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日本代表・流大、倒したイタリア代表は「次が危険」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真:アフロ)

 イタリア代表戦当日となる6月9日の朝、ラグビー日本代表の流大はチームミーティング後に「リザーブの人は、少し残って下さい」と告げた。

 試合でベンチ入りする8人で集まり、投入時の点差に応じたプレー選択などについて意見を共有。抜かりなき準備を経て、会場の大分・大分銀行ドームへ入った。

 キックオフ。流は17―14と3点リードで迎えた後半8分から登場する。一時は同点に追いつかれるも、同17分の勝ち越しから徐々に点差を広げ、34―17で勝利でした。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが就任した2016年秋以後、欧州6か国対抗に出場するチームを破ったのは今回が初めてだった。

 流は2014年度、帝京大学のキャプテンとして大学選手権6連覇を達成。2016年には入社2年目のサントリーでキャプテンに抜擢され、以後、国内トップリーグで2連覇。さらに今季は、日本代表と連携を図ってスーパーラグビーに挑むサンウルブズでも新加入ながら共同キャプテンの一角を担っている。

 サンウルブズでは、日本代表と兼務するジョセフヘッドコーチへ控え選手へのアプローチなどについて提言。グラウンド内外で奮闘し、今度の日本代表ツアーでもリーダーシップグループの一員となっていた。

 16日には、兵庫・ノエビアスタジアム神戸でイタリア代表と再戦する。11日に都内で練習後、9日の「残ってください」の背景と次戦への展望について語った。

 以下、単独取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――試合前、リザーブだけで集まって話した。その背景は。

「(試合は)クロスゲームになりそうで、リザーブの役割は大事になると思っていたので。皆、(それぞれの役割は)分かっていたとは思うんですけど、リザーブメンバーがリザーブメンバーとして固まってスタートにコネクトしていくことが大事だと思ったので。そんなに固い感じでもなく、ちょっと残ってくださいと言って確認事項を…(共有して)終わるという感じでした」

――サンウルブズではリザーブ同士での話し合いがスケジュールに組み込まれていたようです。今度の日本代表ツアーではそうではなかったものの、流さんは実施に踏み切った。

「やった方がいいなと僕は感じたので、自発的にやりました」

――いざ試合が始まると、チームは流選手の出場後にリードを広げます。

「それはたまたまというか、ゲームの流れもありますし…。ただ自分が入った時、チームのやることを明確にするためのコミュニケーションを取ることと、テンポを上げることは意識して臨んだ。それは、ある程度はできたと思います」

――対するイタリア代表は欧州6か国対抗戦(シックスネーションズ)の一角。実際に対峙しての印象は。

「多分、イタリア代表自身が自分たちのやりたいプレーをできていないんじゃないかなと思って見ていました。ヤマハとの試合(来日後の国際親善試合)、シックスネーションズの試合の時よりも、自分たちのラグビーができていない印象です。(会場の)暑さ、アウェーという状況など理由は色々あると思いますが。…だから、次は危険だと思います」

――16日の再戦に向け、気を引き締めているようです。一度勝ったからと言って次も勝てるとは限らない、と。

「もちろんです。次が一番、危険。向こうは屈辱を味わっていて、すべてをぶつけてくると思うので、僕らは前回の準備で勝てるとは思わずにより良い準備をしないと勝てないというマインドで臨んでいます」

――どういう準備をしていますか。

「コンタクトエリアのところではかなり激しくくる。(前回は)ラック周辺で少し行かれていた(破られていた)のでそこを改善。あとは、ゲームプラン自体はうまくいっていたのですけど、少し役割外のことをやっていた。それをきょう、確認して、そういうこと(初戦で起きた問題)が起こらないようにしようという話をしています」

 特に「ラック周辺」などをはじめとした防御の項目は、12日以降のセッションで確認する予定。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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