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久保建英の”弱点”とは...避けるべき「1vs2」の状況とアップダウンの強度。

森田泰史スポーツライター
ビジャレアル戦の久保(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

1部に昇格したばかりのチームが、残留を果たすのは簡単ではない。

久保建英がレンタル加入しているマジョルカは、1部昇格組だ。2019−20シーズンに2部降格が決定すると、ルイス・ガルシア・プラサ監督を招聘して立て直しを図り、2020−21シーズンのラ・リーガ2部を2位でフィニッシュして自動昇格を決めた。

ウォーミングアップを行う久保
ウォーミングアップを行う久保写真:ムツ・カワモリ/アフロ

マジョルカの新たな挑戦が始まる。ただ、データを見ると、それほど悲観的になる必要はない。

過去10年で、1部昇格を決めたのは30チームだ。そのうち、76%が昇格したシーズンに残留を果たしている。

3チーム中3チーム(4回)、3チーム中2チーム(5回)、3チーム中1チーム(1回)と、この10シーズンで昇格組がすべて2部にとんぼ返りしたことはない。2部と1部ではテレビ放映権の収入が大きく異なり、クラブによっては予算が2倍近くまで膨れ上がる。

新加入のイ・ガインとバッタリア
新加入のイ・ガインとバッタリア写真:ムツ・カワモリ/アフロ

マジョルカは今夏、積極的に補強を行っている。

久保、ジャウメ・コスタ、パブロ・マフェオ、アマト・エンディアイェ、マシュー・ホッペ、ドミニク・グレイフ、イ・ガンイン、アンヘル・ロドリゲス、ロドリゴ・バッタリア、フェル・ニーニョ。実に10選手を加えて、戦力の強化を目指した。

「我々はマーケットの状況に満足している。だが他チームも良い補強をしている。この夏のマーケットは、非常に動きがあった。競争的で、美しいラ・リーガ になるだろう。プレシーズンがスタートしてマーケットが閉まるまでに、全チームが多くの点で改善してきている」とはルイス・ガルシア監督の弁だ。

「レアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリーという“3強”がいるのは変わらない。しかし、そう言ったチームとセビージャやビジャレアルの差は縮まってきている。それ以外のチームは、非常に力が拮抗している」

■エメリ・ビジャレアルとの対戦

ルイス・ガルシア監督が、3強との差を縮めてきているチームとして挙げたビジャレアルが、ラ・リーガ第5節でマジョルカの前に立ちはだかった。

ビジャレアルはチャンピオンズリーグ・グループステージ開幕節のアタランタ戦後で、ターンオーバーを敷いてきた。

両者の噛み合わせ。特に中盤の噛み合わせがハマる
両者の噛み合わせ。特に中盤の噛み合わせがハマる

ビジャレアルの【4−3−3】とマジョルカの【4−2−3−1】は噛み合わせの上では悪くなかった。目の前に対峙するマーカーを捕まえれば、理論的にはフリーになる選手は生まれない2システムのぶつかり合いだ。

ビジャレアルの可変の2システム
ビジャレアルの可変の2システム

マジョルカのケースでは、ダニ・ロドリゲスが2トップの一角になったり、トップ下の位置に下がったりする。

ただ、問題は可変の形にある。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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