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早稲田大学・岸岡智樹が早慶戦のドロップゴール&陣地取った3本のキックを解説。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
現在はゲームキャプテンのような役割もこなす(写真は2016年)。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 創部100周年を迎える早稲田大学ラグビー部は、11月23日、東京・秩父宮ラグビー場で慶應義塾大学との早慶戦を21-14で制した。両軍加盟の関東大学対抗戦Aを5勝1敗とした。12月2日の明治大学との最終戦を制すれば優勝(秩父宮)。

 相良南海夫監督は「今日はディフェンスで粘り強くやっていこう、我慢比べの試合だと言って選手を送り出しました。その我慢比べでわずかながら勝てたことがきょうの点差に繋がったと思っています」と振り返った。

 試合後、多くの記者に囲まれたのはスタンドオフの岸岡智樹。前半25分には55メートルのドロップゴールを決めて3―0と先制し、陣地を獲りあうなかで多彩なキックを放った。要所では慶應義塾大学の防御網を切り崩して得点を演出。マン・オブ・ザ・マッチに輝いていた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――試合を振り返ってください。

「きょうは皆が頑張っていて、先週、ジュニア選手権でBチームがカテゴリーを挙げられたというのもあって。 チームとしてはディフェンスで勝つというの(テーマ)があって、それが帝京大学戦ではできなくて、ここ1~2週間でBチームを含めてやってきたなかで、きょうは相手が全然攻められなかったり、こちらが相手ボールをターンオーバーをしたところからトライが取れたり。積み上げてきたものが出せたと思います」

――ドロップゴールについて。敵陣22メートル線付近でのドロップアウトから放たれた相手のキックを、ハーフ線後方でフルバックの河瀬諒介選手が捕球。河瀬選手からパスをもらった岸岡選手が、そのまま右足を振り抜きました。

「ドロップアウトになった瞬間、狙おうかなと。前半は、追い風でしたね。相手のドロップアウトも飛んでハーフウェーくらいだろうと思っていたので。賭けでしたけど、結果的に決まって点数も動かせた。仮にドロップゴールが外れても(相手ボールの)ドロップアウトから始まるので、あまり変わらないかなと」

――ここまでの長距離。経験は。

「20メートルぐらいなら決めたことがありますけど、50は初めての試みで。大舞台だから決められたというところもあったと思います。練習したから(決められた)と言えればいいんですが、まぐれというのが確かなところです。40メートルぐらいからの練習はしたことがあるんですけど、それよりもさらに後ろだったので入るかな、行ったれ、みたいな軽い気持ちです」

――地域の取り合いでも光りました。

「相手のキックを蹴る選手をレビューの時に特定した。後ろのバックスリーはキックを蹴ってこないけどカウンターがあると思っていた。大体、僕が蹴っていたんですけど、周りの選手が『右裏には××』『左裏には○○』(記号は選手名)というコールを出してくれていた。そのおかげで、キックの苦手な選手の前にボールを落として真横に蹴ってもらったりすることができた。前半、エリアマネジメントはほぼ完ぺきだったと思います」

 なかでも駆け引きが注目されたのは、前半37分以降に打ち込んだ3本のキックだ。

 岸岡はまず、自陣10メートル線付近中央から左奥へ長距離砲を放つ。相手ウイングの小原錫満を後退させつつ、自陣10メートル線エリア左へ大回り。小原の蹴り返しを捕球すると、今度は上空へハイパントを蹴り上げた。捕球した相手には、早稲田大学の防御が激しくプレッシャーをかける。

 まもなく慶應義塾大学スタンドオフの古田京キャプテンが自陣22メートル線付近までキック。すると待ち構えていた河瀬が捕球し、岸岡にパス。その流れで岸岡は右奥へロングキックを放ち、前がかりになっていた慶大フルバックの宮本恭右を逆戻りさせる。

 河瀬が宮本にプレッシャーをかけていたことと相まって、宮本はキックを試みるも弾道が左へ大きくそれた。早稲田大学は敵陣10メートル右のラインアウトを獲得し、鮮やかな連続攻撃からペナルティーゴールによる得点を導くのだった。

――…この間、いくつかの種類のキックを蹴り分けていました。振り返っていただけますか。

「相手にロングキッカーの10、12番の選手がいた(古田とインサイドセンターの栗原由太)。その選手はハイボール(を捕るの)が苦手だという認識があったので、その選手が(慶応義塾大学のチェイスラインの)裏にいる時は、そこでハイボールに強い僕たちのウイング、フルバックを競らせて再獲得するというのがテーマでした(その他の場面も踏まえての発言か)。蹴ったのは僕の判断もあったのですけど、周りから『右裏が10番だからハイボールを』などの声を聞いたおかげでもあります」

 東海大仰星高校出身の3年生で、自己推薦により入学した一昨季から不動のレギュラー。山下大悟前監督の退任を受けて迎えた今季も、夏場以降はゲームリーダーを任されている。状況を客観的に分析する資質にも定評がある。明治大学戦でも活躍が期待される。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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