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クライフと可変システムの起源。【3−4−3】の美学とエル・ドリームチームの面影。

森田泰史スポーツライター
エル・ドリームチームと謳われたバルセロナ(写真:アフロ)

純粋主義者、というわけではなかった。

ヨハン・クライフは、常に、勝つためにプレーしていた。選手時代も、監督時代も。彼にとっては「攻撃的」「ポゼッション」という手法が勝利に最も近い道筋だっただけの話だ。

■トライアングルの構成

クライフといえば、「エル・ドリームチーム」と称された、バルセロナである。

バルセロナで監督を務めたクライフ
バルセロナで監督を務めたクライフ写真:アフロ

クライフは【3−4−3】を基本システムにしていた。だがそれは、現代風に換言すれば、【3−4−3】と【4−3−3】の可変システムである。

こちらの図を見ていただきたい。三角形がピッチ上にいくつあるか、分かるだろうか。クライフはトライアングルを重視していた。

そして、クライフは、ボールの前進を意識していた。彼としては、ポゼッションのためのポゼッションは、意味を持たない。相手のゴールに向かい、そのためにボールを保持する。この前提を理解していない選手は、積極的に起用しなかった。

ボールを動かして、動かして、動かす。自分たちの陣形を変化させながら、ポジションチェンジを行いつつ、相手のバランスを崩す。そうして危険なエリアにスペースを生み出して、得点機会に向けて加速するのだ。

味方にパスを送るクーマン
味方にパスを送るクーマン写真:アフロ

■クライフのアイデアと可変の形

またエル・ドリームチームで大事になっていたのが、可変の形だ。

ジョゼップ・グアルディオラが最終ラインに落ちる。いまで言う、ダウンスリーのような形だ。それに伴い、チキ・ベギリスタイン、エウセビオ・サクリスタンが中盤の低い位置に下がってくる。3−4−3→4−3−3の移行が完成する。

あるいは、全体的にコンパクトに、高い位置を取りながら、ホセ・マリ・バケーロが前線に出て、【4−2−4】の形を作る。この時、両サイドバック(アルベルト・フェレール/セルジ・バルフアン)が偽サイドバック的に内側に入ってくることと、現在であれば5エリア攻略をするところを前線4人で攻略していたことは、興味深い点である。

■ラウドルップのファルソ・ヌエベ

もうひとつ、特徴的なのが、ファルソ・ヌエベ(ゼロトップ/偽背番号9)だ。選ばれたのはミカエル・ラウドルップである。

バルセロナで活躍したラウドルップ
バルセロナで活躍したラウドルップ写真:アフロ

ガリー・リネカーというイングランド人の素晴らしいストライカーがいたが、クライフはラウドルップを頂点に置き、重宝するようになった。CFの選手にビルドアップやポゼッションへの参加を求め、そこで空いたスペースにウィングを飛び込ませるという戦い方を選択した。無論これは、のちにペップ・バルサがリオネル・メッシをファルソ・ヌエベで起用した時のシステムの原型である。

■ペップとの類似点

お気付きだと思うが、クライフーペップの類似点というのは、やはり多くある。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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