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サンウルブズ、最後に追いつかれストーマーズとドロー。「経験の少ない部分が…」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
こちらは第11節での立川。ここ3試合は本職のインサイドセンターで活き活き。(写真:伊藤真吾/アフロスポーツ)

スーパーラグビーに日本から初参戦するサンウルブズは、5月14日、準ホームの扱いであるシンガポール・ナショナルスタジアムで第12節をおこない、加わっている南アフリカ・カンファレンスで1位のストーマーズと激突。序盤から主導権を握りながら、17-17の引き分けに終わった。

蒸し暑いシンガポールでの試合が初体験だったストーマーズを前に、サンウルブズは序盤から守備で健闘。素早い動きで網を張り、鋭い出足のタックルで突進を防いだ。前半11分にウイングの山田章仁が両チーム通算最初のトライを挙げてからは、終始サンウルブズがリードしていた。

ラストワンプレーで同点に追いつかれた直後、マーク・ハメットヘッドコーチと立川理道ゲームキャプテンが会見に応じた。

以下、その際の一問一答(編集箇所あり。※は当方質問)

――7点リードで迎えた75分ごろ、敵陣で相手が反則を犯した際にペナルティーゴールではなくラインアウトを選択。結局、無得点に終わっています。

立川 

「勝敗のところは結果論。あの時、現場で選手があそこをタッチと判断した。負けたことは反省して、次に生かしたいです」

――後半4分頃には、一時宣言されたトライがTMOで取り消しになった。

ハメット 

「確かにあれがダブルモーションだったかどうかは議論すべきところですが、あれで勝敗が決まったわけではありません」

――100パーセントで戦えれば。チームは成長したか。

ハメット 

「きょうは選手たちのパフォーマンスを誇りに思います。ひいき目に見ているかもしれないですが、自分たちのほうが勝っていたと思いました。この大会は改めて非常にタフだと実感しています。それに対し、チームは一丸となって心身ともに準備しないといけない。このパフォーマンスには喜んでもいいですが、来週は新たな1週間がスタートする。ただ、このチームのいいところは、毎週、月曜日になったらフレッシュな気持ちで練習に臨んでくれるところです」

――修正点は。

ハメット 

「毎試合、色々な課題は上がりますが、しいて挙げればセットプレー。即効性のある修正方法はないので時間はかかるが、チームとして向上できると信じています。アタックからディフェンスの好守切り替えも改善が必要です」

――隙間から勝利がこぼれ落ちた形だが。

ハメット 

「そうだと思います。相手は自陣22メーターのところから攻めた。しつこく、しつこく。でも、我々は負けたわけではない。残念な気持ちですが79分まで素晴らしい戦いをしていた。そこもじっくり検証しなければいけない。多くのポジティブな要素が出ていもいた」

――5月7日に秩父宮であった前節はわずか1勝のフォースに40失点。この日は守備網が大幅に整備されているようでした(※)。

ハメット 

「前から言っているが、ディフェンスストラクチャー(守備の構造)は構築に時間がかかるものです。やっとこの時期にきてラック周りでの動き…ダブルタックル(2人がかりでのタックル)、ダブルアクション(タックルで相手を押し返した直後、すぐに立ち上がって次のポジションにつくこと)…その動きが改善されて、ディフェンスラインの人数を揃えられた。結果、いままでやってきたラインスピードを上げる…などの作戦が実践できた」

立川 

「ハマーが言ったように、時間がかかるものだと思うんですけど、自信をもって100パーセント出し切れば強い相手にも強いディフェンスができると証明された。フォワードはインサイドでハードワークしてくれましたし、バックスもプレッシャーをかけられた。今日みたいなディフェンスを毎ゲームやっていけたら」

――この日は相手防御の裏側へ蹴ってチャンスを作っていました。山田選手の先制トライもその意識からです(※)。

立川 

「フルバックの上りが早いという分析もしていました。彼(チェスリン・コルビ)は背が低かったので(身長171センチ)、彼の得意なカウンターアタックだけに気を付けて、いいコンテストボールを蹴れば…と。あとは、自分たちの強みはアンストラクチャーからのアタック(セットプレー以外の局面からの攻め)なので」

――試合終盤の心身の様子は(※)。

立川 

「ラスト3分くらいのとことですかね。敵陣(深い位置)でずっとアタックしていた時は、どこかでドロップゴールを…とかを考えながらやっていたんですけど、最後の締め切るところでは、全員の経験値が少ない部分が出た(ずっとボールキープしたかったとことで、相手フランカーだったスカルク・バーガーにターンオーバーされた)。また来週に向けて、前を見て、ミーティングしていきたい」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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