Yahoo!ニュース

2勝目への鍵? サンウルブズ立川理道、キープorキックの比率は「経験で」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
攻防の境界線への仕掛け、鋭いパスが光る(写真は参戦初年度のもの)。(写真:アフロスポーツ)

ラグビー日本代表でキャプテン経験のある立川理道は5月27日、東京・秩父宮ラグビー場で国際リーグのスーパーラグビー第14節に挑む。日本から参戦して2年目となるサンウルブズでゲームキャプテンを務め、チーターズと今季2度目の対戦をする。26日は試合会場での前日練習をおこない、意気込みを明かした。

サンウルブズは選手、スタッフ、戦術などを日本代表と共有。選手を入れ替えながら国際経験を積んでいる。

6月の日本代表ツアーへの参加も期待される立川は、開幕前に故障も20日の第13節で今季初出場を果たしていた。シンガポール・ナショナルスタジアムでの第13節では、試合終盤にシャークスの連続得点を許す。17-38で星を落としていた。今季はここまで1勝10敗2休で、今度のホームゲームでは結果も問われている。

以下、共同取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――チームの雰囲気。

「シンガポールから帰ってきて、いい準備ができています。正直、疲労もたまっていてハードにはできなかったですが、短い時間で集中していい練習もできた。前の試合の反省点も改善できたと思います。前回はしんどくなった時間にミスが出て、相手のペースになった。そこではリーダー陣が、例えばディフェンスのシステム、1人ひとりの役割を言っていく。次に何をすべきかについての声かけをしながら、チームをまとめていきたいと思います」

――シャークスとぶつかって身体にダメージは。

「南アフリカのチームはフィジカルを前面に押し出してくるので、そこの部分のダメージはあるとは思います。ただ、それは去年から経験している。(次のチーターズを含め)南アフリカのチームは戦いやすいところもあるので、このホームで勝てるようにやっていきたいです」

――チーターズ戦、どう戦いますか。

「相手の強みはフォワードのセットプレー(スクラムやラインアウトなどプレーの起点)だと思います。またバックスリー(グラウンド後列のランナー)のスピードもあって、自陣からもどんどん回してくる。それに対し、常にスイッチオンして、相手のペースにならないようにしたいです」

――シャークスに点を取られた試合終盤は、次もポイントになりますか。

「そうですね。当日は多分、気温も湿度も高くなる。どちらもしんどくなってくる。そこで、先ほど言ったように、ひとつになって戦いたいです」

――立川選手ご自身の状態は。

「先週、スーパーラグビーに今季初めて出て。(戦前は)フィジカル、ゲームスピードの部分でどうかなと思っていたのですけど、(実際は)あんまり大変とは感じなくて、すんなりと入れた。その前にアジア(若手中心の日本代表としてアジアラグビーチャンピオンシップに1試合だけ出場)を経験できたのも大きいし、(復帰後に)合宿でハードな練習もできていて、不安はない。今週もしっかりと準備ができていて、僕自身のコンディションもいい」

この先、インサイドセンターに入る立川が明かすのは、攻撃時のプレー選択の「見極め」についてだ。

ボールを保持して攻め続けるか、キックを蹴って大きく陣地を奪いに行くか。ボールの保持には体力を削る側面がある一方、キックにはいったん相手にボールを渡すリスクがついて回る。

エディー・ジョーンズ前ヘッドコーチ体制下の日本代表では、猛練習で持久力アップに努めてボール保持を重視。連続攻撃を基本軸に据えながら、防御が飛び出した時などにキックを有効活用していた。

かたやジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いるいまの日本代表では、スペースへのキックを使ってスタミナを温存しながら要所でスピードアップを図っている。キックをした際は、全員が網を張ってその弾道を追うよう意識する。

――今季のサンウルブズは昨季と比べて。

「去年は手探りの状態。比較的ボールキープをして、相手にボールを上げると自分たちの時間帯が来ないという感じ。今年は日本代表と連携して、キックの比率、アイデアの部分をイメージしながらやっている。ボールキープとキックの比率をどうするかは難しいんですけど、そこについてもゲームメイクをするメンバーやリーダー陣が経験を積んできている」

――お話になった「ボールキープとキックの比率」。試合ごとに微修正を加えている印象です。

「対戦相手によって変えている部分もありますし、その比率の部分(が妥当だったか)で結果が出た試合とそうでない試合がわかると思います。このバランスはすごく難しく、経験を積んでいくしかないと思っています」

――ボールキープの時間を増やした時にいい得点を取っている印象もあります。

「そうですね。ただ、惜しい試合のなかで『ここで蹴っておけば』という部分もありました。逆に『もっとキープしておけば』という試合も何度かあった。そのあたりは、しっかりと見極めないといけないと思います」

――「見極め」の基準は。

「基本的には相手の状況、点数、こちらの体力を見極めます。そういうところは経験を通してしか感じられない部分でもある。いま、経験をしている段階かな、と思います」

他選手の談話を総合すれば、次戦では相手の巨躯を背走させるようなキックを使いそうだ。ホーム2勝目に向け、ベストチョイスが求められる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事