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3点奪取は「小さいから」? 日本代表司令塔候補・小倉順平の反省とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
果敢なタックルも魅力。(写真:FAR EAST PRESS/アフロ)

ラグビー日本代表の小倉順平は6月10日、熊本・えがお健康スタジアムでのルーマニア代表戦において司令塔として先発。後半26分までプレーし、33-21で勝った。

NTTコムに所属する24歳で、強豪と見られるチームとのテストマッチはこの日が初体験。他の14人を動かすスタンドオフのポジションにあって、持ち前のランニングスキルを活かした。

前半23分には身長172センチという小柄な身体で鋭く仕掛け、巨漢ぞろいのルーマニア代表から反則を誘発。自らペナルティーゴールを決めた。

後半1分には連続攻撃の最後を飾るラストパスを放ち、フランカーのリーチ マイケルのトライを演出した。

もっとも当の本人は、相手に流れを渡したのは自身の隠れたミスからだと反省する。

以下、試合後の共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――チームの攻撃について。

「キックで相手の懐に入れれば、こっちが攻める時に相手が疲れていた。こんなに簡単な試合が続くことはないと思いますが、きょうは、そういう感じでした。

やろうとしていることが約1週間で落とし込まれていて、チームがひとつの方向を見られた。

シェイプ(チームの攻撃陣形)については今週(確認を)やってきていて、あとは自分が判断するだけ。周りの声も多いので、そんなに難しいことはないです。はい」

――その延長線上で、鋭いランを繰り出しました。相手のハイタックルももらい、それをスコアに繋げました。

「ちっちゃいからですかね。ははは! …個人的には、勝てたことが大きいと思います。

圧倒的に相手がでかいので、ちょっとでも反ずらし(身体の正面からわずかに逃れる当たり方)をすれば自分の首に相手の手がかかる。それがいいのかな、と。(敵陣で)ハイタックルをもらえればそれで3点(ペナルティーゴール)が入るので」

――全体を振り返って。

「ひとつひとつのプレーの重みを感じられた。ミスひとつで、試合の流れが変わってしまう。後半の僕が変わる前にキックオフで、相手のロック(大型選手)のいるところへ蹴ってしまって、モールを組まれて。もっとそれを奥に蹴ったら(モールに参加するポジションの選手が少ないため)相手は蹴り返してきていた…(以後、自軍ボールを確保できる)」

――確かに試合終盤、相手の得意なモールやスクラムが増えて失点が重なりました。

「1つひとつのプレーで、流れが変わる。僕はあのキックオフが、流れを変えた原因だと思います」

チームは17、24日にアイルランド代表と2連戦をおこなう(場所はそれぞれ静岡・エコパスタジアム、東京・味の素スタジアム)。アイルランド代表は、2019年にあるワールドカップ日本大会の予選プールで日本代表と同組。もっとも今回は日程上、主力を多く欠く。引き続き白星が期待される。

前回のワールドカップを経験した田村優が正スタンドオフ候補として屹立するなか、小倉は再びのチャンス到来を期す。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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