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日本代表キャプテン候補? 立川理道、逆転勝利のメソッド明かす。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
母の名にちなんだ緑のリストバンド。(写真:アフロスポーツ)

試合終盤に1トライ1ゴールを決めても追いつけないビハインドを背負うも、逆転に成功。その裏には、シンプルな情報整理があった。

9月10日、東京・秩父宮ラグビー場。国内最高峰であるトップリーグの第3節があった。勝ち星のないチーム同士の対戦。後半27分、クボタが豊田自動織機に22―14とリードを許す。残り13分で8点以上を奪わなければならなくなった。

しかしクボタは、交代出場したスクラムハーフの岡田一平などの活躍もあり徐々に追い上げる。33分、インゴールを割ったのがキャプテンの立川理道だった。フェーズを重ねるなか、守備網の凸凹を突きインゴールを割る。ゴールキック成功もあり、1点差に迫る。

立川は身長181センチ、体重94キロの26歳。おもにインサイドセンターとして、攻防の境界線上でのパスやランを長所とする。何より日本代表やサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーへ日本から初参戦)でゲームキャプテンを務めるなど、リーダーシップを買われている。

11月にはジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ率いる日本代表のツアーが始まるが、昨秋のワールドカップイングランド大会で日本代表のキャプテンだったリーチ マイケルの参加は流動的。サンウルブズでキャプテンだった堀江翔太も若手への権限移譲をほのめかしている。グラウンド内外で、立川へのかかる期待は大きい。

この日は結局、後半37分にクボタのルイ・フーシェがドロップゴールを決める。24―22。逆転勝利までの過程を、立川が振り返る。視野が狭まりがちな修羅場にあって、具体的かつ簡潔な方向性が示されていたとわかる。

以下、一問一答(編集箇所あり)。

――改めて、このチームのキャプテンとして勝った感想を。

「皆、勝ちに飢えていた。勝ちたい気持ちが最後まで出ていた。先週の第2節でトヨタに負けてから(9月4日、北海道・月寒で10―27と敗戦)、実質2回だけの(肉体接触を伴った)練習のなかでも、メンバー外を含めていいトレーニングができた。長いシーズンのなかの1勝ですけど、特別な勝利でした」

――あえて反省する点は。

「後半、風上のなかでエリアを取れましたけど、トライを取れない時間帯があった。結局、ターンオーバーからもトライを取られましたし」

――8点差をつけられた時。

「常にその時の点差のなかで何をすべきかをチームに伝えていくようにはしているんですけど、あの8点差のなかではトライが必ず必要でした。ハドル(円陣)のなかで、自分たちの形でトライを取り切ろうと言いました。あとは、ボールが(汗などで)滑って、イージーなノックオン(落球)も多かった。まずは、ボールをしっかりとグリップ(掴む)。キャリア(パスを受け取った選手)はしっかりとボールを守る…と。ボールキープをしてトライを取る。そこはチームとしてできたと思います」

――ご自身のトライシーンは。

「皆がアンルック(前を観ていいポジショニングを取ることの意か)したことで、いい状態でパスをもらえた。あそこまでのプロセスで皆がハードワークした結果です。ミスマッチ(俊敏なバックスの選手と、身体が大きなフォワードの選手とのマッチアップ)やったので、そこ突破した形。いまのクボタのアタックも、ボールキープをしながらスペースの場所、ミスマッチの場所を見つけてゆくシェイプ(攻撃の型)をしているので」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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