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スティーブン・ラーカムが見たアイルランド代表。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
リコーでは離日寸前までコーチ陣とレビュー。(写真:ロイター/アフロ)

 ラグビーオーストラリア代表のアタックコーチを務めるスティーブン・ラーカムが、一時来日中に日本代表の宿敵について語った。

 現役時代は同代表として102キャップ(テストマッチ=代表戦出場数)を取得してきたラーカムは、現役引退後の2011年に元プレー先のブランビーズでコーチングキャリアをスタートさせ、2015年から現職。さらに2008年から3シーズン、日本のリコーでプレーしていた縁で、毎年来日して同部のトレーニングを視察している。

 今年は7月下旬に5日間、訪れ、「個人的な観点からプログラムを見ます。何か気付いたことがあれば、アドバイスをしてゆく形です。数年前にリコーにいた時と比べると、改善点が見られます」とした。離日直前、単独取材に応じ、今年6月におこなわれたオーストラリア代表のテストマッチ3連戦について語った。対戦相手のアイルランド代表は、2019年のワールドカップ日本大会で日本代表と対戦する。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。 

――オーストラリア代表は今年6月、アイルランド代表と3連戦をおこない1勝2敗でした。スコアはそれぞれ18―9、21―26、16―20です。

「準備期間が短いなか、初めの試合に勝てたのはよかった。グループのなかで(戦術などの)明確な理解がなされていました。世界2位のチームに対して優位な試合運びはできませんでしたが、チームとしては成長しています。結果は残念ですが、成長が見られたことはハッピーです」

――アイルランド代表は、来年のワールドカップ日本大会で日本代表と予選同組になりますが。

「アイルランド代表は全体的に規律正しく、フィジカリティ。賢い9、10番(コーナー・マリー、ジョナサン・セクストン)が揃っています。戦術的には、フィールドポジションを取ってプレッシャーをかけてきます。長いフェーズを重ねるだけのボールキープ力もあります。フォワードが大きく、突破役がいる。ブレイクダウン(接点)は効率的です(少人数でボールを活かせる)」

――防御システムは大外から内側へせり上がる形。攻める側にとっては、飛び出した相手の背後のスペースが狙い目となりそうな。

「時には、そうですね。ただ、彼はそのスペースをカバーするのも上手いと思います。スクラムハーフ、ブラインドサイドウイングが回り込んできます」

――日本代表にとって手ごわい相手であることが再確認できました。

「そうですね。戦う相手としては、難しいかもしれません。この2年間のアイルランド代表のテストマッチを見ていると、クロスゲームに勝つ力が強い。私たちもテストシリーズ後、自分たちの方がよりよいチームかなと思ったのですが、試合のラスト15分間をどう戦うかを考えなくてはと思いました」

 自軍のフィードバックをする延長で、アイルランド代表の強さを語っていた。日本代表のファンにとっては厳しい現実が突き付けられた格好かもしれないが、ラーカムは日本代表と連携を取るサンウルブズ(スーパーラグビーに参戦)について「観ていて楽しいラグビーをしていますし、ディフェンスが大分よくなった」とも話している。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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