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早稲田大学創部100周年、今週末開幕。相良南海夫監督、夏は自主性磨いた。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
岸岡智樹は 1年時からレギュラー(写真は2016年)。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 早稲田大学ラグビー部が、調子を上げてきた。

 創部100周年を迎える今季は指揮官が交代。山下大悟前監督からバトンを引き継いだ相良南海夫新監督は、夏合宿でチームのまとまりと選手たちの自主性を醸成。大学選手権9連覇中の帝京大学との練習試合を28-14で制するなど、成果を示しつつある。

 9月9日の関東大学対抗戦Aの初戦(埼玉・セナリオハウスフィールド三郷)を前に、指揮官が夏場の成長や期待の新人について語った。

 歴代最多となる15度の大学日本一を誇る早稲田大学は長らく不振にあえいでおり、山下前監督時代もインフラの整備などでチームを改革も選手権4強入りを逃していた。急遽、再建を託された相良新監督は「MOVING」という標語を掲げ、攻守両面で数的優位を作りたいとする。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――8月に長野・菅平高原で実施した夏合宿、いかがでしたか。

「合宿は全部員が一緒にいる時間なので、コミュニケーションがより取りやすい環境にある。練習時間外も使って、与えられるだけじゃなくて、選手だけで共有したり、課題解決をしたりできるようにしたいと思ってやってきました」

――練習試合に向けてはまずゲームリーダーにプランを考えさせたようですね。

「やっぱりゲーム中の判断は選手同士でやらなきゃいけないので。三井大祐スキルコーチが個別にある程度、選手を指名して『考えてこい』と伝え、その内容を受け取って、そこにコーチの思っていることをすり合わせしていく」

――帝京大学戦勝利の意味は。

「(これまで)何となく敷居が高いと感じていたかもしれないですが、同じ土俵で戦えるというくらいの気持ちにはなれたと思います。そういった意味では、練習試合でも(勝って)よかった。うちがいいプレッシャーをかけられていた。そこの部分は、頑張れていた」

――注目の1年生についても伺います。夏場はセンターの長田智希選手、ウイングおよびフルバックの河瀬諒介選手(ともに東海大仰星高校)、プロップの小林賢太選手(東福岡高校)が主力組でプレーしていました。

「長田は、ちょっと格が違います。状況判断力が高い。練習で見せないよさみたいなものが試合でみられます。一方で河瀬は、自分で仕掛けるマインドを持ってくれたらもっといいと思います。空いているスペースを見つけたらどんどん自分で(ボールを)呼び込んでもらえれば。1年生だから難しいところもありますが、スピードはありますから。小林はタフなポジションなので大事に使いたいですね。彼はそもそも身体が強いですし、修正能力が高い。練習中にコーチがアドバイスをすると、のみ込みがいいのかすぐに次のスクラムで対応できるんです。それには、コーチたちも驚いています。彼なりにも、指摘されるポイントについて問題があると認識しているのだと思いますが」

 帝京大学は、新たなシステムをインストールしたばかりのタイミング。夏の対戦結果が秋以降の結果と直結しづらいのは確かだろう。もっとも昨季まで大差で敗れることの多かった王者から白星を得たことは、自信の礎となる貴重な成功体験を得られたか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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