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日本代表復帰に向け日野に移籍。木津武士、成長実感したわけは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
2016年11月以来の代表復帰を目指す。(写真:アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表として2015年のワールドカップ日本大会などに出た木津武士は今季、7年間プレーした神戸製鋼から日野に移籍した。

 一昨季まで5シーズン連続で国内トップリーグ4強入りという強豪から、今回初めてトップリーグに昇格したクラブへの転職。決断の背景には、自分を変えたいという思いがあった。

 スクラム最前列中央のフッカーとして力強いプレーを繰り出す木津は、現在30歳。持ち前のサービス精神で多くのファンに支持されている。

 2017年は、東海大学時代から選出されてきた日本代表に一度も加われず。今季は同代表だけではなく、その兄弟チームであるサンウルブズ(スーパーラグビーに参戦)からも声がかからなかった。2019年のワールドカップ日本大会出場に向け、新たな挑戦に賭ける。

 8月11日は東京・キヤノンスポーツパークでキヤノンとの練習試合に出場(21―21でドロー)。8月31日のトップリーグ開幕に向け、急ピッチで調整する。

 一大決心の結果、内なる成長を自覚できているという。「頭を使う時間が倍以上に」「周りに助けられていても何も変わらない」という言葉に、実感がこもっていた。

 以下、キヤノン戦後の単独取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――キヤノン戦を終えて。

「僕もずっと怪我をしていて、ようやく今週、復帰。きょうのキヤノン戦を目指して練習してきました。チーム自体は試合数もこなしてきている分、出ている選手はフィットしている。そこに(自身が)開幕までいかにフィットできるか。時間もないので、僕自身がいかにパフォーマンスを上げてチームに貢献できるかというイメージです。多少は無理するところかなと。いまは」

 キヤノンとは当初6月16日、7月28日に練習試合を予定も、雨天などのため中止となっていた。木津は6月のゲームで実戦参加を目指していたが、そのゲームが流れた先での練習中に故障。開幕を目前に控えたこの日、ようやくカムバックを果たしていた。

――決意の移籍。新天地の様子と自身の現状をどう見ますか。

「一緒にやっていくと、もともと日野にいた人のなかにもトップリーグで通用する選手がいた。上から言うわけではないですが、チームとしてよくなっていけばトップリーグで通用するという印象ですね」

――確かに、転んだ後にすぐ起き上がるなど頑張る選手が多い。

「そうなんですよ。だから、いいチームになると思うんですけどね」

――ご自身はどんなアプローチを。

「きょうはセットプレーで崩れてしまった。特にラインアウトで(サインなどを)合わせられていなかったので、肝心なところで捕れなかったという印象です。監督にセットプレーの精度の高さを求めてもらって移籍してきたと思っているので、そこはまず安定させていきたい。セットプレーを安定させてゲームになるようにしていかんと話にならないと思うので、自分としてはそこを意識したいです」

――置かれた状況や環境を変えることで成長し、日本代表復帰を目指す。それが移籍の理由だったと聞きます。

「移籍したことで、どうしたらもっとプレーがうまく回っていくのかなど色々なことを考えなあかんし、ラグビーを考える時間が圧倒的に増えた。個人で変わるという意味では、凄く充実しています。

 どこでどうやったらラインアウトが捕れるかということも、神戸にいた時だったら(元南アフリカ代表のアンドリース・)ベッカーや(元日本代表の)伊藤鐘史さんに任せきりで、自分はただ放るだけだった。(日野では)そういうことについてももっとこうしたらええんちゃうかと考えたり、倍以上に頭を使うことが増えた。周りへ貢献できているかは別として、個人としては伸びていると思います。ラグビーに対する意識とか。

 結局、周りに助けられていても何も変わらない。クボタにいる立川理道もチームが上位にいなくても自分1人で目立てて、代表に入っている。チームが下位にいても(代表に入れるかどうかは)自分次第。去年はいいチームにおって全部出たけど選ばれなかった。それは自分がよくないからだと思ったんです。強いチームにおった方が(代表首脳に)見てもらえるやんと言ってくれる人もいましたけど、僕のなかではそこじゃないと思っています」

――これから代表に戻ったら、どんな貢献ができると思いますか。

「入ったらまず、セットプレーを(安定させる)。あと、そういう場所(日本代表)でやれることに対し、いままで以上に当たり前だと思わないと思うんですよね。ずっと代表に入ってきたなか1年以上も入れなくなると、あの場所ってすごくいい環境だったんだなと思えますよね。もう、1日、1日、必死。ジェイミー・ジョセフが求めるプレーヤーになるのに、必死になるんだと思います。選ばれなくなって気付くことがすごく多かった。それでラストチャンスだと思って環境を変えた。何もしないで落とされるよりは、何か行動を起こして変わりたい。それであかんかった方が、納得いく」

――見据えるのは、2019年ですね。

「皆、出たいですよ、それは。何とか、目につくようなプレーができたらいいですよね」

 日本代表は今秋、ニュージーランド代表、イングランド代表と対戦。翌年はサンウルブズのシーズン終盤から動き出し、ワールドカップに備える見込み。代表から離れたことによって代表でプレーする大義を知った木津は、その舞台に立てるだろうか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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