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「使いたいと言われる」 スーパーラグビーデビュー目指す稲垣啓太、独占激白 1【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター

今季から南半球最高峰であるスーパーラグビーに挑戦している稲垣啓太が13日、滞在先のメルボルンで電話取材に応じた。

パナソニックの一員として臨む国内のトップリーグでは、ルーキーイヤーの2013年度に新人賞を獲得。スクラムを最前列で組むなど肉体的負荷のかかる左プロップを務めながら、豊富な運動量と強烈なタックルを持ち味とする。日本代表としても、2キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を保持している。日本での14年度シーズンを終えた3月からオーストラリアへ移住。現在はレベルズで公式戦デビューを目指す。

昨季まで2シーズンはパナソニックでキャプテンを務める堀江翔太(日本代表32キャップ)も在籍していたレベルズは、今季ここまで6勝5敗の勝ち点29で15チーム中10位。15日にはレッズとの第14節を行う(ブリスベン)。

以下、稲垣の一問一答の一部。

――レベルズでのトレーニング。いかがですか。

「月曜日は朝6時半に集まって、コンディションをチェックしてからミーティングへ。そのまま午前はウェイトトレーニングをして、ユニット(おおまかにポジションを分けての)練習と全体の確認。午後からはトップスピードでの確認と、フルコンタクトでのスキル練習。その後はミーティングと分析があります。火曜日もそんな感じで、水曜日はリカバリーとして怪我の治療など。僕はそこに加え、スキル練習をやっています。事前にコーチに『手伝って欲しい』とメールで伝えて、スクラムの姿勢や足の運び、ボールキャリーの動きやパスなどを…(その時々に応じて)」

――週の前半について伺うだけでも、ハードだとわかる。

「木曜日はチームランをトップスピードで。それは昼には終わるのですが、午後はミーティング。さらに、(その週末の試合の)メンバー外の選手は、クラブの練習へ行きます(地域のクラブ選手権に出場するため)。僕のいるサザンディストリクツは場所が遠いので、車で1時間くらいかけて出かけて、夜、車で帰ってきます。1日中、ラグビーのことを考えていますね。家でもI padで練習を見たりしているので。英語だからか、眠くなります。ただ、息抜きというか、時間の配分は上手くできているとは思います。コーヒーが好きなのですが、行きつけのお店を見つけました。水曜日のスキル練習の後、コーヒーを飲んで帰ります」

――レベルズの首脳陣と連絡を取り合っているという日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチによれば、「フィジカルが強化された」との情報があります。

「例えば、ホールドでの(タックルを伴わない)練習。日本では相手に軽く胸を当てるだけで次のポイントへ行くのですが、こっちではホールドといってもフルでぶつかる。常に全力で(ボールを)取りに行かないといけない。だから、常にぶつかる姿勢を作る。これが癖になっている。こういう日常の癖が試合にも出てくると思っています。そういう意味では、いいイメージでできているんじゃないですかね」

――なかなか出場機会が得られませんが、日々のトレーニング内容はいかがですか。

「細かい、ですね。ラインアウトが始まりました。スクラムハーフがさばきます。コーチが『ストップ!』。これが20回くらい続く。1歩目の動き(が本来のものと違うからということ)で、止められるんです。それで、その細かい部分が英語なので…。ここが僕にとっての課題です。スタッフとはコミュニケーションを取っています。『どうしたら出られるか』。直接、聞きます。そこで出たのが『戦術の理解』」

――デビューへの鍵が、戦術理解。

「スクラムはチーム内では十分に組めていて、フィジカル(肉弾戦での激しさ)にも慣れてきた。『戦術の理解がついてくれば、試合で使いたいと思っている』と評価もしてくれている。最初は、シークエンスの練習の時にウロチョロしてしまうところがありましたから。

ここ3週間くらいは、出られるか出られないかのところへ来て、結局は出られないという状況が続いています。ただ、個人的には手応えはあります」

――手応え。

「アンストラクチャー(型通りでない状態)になれば、誰よりもパッと反応して、動けています。常に考えながら、プレーする。アンストラクチャーって、考えながらやらないとただの適当なラグビーになってしまうので。そのあたりはパナソニックで1年目からレギュラーで使っていただくなかで、実戦で学んできた。細かいシークエンスが進んだ先、不測の事態が起きた時、そのよさが出るとは思います。もちろん、それも決まりごとがあった先でのプレー。決まりごとを自分の動きに染み付かせないと」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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