2019年のボジョレーヌーボーは、生産激減でも「特筆すべき品質」「完璧なバランス」

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

秋の俳句の季語に「葡萄酒醸(かも)す」という言葉があります。ワイン用の葡萄は、一般的に9~10月頃に収穫されて、すぐ醸造されるのだそうです。

11月第3木曜日の21日は、いよいよボジョレーヌーボーの解禁日。2019年の味はどうなのでしょう。

大荒れの天候で生産激減

今年のフランス・ボジョレー地方は、ワイン生産者泣かせの天候となりました。記録的な悪天がたびたび発生したのです。

下の図は、ボジョレーにやや近いブール=サン=モーリスの4、7、8、9月の天候です。赤い折れ線は日最高気温、青は日最低気温、また点線はこの時期の平均気温を表します。そして青い棒グラフは日降水量です。

フランス気象局の月ごとの天気まとめの図に筆者加筆。
フランス気象局の月ごとの天気まとめの図に筆者加筆。

具体的に見ていくと、4月上旬に気温が氷点下まで下がってが降り、5月には壊滅的な雹害が発生しました。さらに7月後半には40℃近い記録的熱波が襲い、8月18日には大雨と雹が降って、この日だけでボジョレー地方の3分の1が被害に遭いました。

つまり、葡萄の芽が顔を出し花を咲かせる春には霜と雹が、葡萄の実が成長する夏には熱波、大嵐という、四重苦が襲ったのです。

こうした悪天の影響で、生産量は2018年の半分、さらに過去5年間の平均よりも25%も落ち込んだといいます。ただ場所によって被害にばらつきがあり、あるワイン農家は75%の葡萄に被害が出たと話していました。

しかし、8月後半からの天候は安定し、晴れて気温が上がったことから、葡萄の実がしっかりと成熟し、収穫時期はほぼ平年並みだったそうです。

2019年のワインの出来は?

こうした天候を踏まえて、2019年のワインの出来はどうなのでしょうか。

ボジョレーワイン委員会の発表によると、今年のワインは、天候が悪かったにもかかわらず「期待できるビンテージ」だそうです。「葡萄のフレッシュさ」に溢れ、「糖と酸がバランスよく」整い、「熟成の可能性は魅力的で、ワインも光っていくであろう」とのことです。

またボジョレーワインの研究や醸造を行うシカレックス社のシャトレ氏によると、「ワインはしなやかで丸みがある。今年の収穫は量的には極めて平均的なのだが、品質は特筆すべきである。このところ良いビンテージが続いている。」のだそう。

さらにワイン協同組合のシラードン氏によると「今年は稀な一年となっている。少量の収穫が、アルコール、酸味、フェノールの成熟さの完璧なバランスを見せている。初見のテイスティングでは、果実味にあふれ、さわやかさも持つ整ったワインの味わいであることを予感させている。」とのこと。味の評価は前向きです。

今年のボジョレーは、幾多の試練を耐え抜いた葡萄と生産者の皆さんに、例年以上の感謝と労いの念を抱きつつ、じっくりと味わいたいと思います。