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日本代表スタンドオフ田村優、アイルランド代表戦への決意はシンプル。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
スムーズな指示出しを意識。(写真:アフロ)

ラグビー日本代表は6月17日、静岡・エコパスタジアムでアイルランド代表とテストマッチをおこなう。司令塔の田村優が、短い言葉に決意を込めた。

2015年に歴史的3勝を挙げたワールドカップイングランド大会でも2試合に出場。現体制下でも正スタンドオフの最右翼候補とされる。16日の前日練習でも練習を主体的に進行(いまの日本代表では、試合当日のスタンドオフが前日練習を引っ張ることが多い)。

6月10日、ルーマニア代表戦を33-21で制した熊本・えがお健康スタジアムでの一戦は後半26分から出場。自陣ゴール前でのボール奪取など、相手に傾きかけた流れを断つプレーを重ねた。

「流れが悪くなったら入れると言われていたので、流れを断ち切ろう、と思っていました。(相手に)勢いがあったので、それを切りたかったです」

周囲と連携を図りながらのパス、キックが光る田村は、当日、どんなイメージで試合に臨むのか。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチのもとでの「プラン」を遂行したいと、繰り返し強調する。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――アイルランド代表戦へ。

「力のある国。(日本代表は)スピードを持つ、ことですね。速いテンポで、と」

――会場の暑さ。

「味方になると、思ってます」

――ワールドカップで対戦する相手ですが、意識は。

「あまり、していないです。大事なテストマッチのひとつとして、捉えています。練習でいい準備をしてきたので、それを出せるようにしたいです」

――試合運びは。

「練習でしっかりプランを練っている。その通りに、と。僕がしなくてはいけない特別なことはない。チームのやって来たことを、やるだけです」

――サンウルブズ(国際リーグであるスーパーラグビーの日本チーム)での試合と、日本代表のテストマッチ。臨む気持ちの違いは。

「準備をしっかりするという点はどちらも同じ。ただ、テストマッチ。大事じゃない試合なんてないですけど、やる試合のなかでの一番大事な試合、ということはあります」

――ヨーロッパの強豪相手には惜敗が続いていますが。

「やってきたこと、やってきたプランを出す。それを僕もやるし、みんなにもやってもらえるようにしたいです」

強調された「プラン」「やってきたこと」には、ルーマニア代表戦でも見られたアンストラクチャー(セットプレーを介さない攻防)からの緻密な連係攻撃などが含まれているようだ。全選手が素早く位置取り、田村らゲームメーカーが適所へボールをさばく。これが「やって来たプラン」を「僕もやるし、みんなにもやってもらえるように」の具体的なイメージであろう。

またジョセフ率いるジャパンは各人の「仕事」の徹底をキーワードに掲げる。とりわけ司令塔だけに「しなくてはいけない特別なこと」があるわけではない。

当日は高温多湿の気候が予想されるなか、何より強豪国代表を前に「プラン」の遂行は叶うか。注目が集まる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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