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サンウルブズ中村亮土、周りへの声掛けは自分のため?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
サントリーの沢木敬介監督曰く「今季、僕に一番怒られた選手」。(写真:FAR EAST PRESS/アフロ)

 国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦して3シーズン目となるサンウルブズは、1月28日からの事前キャンプで身体的な負荷をかけた。

 例えば福岡県北九州市入りして4日目となる2月5日の午後練習では、防御の連携やシステムなどを約90分かけて確認したのち、腕立て伏せ、ローイング(背筋を鍛えるマシン)、マシンバイク、地上に手を付けて両足を前後に動かすセッション、地面にあるミットを打ちつけるボクササイズといった5種類のメニューを次々とこなしていった。選手が5つのグループに分かれて各コーナーを回りながら、全てのメニューに取り組んでゆく。

 次第に息の上がる選手も出たが、周りを鼓舞していた1人は今季初参戦の中村亮土だった。

 腕立て伏せのセットの合間には「すぐにスタートが来るよ!」と気を緩める味方に檄を飛ばす。あと1本でおしまい、という声が聞こえれば「ラスト、ラスト!」と仲間を元気づける。スーパーラグビーは未経験ながら、リーダーシップを発揮しようとしている。

 

 練習を終えて雪の舞うグラウンドを去る折、意図を語った。

 以下、単独取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――苦しいトレーニングでの周りへの声掛け。意識的にしているのですか。

「意識、しています。全員で乗り越えるのが大事なので。フィットネス(持久力)には自信もあるので、そういうところでちょっとでも引っ張れたら」

――チャレンジをするなか、リーダーシップを取ろうとする。

「余裕はないですけど、ここでちょっとでも声を掛けられたら、自分の成長に繋がるかなと思ってやっています」

 苦しい時に周りを鼓舞すると同時に、苦しい時に周りを鼓舞できる「自分」に「成長」するというイメージか。

 大学選手権9連覇中の帝京大学で5連覇時のキャプテンを務めていた中村は、身長178センチ、体重92キロの27歳。国内最高峰であるトップリーグで2連覇中のサントリーでは、昨季、オーストラリア代表103キャップ(国際真剣勝負への出場数)とインサイドセンターのポジションを争い、ギタウがスタンドオフに回ったプレーオフ決勝では持ち前の推進力とフィジカリティを活かし活躍。遡って昨年には、2014年度以来となる代表復帰も果たしている。

 サンウルブズではマイケル・リトルら身体能力にたけた海外勢、立川理道のような日本代表の主力格とのセンター争いが強いられそう。ここで中村は、堅実なパフォーマンスで信頼を勝ち取りたいという。

――改めて、サンウルブズ入りが叶ったことはどう思いますか。

「(トップリーグプレーオフの)準決勝、決勝のパフォーマンスを見て呼んでくれているのだと思うので、そのパフォーマンス以上のことをやらないといけない。1つ上のレベルでプレーできるのは自分にとってのチャレンジなので、楽しみですね」

――ライバルとの定位置争いは。

「人の技を盗みながら、自分の強さを出していけたら。ディフェンスで信頼されないとチーム(主力グループ)には入っていけないと思うので、まずはシステムを理解して、チームのセンターのなかでタックルスキル、フィジカルを存分に発揮する。そこで、信頼を得たいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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