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パナソニック山田章仁、双子&妻の誕生日祝いの3トライ生んだ特訓とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
相手をかわすランニングスキル、タックルされた後のボディバランスも魅力。(写真:田村翔/アフロスポーツ)

 パナソニックに所属するラグビー日本代表ウイングの山田章仁は、9月23日、埼玉・熊谷陸上競技場で国内最高峰トップリーグの第5節に先発した。かつて南アフリカ代表を率いたジェイク・ホワイト新監督を擁するトヨタ自動車から、3トライを奪取。43―16で勝利した。

 前半の接触プレーで左目上まぶたに傷を負ったなか、弾んだボールをうまく処理した。

 

 まずは相手がペナルティーゴールを外した直後にあたる後半11分。敵陣中盤右で、味方のタックルにより相手がこぼしたボールを前方へドリブル。弾道をインゴールまで追い、22-13とスコアを広げた。

 さらに22分には、敵陣右を大きく突破したフランカーの布巻峻介に大声でボールを蹴るよう呼びかけ。望みどおりに布巻が蹴ると、その弾道を追いかけ2トライ目を決めた(直後のゴール成功でスコアは29-16)。

 布巻の務めるフランカーはぶつかり合いなどで力を割くポジションだが、もともと布巻が司令塔のスタンドオフ、インサイドセンターなどを務めていたとあって、山田は「布巻はバックス出身の選手なので、絶対に蹴れると思いながらコールしていました。何回も叫びましたから」と振り返った。

 27分には、インサイドセンターである松田力也のパスを受けての3トライ目でだめを押した(36―16)。前日は昨年産まれたブライス君、グレースちゃんの、この日は妻・ローラさんの誕生日とあって、「3トライ。平等に獲れてよかったです」と振り返った。

 試合後は、跳ねあがるボールの処理を支える日ごろの鍛錬などについて語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――スコアを観れば快勝も、強いトヨタ自動車に競り勝った格好です。勝因は。

「トヨタは本当に強く、完成度も高かった。チャンスを逃すと、相手に勢いが行くと思っていたので、チャンスを逃したくなかったです。こういう試合は、チャンスをものにした方が勢いに乗っていい試合になる」

――ここまで開幕5連勝。

「どの試合も、どっちに転がってもおかしくない。そんななか、勝負所で集中しているとすごく感じます」

――バウンドボールへの反応。

「ボールを持ってチームを勢いづけたいという思いは常にあるので、ボールがどこに行くかを予想しながら…ということを意識していました」

――きょうのグラウンドは、インゴールが芝ではなくマットでした。

「堅い分、跳ねるので、より慎重にはなっていました。布巻のキックからのトライは、バウンドを待つかどうかを迷っていました。そのまま行っちゃって、よかったですね」

――普段、アメフトのボールを使った捕球練習をしているようですね。

「ボールを捕る練習は比較的、よくやっていると思います。(アメフトのボールは)ラグビーボールより小さいので、手で捕れるように集中してやれる。(成果が)今日、ちょっと出てよかったと思っています」

 2012年には社会人アメフトのXリーグへ挑戦するなど、異なる楕円のたまに親和性を持つ山田。「チャンスをものにした方が…」という言葉通り、わずかな好機をスコアに昇華した。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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