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「10」への思いはあれど…。松田力也が感じた「10」と「12」の違いとは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
田村優の「動きながら的確に指示を出す」さまを見習う。(写真:アフロ)

ラグビー日本代表は4月29日、アジア・ラグビーチャンピオンシップ(ARC)第2戦目をホームの東京・秩父宮ラグビー場でおこない、格下とされるも初戦で47―29とやや苦戦(仁川・南洞アジアードスタジアム)した韓国代表に、80-10で大勝した。

パナソニックの新人である松田力也は、背番号12のインサイドセンターとして先発。昨季まで大学選手権8連覇中の帝京大では、背番号10のスタンドオフを全う。司令塔にあたるスタンドオフの位置に愛着やこだわりを持つが、この日は異なるポジションの仕事に専心した。

以下、共同取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――本当はスタンドオフでプレーしたい思いがあるのでは。

「自分の気持ちもありますけど、チームにとってそれが一番いい選択であればいいです。いいコミュニケーションを取ってやっていきたい」

昨年6月の日本代表ツアーではフルバックを務めるなど、その時々の代表指揮官からは万能性を評価される。昨秋着任のジェイミー・ジョセフヘッドコーチも、松田の起用方法については「ユーティリティーな選手はコーチにとって重要」と話している。

司令塔の補佐ともいえる背番号12の位置で学んだことを、いずれ背番号10を任された際に活かしたい。松田はその意をにじませているようだった。

――目の前の防御を引き付けたパスは、受け手を大きく走らせた。防御でも飛び出したウイングの選手の背後を首尾よくカバー。

「引き付けてのパス(の重要性)は、10番でも12番でも変わらないという基本のところ。ディフェンスはチームでやるもの、と意識してやっています」

――「10番」と「12番」。違いを改めて教えてください。

「ディフェンスで10番と違うのは、12番は10番(の立ち位置など)を感じてやる、というところ。きょうは最初、そこのコミュニケーションのところで抜かれましたが、そこさえ取れれば問題ない。お互いの癖をわかるのが大事ですし、そこは練習からやっていきたいと思います。アタックでは、韓国代表の(間合いを)詰めてくるディフェンスに対し、後半からより深く、ためて…というのを意識できた。本当は、もっと前半からいい形でできれば」

昨秋のツアーでキャプテンだった立川理道は、一時はスタンドオフへのこだわりを示していたが、現在は「12がベストポジション」と話している。

また、昨今の日本代表やサンウルブズで背番号10を託される田村優は、2015年のワールドカップイングランド大会までは日本代表で背番号12を担っていた。

松田はこの日、背番号12をつけてトータルスキルの高さを発揮。もっとも、背番号10をつけた際のエリア獲得術にも評価の声は集まる。今後の才能の活かし方に、注目が集まる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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