これが花園の醍醐味? 東海大仰星高校・湯浅大智監督の「クセ」論とは。【ラグビー旬な一問一答】

写真左は、東海大仰星高校のウイング河瀬諒介。父は元日本代表の泰治氏。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 大阪・東大阪市花園ラグビー場での全国高校ラグビー大会には、濃密な時間を過ごす指導者の濃密な言葉が詰まっている。

 心技体とも発展途上にある高校生ラグビーマンをひとつの集団に束ねる過程での皮膚感覚は、時に普遍へ昇華される。

 例えば2017年12月30日、第1グラウンドでの2回戦後。東海大仰星高校の湯浅大智監督の「クセ」の話。

 シード権のある東海大仰星高校はこの日、28日の1回戦を突破した熊本西高校に57-12で勝利。指揮官はスタンド下のインタビュールームに招かれ、この試合や今大会についての質問に応じた。

 

 その延長で、話題が今年度のチームカラーに転じた際、湯浅監督は多彩な個性の存在を認める重要性を強調することとなる。

 全国優勝4回を誇り昨年度は2度目の準優勝を果たした東海大仰星高校にあって、湯浅監督は就任5年間で2度の日本一を経験。今年は2季ぶりのVを目指していて、前監督の土井崇司(現東海大学スポーツ課所属)には「ラグビー、スポーツ、体育を教えるのに最も必要な熱を持っているし、頭も使える。これからの日本を代表する指導者になる」と太鼓判を押されている。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――モールにこだわる熊本西高校に勝って感じることは。

「勤勉にやるのは、負けないチーム。ただ勝つチームというのには、分析力、対応力、修正力があると思います。まず負けないという部分を大事にしてきて、勝つという部分を上乗せできたらと思っているのですが、そこはまだまだ足りていない。きょう、熊本西高校さんとやらせていただいてそこが勉強になった。次に繋げたいです」

――今年のチームの印象は。

「真面目です。真面目。クセのあるタイプが少ないな、と。クセのあるタイプの選手は、皆と違う観点でものを見られる。そういう子がどこかで覚醒してくれたらいいな、と思っています」

――捉え方によってはネガティブにも映りうる「クセのある選手」の存在は、大事なのですね。

「無茶苦茶、大事です。皆が曲者だったら困るんですけど、ちょっと、違った角度でものを見られる人間がいるのは、(チームにとって)すごく刺激になる。それで、皆の嗅覚が磨かれる。

 きっと(全国大会期間中は)宿で密に喋るなかで、『(誰かの発言から)あ、そういう見方もあるのか』と気づくことがあると思うんです。去年とはメンバーが入れ替わっているので、そういうクセのあるメンバーが2年生から出てくれると、3年生の刺激になると思います。選抜大会は早々に敗退してしまったので(予選リーグまでの出場)、今年の2年生は宿で長く過ごすという経験をしていない。ですので、きょうのような刺激の入るタイミングで…。こちらも、何かを打ち出していけたらと思います」

 ラグビーは格闘技兼球技といった趣があり、多様性をにじませる。打ち出された方向性を忠実に体現しようとする「真面目」な選手、その方向性とは別な角度から組織をブラッシュアップさせる「クセ」のある選手の両方が大切と捉える…。それは、競技や指導への没頭ぶりで知られる湯浅監督らしい着想かもしれなかった。大会期間中の「宿」での会話からその個性を見出そうとする意欲もまた、興味深い。

 ちなみに湯浅監督のなかでは、「クセ」のある選手の目星はついているようだ。

「こいつかな、と思うやつはいるんですけどね。きょうも(試合に)出したんですけど…」

――誰ですか。

「内緒です。来年のお楽しみに」