3年=長身のチャンスメーカー)

14 シオサイア・フィフィタ(天理大学3年=強靭なボディで力強く突破、オフロードパスも得意)

15 山沢京平(明治大学3年=人が見つけていないスペースを見つけ、そちらへ走るもしくは蹴る)

 以下は、日本の大学ラグビー界の猛者に20歳以下の日本出身プロ選手を付け加えたベストフィフティーン。

1 安昌豪 (明治大学4年=ワークレート)

2 武井日向 (明治大学4年=低い前傾姿勢でのランとタックルを連発、ピンチの接点に顔を出す)

3 細木康太郎(帝京大学2年=フィジカリティ、ランニングスキルとスピード)

4 片倉康瑛(明治大学3年=空中戦とタックル)

5 アシペリ・モアラ(天理大学2年=突破力とジャッカル、勤勉)

6 福井翔太(パナソニック=前向き、ロータックルや接点でのスローダウンといった防御時の「通常業務」へ高い意欲示す)

7 山本凱(慶応義塾大学2年=格上相手のワンサイドゲームでも衰えぬ激しさ、タックルと突進とジャッカルで覗かせる強靭さ)

8 アセリ・マシヴォウ(拓殖大学4年=オフロードパス、エッジで球をもらえばビッグゲイン)

9 齋藤直人(早稲田大学4年=キックとパスの飛距離、余裕を持ちながら実現する速いテンポでの試合運びは、ジュニア・ジャパンやジャパンAでも披露された)

10 岸岡智樹 (早稲田大学4年=聡明な意思決定者、出身の東海大仰星高校・湯浅大智監督曰く「ポーカーで、ワンペアしか持っていないのにロイヤルストレートフラッシュが揃っているかのように振舞える」、すなわち図太い)

11 木田晴斗 (立命館大学1年、ボールタッチへの意欲高い、「空手は黒帯」「関西大倉中学時代に自分でラグビー部を作った」などエピソード豊富)

12 ニコラス・マクカラン(帝京大学3年=球をもらう前から柔らかい走りを繰り出し防御の死角を切り裂く)

13 シオサイア・フィフィタ(天理大学3年=クラッシャー、タックルも決まれば強烈)

14 山村知也(明治大学4年、スピード自慢のフィニッシャー)

15 山沢京平(明治大学3年=球を持てば相手を引き付け、外のスペースへ正確にパスやキックを配す)

 外国出身者が日本代表になれるのは、ワールドラグビーが定めたレギュレーションのため。両親、祖父母の1人が生まれているか、36カ月(3年)継続か通算10年に渡り居住した国(地域)であれば、選手は出生地ではない場所で代表資格を得られる。必ずしも国籍は必要ない。15歳で来日した現日本代表キャプテンのリーチ マイケルも、帰化申請前だった東海大学2年時に同代表デビューを飾っている。

 もっとも2020年12月31日以降、継続居住期間は36か月(3年)から60カ月(5年)に延びる。さらに2019年のワールドカップ日本大会に向けた欧州予選で、勝利チームの選手の代表資格に問題があったとされる事態が発覚。おかげで統括団体のワールドカップによる代表資格への取り締まりは、より強化されそう。

 ワールドラグビーは代表資格に関するルールを、2016年1月にアップデートしている。当時、付け加えた捕捉事項は、日本の海外出身者の行く末に影響を及ぼすかもしれない。

As far as students are concerned, particularly those that are not financially independent, being resident, as a full time student, in another country, is likely to be considered as a series of temporary absences from the parental home.

It is anticipated that in the majority of cases involving students the parental home is likely to continue to constitute the student’s permanent and primary home. Accordingly, attendance at college/university in such circumstances is unlikely to break a Player’s consecutive period of Residence.

However, as in all matters of eligibility, the overriding concern of the Regulations Committee in assessing any such case will be to ensure that there remains a close, credible and established link with the country in which the Player claims to have retained his primary and permanent home.

There could be circumstances in which a student living in another country may be deemed to have interrupted his Residency period.

(以下、筆者和訳)

経済的に自立していない学生は、保護者の家庭から一時的に他国へ出向いていると見なされ得る。

他国に居住している学生は大抵、両親の住む家を永住権のある一次居住地としているのではないか。そのような状況で(筆者注・他国の)大学へ入っても、当該選手の一次居住地での連続在留期間が止まることはほとんどない。

ただし、全ての資格の問題がそうであるように、規制委員会がそのようなケースを評価する際の最優先事項は、当該の選手が、自分の本拠地と永住権を持っていると主張する国と、どこまで密接で信頼できる確立された繋がりを残しているかとなろう。

学生の他国での居住が、出元となる国での居住期間を中断したと見なされる状況もあるかもしれない。

 上記、いかような解釈も成立しそうではあるが、本欄序盤の「大学へ入っても、当該選手の一次居住地での連続在留期間が止まることはほとんどない」は、「例えばトンガ出身の有望選手が日本の大学でプレーし続けても、帰省などのタイミング次第では『ずっとトンガに住んでいた』と解釈される可能性がある」と取れなくはない。

 後半の「規制委員会がそのようなケースを評価する際の最優先事項は、当該の選手が、自分の本拠地と永住権を持っていると主張する国と、どこまで密接で信頼で確立された繋がりを残しているかとなろう」も、「ニュージーランドから来日して3年日本でプレーする外国人選手でも、日本と『密接で信頼できる確立された繋がりを残している』と見られない限り日本代表資格は得られない」との解釈が成り立つ。この記述は、これから日本代表資格を欲しがる海外出身者へは少なからぬ影響を及ぼし得る。現日本代表でも、来日3年目を過ぎているはずの外国人選手が「継続36か月以上在住」と見なされなかったため現状選外となっている。

 終盤では「学生の他国での居住が、出元となる国での居住期間を中断したと見なされる状況もあるかもしれない」と、それまでの論調とは逆に映る解釈も示されている。それだけに、今後の日本代表が海外出身者を首尾よく受け入れるには、より能動的かつ効果的な交渉が求められよう。本稿のふたつのベストフィフティーンに記載された海外出身者9名のうち、4名は日本代表資格を取得していないのが確実。その他5名のうち数名も、やや流動的とみられる。2019年以降の代表強化に向け、然るべき知恵が絞られたい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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