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20歳以下日本代表メンバー発表。遠藤哲ヘッドコーチ会見要旨。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真はリコーのフォワードコーチ時代。(写真:アフロスポーツ)

 ラグビーの20歳以下(U20)日本代表は8月29日から9月10日、ウルグアイでの「ワールドラグビーU20トロフィー」に挑む。7月27日には都内で大会に出るメンバー28名を発表。遠藤哲ヘッドコーチが、山神孝志強化副委員長とともに会見した。

 大会には8チームが参加。2つの予選プールに分かれて計3試合の総当たり戦に臨み、各組の同じ順位のチーム同士で順位決定戦をおこなう。各組1位同士の順位決定戦のトップが優勝チームとなり、翌年度から上位大会のU20チャンピオンシップに昇格できる。

 U20日本代表は昨年まで2シーズン、U20チャンピオンシップに参加も、昨季は最下位。降格を余儀なくされた。将来の日本代表を支える若年層の強化を促すためには、U20日本代表がU20チャンピオンシップで強豪国と戦うのが望ましいとされる。

 以下、会見中の遠藤ヘッドコーチの一問一答の一部(編集箇所あり)。

「では、フォワードから順に発表します(以下、メンバーと学校名を発表)。

左プロップ

有藤孔次朗  中央大学2年 身長173センチ、体重102キロ

安昌豪 明治大学2年 身長177センチ、体重108キロ

鎌田慎平  筑波大学2年 身長180センチ、体重103キロ

フッカー

新井望友  東海大学2年 身長173センチ、体重87キロ

武井日向 明治大学2年 身長170センチ、体重96キロ

右プロップ

中野幹 東海大学2年 身長178センチ、体重106キロ

藤井大喜 大東文化大学2年 身長184センチ、体重122キロ

ロック

伊藤鐘平 京都産業大学2年 身長188センチ、体重93キロ

堀部直壮〇 同志社大学2年 身長190センチ、体重88キロ

杉原立樹 関西学院大学2年 身長183センチ、体重104キロ

箸本龍雅 明治大学1年 身長188センチ、体重109キロ

ブラインドサイドフランカー

ファウルア・マキシ 天理大学3年 身長185センチ、体重107キロ

オープンサイドフランカー

粥塚諒  流通経済大学2年 身長185センチ、体重91キロ

佐々木剛 大東文化大学2年 身長180センチ、体重89 キロ

ナンバーエイト

土谷深浩 筑波大学2年 身長186センチ、体重94キロ

フェインガ・ファカイ 京都産業大学2年 身長180センチ、体重105キロ

スクラムハーフ

齋藤直人〇 早稲田大学2年 身長165センチ、体重74キロ

末拓実 帝京大学2年 身長164 センチ、体重68 キロ

スタンドオフ

岸岡智樹 早稲田大学2年 身長173センチ、体重84キロ

眞野泰地◎〇 東海大学2年 身長171センチ、体重83キロ

ウイング

古賀由教 早稲田大学1年 身長176センチ、体重80キロ

福井翔大 東福岡高校3年 身長185センチ、体重90キロ

中孝祐 関西学院大学2年 身長177センチ、体重81キロ

松岡祐斗 筑波大学2年 身長183センチ、体重86キロ

インサイドセンター

本郷泰司 帝京大学2年 身長180センチ、体重89キロ

山菅一史 東海大学2年 身長164センチ、体重80キロ

アウトサイドセンター

山本悠大 関西学院大学2年 身長176センチ、体重86キロ

フルバック

山沢京平 明治大学1年 身長176センチ、体重75キロ

◎はキャプテン

〇は「ワールドラグビーU20 チャンピオンシップ 2016」 遠征メンバー

「今年の使命は1年で昇格することです。その大きなプレッシャー、壁を跳ね返すメンタルがあることを前提に39名の候補メンバーを選ばせていただきました。

(事前におこなわれた)合宿中は、挑戦し続ける選手、大会中も含めて成長し続ける選手を選んでいくと明言して、過ごしてきました。アタックは、ジャパンのやっているアンストラクチャーアタック(セットプレーを介さない攻撃)とアライメントを取っています。向こうの穴のないディフェンスに対して、穴を開けられる力、その意志を持っている選手を28名として選んだつもりでおります。それに付随して、フォワードでは敵を後ろに押し戻せる選手、バックスは穴を見つけられて、(穴を開けることを)実行できる選手。そこが大きな選考ポリシーです」

――眞野キャプテンについて。

「彼をキャプテンに選んだのは人間として真摯だから。何事に関しても真摯。それと付随して、大きな熱を他の人以上に持っている。短期で集まるチームのなかで、スタンドオフとしてゲームの流れ、プランを全体に浸透させる能力がある。彼をキャプテンにすることで、周りへの相乗効果もあると考えています。彼がリーダーをしていくと、ポジティブな選手がより生まれる。その雰囲気を、彼がゲームキャプテンをやった試合などを通して感じています」

――高校日本代表の活動を終えたばかりの選手もいますが、彼らへのメッセージは。

「日本人の良さでも悪さでもあるのが、謙虚すぎること。それは勝負の世界ではなくなったほうがいい。戦う前から負けている必要はない。掲げるラグビーをより実現するように…と」

――山沢選手について。

「教えられないものを持っているところがある。ランニングのセンス、スペース感覚が優れている。カバーディフェンスなど、想像以上に献身的なプレーが多いです。普段は無口ですが、プレー中のコミュニケーションも相当やっている。チームの一番後ろを任せるのにふさわしいと、信頼して選ばせていただきました」

――東福岡高校ではナンバーエイトを務める福井選手をウイング(11番)で選考。同じポジションでは、怪我からの復活を待っていた山村知也選手(明治大学2年)が落選しています。

「福井を11番に入れるのは最終的に決めたことなのですが、ユーティリティープレーヤーとして期待しています。フィールドの端っこのところでのチャンスメイクをする役割(※1)に、彼の身体能力、アグレッシブにプレーできるスタイルを重ね合わせてトレーニングをしていて、マッチもしていた。

 また、アンストラクチャーアタックと言っているのですが、あくまでストラクチャーアタック(セットプレーを介す攻撃)から始まるアンストラクチャーアタックもある。1次目にブラインドウイング(ボールがある側のウイング)を使うなど、ストラクチャーアタックをよりよくする起爆剤としても期待しています。

 山村選手に関しては、コンディション不良のなか選考を続けていました。残念ながら能力を発揮できないということで、今回のようになりました」

※1 現日本代表が攻撃をする際、システム上タッチライン際にウイングとナンバーエイト(またはブラインドサイドフランカー)が並び立つ。

――昇格に向けて大事なこと。

「これまでの合宿では、ジャパンとのアライメント、理解(に力を入れた)。ただ、ここからは理解だけで勝てない。鍛錬、チームビルディングも含め、戦闘モードに入っていく。8月の合宿が僕らの結果を大きく左右すると思います」

――対戦相手や現地の情報について。

「同じプールの対戦相手の情報は随時集めている。情報を集めるのに難航しているチームもあるのですが、それは直前の注入になってもいい。勝つための準備をしたい。(順位決定戦でぶつかる相手プールについては)フィジー代表、ウルグアイ代表がいますが、まずフィジー代表の情報は入手しました。もちろん、現地に行ってから得られる情報の方が貴重になると思うので、現地のプール戦の情報を見ていきたいと思います。グラウンドや滞在ホテルについては、いま総務が現地に行っていまして、環境等を調べています。非常にいい芝生とスタジアムだということです」

――連携を図る日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチジョセフと話す機会はありますか。

「私がU20の選手に対して教えるとしたら、私がその内容を理解してないといけないといけないのは当然。PRC(※2)の前からおこなってまいりました。チーム作りのアドバイスもそうですし、戦術の遂行の際の起こりうる問題点などを私の方からも質問をさせていただきました。(キックを蹴って)アンストラクチャーアタックをあえて仕掛けて、その後に自分たちが仕込んでいるアタックを仕掛けたいのですが、そのアタックを仕掛けられない時の解決策を自分なりに考えてジョセフに伝えたり…。コミュニケーションを取っている」

※2 3月のパシフィックチャレンジ。U20日本代表候補に上級生を含めた「ジュニア・ジャパン」を編成して挑んだ

――去年の反省をどう活かすか。

「去年の反省が直結するかはわからないですが…。4年前にJWC(U20チャンピオンシップの前進)にいた時は、身体が劣っていて、それを前提に…としていたのですが、去年のU20チャンピオンシップではそうなっているように私は思わなかった。確かに見た目だけで言いますと向こうのほうが大きいですし、そこで争う必要はないと個人的に思っています。そんななかで身体の部分が劣っていないと言えるのは、まさに質のところ。パワーは追い付いてきたと思いますし、抜かしている部分もあるかと思います。それより(差が出たのは)ラグビーへの理解。どうアタックするか、どうキックを使うか、どうボールを動かすか…。それが勝利に繋がると私は思っています」

 会見中にあった「これからは理解だけでは勝てない」という思いが、大一番へ臨むチームの芯を支えるか。早稲田大学、ワールド、サニックス、リコーで現役生活を過ごした後は、東京・練馬で焼き肉屋店長を務めた経験もある44歳。8月の直前キャンプで、最後の総仕上げをする。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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