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遅咲きジャパン伊藤鐘史、ワールドカップ後初の公式戦時に盛り上がり実感【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ワールドカップ期間中。「感傷に浸る暇があったら、次の相手を倒すことに集中」(写真:ロイター/アフロ)

11月13日に開幕した日本最高峰のラグビートップリーグでは、9、10月のワールドカップ(W杯)イングランド大会に出た日本代表選手もプレーしている。

ロックの伊藤鐘史は神戸製鋼の一員として、15日のキヤノンとのリーグ戦グループB・開幕節(兵庫・神戸ユニバー記念陸上競技場)に先発。23―18で勝利した。チームはアルスター・クッツェー新ヘッドコーチのもと、2003年度以来の王座を狙う。

移籍7年目の伊藤は、31歳で初の日本代表入り。4年に1度のワールドカップヘは今回、34歳での初参戦を果たしていた。出場機会はスコットランド代表戦での途中出場(9月23日、グロスター・キングスホルムスタジアムで10-45と敗戦)のみと限られたが、ラインアウト(タッチライン際での空中戦)の作戦立案をサポート。平均身長で常に相手を下回るなか、高いボール保持率をマークした。

相次ぐ負傷とそれを押しての試合出場を重ねており、2019年の日本大会に向けては「僕の身体さえ元気だったら次も行く気ですけど、多分…。これまで、いっぱい怪我していますし。試合中は大丈夫ですけど、元の状態に戻るのには時間がかかるので」と談話を残している。

以下、キヤノン戦後の共同取材時の一問一答。

――開幕戦勝利。

「いままででこんなに準備期間が短かったのも初めてなので、(戦術の確認などで)頭を使うことが多くて大変でした」

――帰国後。

「10日間休みをもらって、練習参加した週の最後の練習試合に出て、と。3週間はやったのかな」

――国際試合とトップリーグの比較。

「(国内では)ゲームのスピードは遅いかな、と。ただ、いまはブームのなか人が集まっていて(公式入場者数は7863人)、さっきのグリーディング(ファンと選手が交感する時間)にもたくさんのお客さんが来てくれていて嬉しいですね。ただ、いい試合をし続けないとこの熱は続かない。

――周りの反応は。

「変わりました。街を歩いていても感動をありがとうございましたと言われたり」

――ワールドカップ期間中、いまの盛り上がりは想像できましたか。

「南アフリカ代表に勝ったころ(9月19日、ブライトンコミュニティースタジアム。34-32で大会24年ぶりの白星を得る。相手は過去優勝2回の強豪だった)は、これはすごいことになるなと思いました。ただ、帰って来て人に会って、実感しているところですね」

――(当方質問)帰国したら、ご子息が五郎丸歩選手の真似をしていたようで。

「そうそう。いまだにやってますよ」

――ラグビーをよりよくしたい。代表勢には、その義務感があるようです。

「もちろん。ただ、フォーカスすべきはチームが勝つこと(に貢献する)。それをお互いがやりあったら、おのずとラグビーの質は高まる。その意味では、いままで通り」

――(当方質問)担当領域のラインアウトはいかがでしたか。相手ボールを奪う場面もありましたが。

「まだ、練習を上手くできていなくて。まだまだ精度を上げられる。最初にしては、こんなものかな、といったところです。ここは、これからよりよくなっていくはずです」

――(当方質問)クッツェー新ヘッドコーチが就任しています。

「僕の印象では、去年よりアタックにフォーカスしていると感じます。ターンオーバーからのアタック、キックレシーブからのカウンター…。きょうはちょっと見せられなかったですけどね、どうしても勝ちたい初戦ということで、手堅い試合運びになった」

――(当方質問)その「手堅い試合運び」にあって、入部2年目のニュージーランド代表経験者、アンドリュー・エリス選手が光りました。ハイパントでチームを前に押し上げた。

「そうですね。外国人選手はだいたい、2年目くらいからハマってきますね。いままで、どこの選手を観ても、そんな印象を受けます」

参考資料:下部降格、出場停止…。 日本代表を支えるベテラン、伊藤鐘史の「特別な試合」【ラグビー雑記帳】

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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