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どこよりも早い? ワールドカップ準決勝レビュー【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
「オールブラックス」ことニュージーランド代表は大会終盤に加速?(写真:ロイター/アフロ)

まだまだワールドカップは続いている。今年はイングランドでおこなわれている4年に1度の祭典は、10月17、18日(以上現地時間)に決勝トーナメントの準々決勝があり、上位4強が出揃った。準決勝は日本時間で25日午前0時(第1試合)、26日午前1時(第2試合)にそれぞれキックオフ。いずれもロンドン・トゥイッケナムスタジアムで開催される。

今回が初めてという1大会3勝を挙げたラグビー日本代表はすでに帰国も、高質になることほぼ間違いなしのゲームはあと4試合(3位決定戦と決勝戦を含む)、残っている。

<準決勝第1試合 南アフリカ代表 対 ニュージーランド代表>

過去優勝2回の南アフリカ代表は、予選プール初戦で日本代表に屈してから目が覚めたか。直進するボール保持者の迫力と力強いモールは圧巻。大会途中から主将を任されるスクラムハーフ、フーリー・デュプレアも持ち前の判断力で攻めに緩急をつける。

かたや前回王者のニュージーランド代表は、現地時間17日の準々決勝でフランス代表を62―13と一蹴した(カーディフ・ミレニアムスタジアム)。要所で相手の持つ球へ絡むリッチー・マコウキャプテン、司令塔のダン・カーター、マア・ノヌとコンラッド・スミスの両センターといったキャリア組を軸に攻守の戦術をぶれずに遂行。ジュリアン・サヴェアとネヘ・ミルナースカッターといった切れ味鋭い両ウイングに、走る間合いを十分に与えている。

総合力ではニュージーランド代表に一日の長あり。南アフリカ代表は、デュプレア主将を軸に長所がフルに表出する試合展開(例えば、敵陣でひたすらボールキープ)を演じられれば勝機を掴める。

<準決勝第2試合 アルゼンチン代表 対 オーストラリア代表>

アルゼンチン代表は現地時間18日、優勝候補のアイルランド代表に43-20で快勝。相手は主力をけがで欠いていたとはいえ、勝者のタックルと肉弾戦は確かに激しかった。かねて定評のあったスクラムでも粘り腰を示した。8年ぶり2度目の準決勝進出。局地戦を仕掛けたい。

同日、オーストラリア代表はスコットランド代表に35―34と辛勝。ノーサイド直前の逆転勝利だった。アルゼンチン代表が得意とするフィジカルコンテスト(ぶつかり合う局面)では、フランカーのスコット・ファーディー(日本の釜石シーウェーブス在籍時に東日本大震災を経験)らがファイトする。ボールを触らない選手を含めた組織的な攻撃陣形は完成度が高い。3度目の優勝に向け、マイケル・チェイカヘッドコーチ(英語を含め4か国語を操る!)を軸に団結している。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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