マーク・ハメットヘッドコーチ、サンウルブズ最終戦後にシーズン総括。【ラグビー旬な一問一答】
国際リーグのスーパーラグビーに日本から初参戦したサンウルブズが、初年度の戦いを終えた。
現地時間7月15日夜、南アフリカはダーバンのキングスパーク。上位8強によるプレーオフ進出を目指すシャークスと打ち合いを演じたが、29―40と惜敗した。
前半3、6分とセットプレーから手数の少ない攻めで連続失点も、13分に敵陣ゴール前左ラインアウトでの変則的なサインプレーからスクラムハーフの茂野海人がトライ。スタンドオフの田村優のコンバージョン成功もあり、7―14と追い上げる。
7―21と点差を広げられて迎えた35分には、敵陣22メートル線付近左のスクラムからの展開でセンターのパエア・ミフィポセチが大きく突破。接点の周辺でシャークスが反則を犯せば、茂野がペナルティーキックからの速攻を仕掛けて一気にゴール前へ躍り出る。最後はミフィポセチがインゴールを割るなどし、14―21と迫った。前半終了間際には、またも敵陣ゴール前左のラインアウトを起点に加点。19―21のスコアでハーフタイムを迎えた。
中盤以降は相手のミスで自軍ボールを得ながら、なかなか敵陣に進めない。後半開始早々に28―19とされたまま19分まで膠着状態を余儀なくされ、28-22のスコアで迎えた30分、ハーフ線付近右でのターンオーバーから一気に左サイドを破られ、33-22と点差をつけられる。
続く36分には、自陣深い位置からチェイスに駆け上がった守備網の裏を短いキックで破られた。だめ押しスコアが決まって、得点板は40―22と光った。ほぼ勝負がついた。
試合後、マーク・ハメットヘッドコーチが記者会見に出席。初来日後に指揮を執ったクラブの1勝13敗1分というシーズンを、改めて振り返った。ハメットは来季からハイランダーズのアシスタントコーチに就任する。
以下、会見中のハメットヘッドコーチの一問一答の一部(編集箇所あり。※は当方質問)。
――後半戦再開後、2試合続けて大敗していました。最後のゲームに向けた準備で、何を心掛けたのでしょうか(※)。
「ここ2週間、フィジカル的に圧倒されてテンポを上げられませんでした。今週は、ボールキャリアとサポートのところにフォーカスを当てました。押し返されたところはありましたが、ワークレートを高く保って3~4フェーズ、重ねたら、スペースを作れた。いいアタックができたと思います」
――勝利で終えたかったのでは。
「ここ3週間で多くの怪我人などが出て、アタックが上手くいっていなかった。きょうは4トライも取れてよかった。確かに、結果が出なかったことは理想的ではないですが、チームとしてはよかった。攻守が切り替わったところでの失点がありました。ああいったことを止めていれば…とは思います」
――ハーフタイムには、どんな話を。
「後半もシャークスは前半と同じパターンで展開してくると、わかっていました。そこへ奇襲をかけたかったのですが、自分たちが後半にいいスタートを切れなかった。ボールキープさえできればダメージが与えられたのですが、それをできなかったのが悔やまれます」
――今季を振り返って、来季への教訓は。
「まずはいい経験が積めた。得た知識は大きなものです。最下位に終わりましたが、いい試合もできた。実のあるシーズンでした。これを次に繋げられるようにしたい」
――どんな成果があったか。
「全体の3分の2は、いい試合ができた。開幕前に(実質)約10日くらいしか準備期間がないなか、スタッフが集まるのかどうかもわからないなか、自分が選んだ選手でもない選手とともによくここまでできた。スーパーラグビーの経験者、未経験者とも成長できた」
――ハイライトは。
「ジャガーズ戦(4月23日、東京・秩父宮ラグビー場で36-28と初勝利)と、チーターズ戦、ブルズ戦、ストマーズ戦(以上、シンガポール・ナショナルスタジアムでの接戦)です。スクラムで圧倒できた部分もありますし、アタックでも危険なところを示せた。今年は、勝つことよりもプロセスを大事にしていた」
――多国籍軍を率いた際、どこにフォーカスを当てたか。
「初めてこのチームを率いた際は、もしかしたら1勝もできないかもしれないという声もありました。そこで挙げられたプランは、ポジティブに小さな積み重ねをしてゆくことです。そのなかで自分たちの強みと弱みをわかってゆくのですが、弱みのフィジカルの強化は、2~3年かかるものでした。その弱みについては(最低限の)マネジメントをするだけに止めた。その考えも、うまくいっていたと思います」