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久保建英のレアル戦の”評価”はどうだったのか?高まる期待と現実的な選択肢。

森田泰史スポーツライター
競り合うモドリッチと久保(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

期待値が高まるゲームだった。

リーガエスパニョーラ第28節、マジョルカ対レアル・マドリーの一戦は、アウェーのマドリーが3−0で勝利を収めた。この結果、マドリーが2位セビージャに勝点10差をつけて首位を独走する格好となり、ラ・リーガのタイトルが現実味を帯びてきた。

この試合で注目を集めたのが、久保建英だ。マドリーからマジョルカにレンタル移籍している久保としては、保有権を有するチームにアピールする絶好の機会だった。

FKを蹴る久保
FKを蹴る久保写真:なかしまだいすけ/アフロ

結果として、チームは完敗を喫した。一方で、マドリー戦での久保の現地評価は、どうだったのだろうか?

スペイン『マルカ』では、久保の評価点は「1点」だった。

両チームを通じて、最高点の「3点」が与えられたのはカリム・ベンゼマのみ。マジョルカについては、ベダト・ムリキとイドゥリス・ババが「2点」で、残りの選手は「1点」と「評価点なし」となっている。

スペイン『アス』では、久保の評価点は「1点」だ。パブロ・マフェオとババが「2点」である。両チームでは、ベンゼマとヴィニシウス が最高点の「3点」だ。

なお、『アス』に久保はこのように評された。

「この試合のひとつの注目ポイントになったのが久保だ。ずっとマドリーと対峙する選手になっている久保は、存在感を発揮するというより、エッセンスだった。彼の左は、時々現れて、そして消えた。だがゲームを決定付けるには至らなかった」

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■戦術的な弱点

ルイス・ガルシア・プラサ監督は現在、迷っているように見える。

リーガ第27節セルタ戦では、【4−4−2】で久保を2トップの一角に組み込んだ。

それだけではなく、今冬の移籍市場で獲得したジオバニ・ゴンサレスを右MFに据えた。ゴンサレスとマフェオを縦に並べて、ドブレ・ラテラル(ダブルサイドバック)で守備を強化しようとした。

結果、セルタ戦においては、ラインがズルズルと後退して、時に5バックになっていた。

意図的に5バックを使用するのと、5バックに「なってしまう」のは異なる。

セルタ戦でのマジョルカは後者だった。

■レアル・マドリー戦の守備

そして、マドリーとの一戦では、久保とダニ・ロドリゲスの位置を入れ替えた。

久保を左MFに、ダニを右MFに配置した。

無論、これは守備を考えての選手起用だった。

本来であれば、久保を右MFに置いて、右ハーフスペースを使いながらドリブルさせた方がいい。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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