Yahoo!ニュース

日本代表・堀江翔太キャプテン、アイルランド代表のセットプレーにどう挑むか。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
右後方の谷田部らとともに、セットプレーを安定させたい。(写真:FAR EAST PRESS/アフロ)

ラグビー日本代表は6月17日、静岡・エコパスタジアムでアイルランド代表とテストマッチをおこなう。試合会場での前日練習をおこなった16日、堀江翔太キャプテンが抱負を語った。

31歳の堀江は2013、14年にレベルズの一員としてスーパーラグビー(国際リーグ)に挑むなど海外経験も豊富で、ワールドカップには2大会連続で出場中だ。特に2015年のイングランド大会では、南アフリカ代表を倒すなど歴史的3勝を挙げている。

今年は6月10日、熊本・えがお健康スタジアムでルーマニア代表戦を33-21で制している。

アイルランド代表は、2019年にあるワールドカップ日本大会の予選プールで日本代表と同組。もっとも今回は日程上、主力を多く欠く。高温多湿のグラウンドコンディションへの耐性はホームに分があるとされ、日本代表の白星が期待されている。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――チームの仕上がりは。

「明日に向けていい感じに行っているんじゃないですか。週初めはコンディションを整えながらも、激しい練習もできているので。いいコンディションかなとは思います」

――会場の暑さは。

「味方にしたいですよね。特に相手が嫌がっているのであれば。暑いなかでいつもと同じように動ければいいと思います」

――ワールドカップで再戦する相手ですが。

「ワールドカップになればチームは変わるので、そこまで意識はしていないです。選手1人ひとりが『アイルランド代表ってこんな感じ』というものを掴んでもらえればとは思いますが、どんな結果になっても今回と2年後は全然違うチームになるとは思っています。今回の試合では、すべてを出し切って勝ちたいです」

――4年前の2013年も、今回と似た条件(主力を欠いた相手と国内で試合)のもとウェールズ代表に勝利。それがイングランド大会への序章となったと見る向きもありますが。

「僕、そこまで、あのウェールズ代表戦がターニングポイントだったとは思っていないので。明日の試合があって、さらに先の試合があって、どんだけ目の前の試合にフォーカスを当てるか、です。いま持っているものをしっかりと出すことに、フォーカスしたいですね」

チームはここまで、キックを交えたち密なコンビネーションを標榜。アンストラクチャーからのアタック(攻守逆転の瞬間や相手キックの捕球からの攻め)をち密に練り込んでいる。

一方でアイルランド代表は、フォワードが8対8で組むスクラム、空中戦のラインアウトといったセットプレーの安定感を長所とする。

堀江が務めるフッカーというポジションは、フォワードのなかでも特にセットプレーで重責が課される。スクラムは最前列中央で組み、ラインアウトでは投入役を担うからだ。堀江は、敵の強みをどう捉えるかについても言及した。

――対するアイルランド代表への印象。

「スクラム、ラインアウトは警戒しています。特別な対策というより、スクラムはまとまって組もうとか、ラインアウトのディフェンスで反応をよくしようといった、いつもやっていることの意識をさらに上げようというところです」

――スクラムについて。ルーマニア代表戦を受けて修正した点は。

「崩れることが多かったので、もっと全員がひとつにまとまって…と。しっかり崩れないスクラムを組みたいとは思います」

――ラインアウトについて。相手には身長208センチのロック、デビン・トナー選手がいます。

「出んといてくれとは言えないので、やるしかないですよね! 挑んでいきたいとは思います。スローワー(投入役の堀江)にとっても、ジャンパー(空中でボールを捕る選手)にとっても厄介ですよ。どういう風に外す(トナーのいない場所で飛ぶ)のか、あるいは彼の横で飛ぶこともあるんかな、と思いながら…。まぁ、僕がサイン(投入位置)を決めるわけではく、ラインアウトリーダーの谷田部洸太郎のコールを信じて放っていく(一般的に、主要ジャンパーが投入位置を決める)。信頼したいです」

――ヨーロッパの強豪相手には惜敗が続いています。勝つのに必要なプラスアルファは。

「セットプレーじゃないですか。あとはフォワードとバックスが同じページを見てラグビーができるか。戦術戦略通りにやりたいとは思います」

――肉弾戦での消耗は激しくなりそうですが。

「相手を動かしたいイメージがあるので、フォワードはこの前の試合以上に動いて欲しい、というのはありますよね」

スクラムは「崩れない」を意識。長谷川慎スクラムコーチの唱えるシステム通りにまとまって組めさえすれば、大きな相手にも力負けしないという手応えの表れでもあろう。専門コーチをつけていないラインアウトについては、谷田部のコールのもとに1人一人の動きの精度を高めたいという。

何より求めているのは、フォワードの運動量とのこと。キックとその弾道を追う動き、防御の穴へ素早くボールを繋ぐ攻め。それらを全うするには、黒子役のフォワードが素早い位置取りのため「動」くことが不可欠との意味だ。暑さを「味方」につけられるか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事