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「北は極寒、南は酷暑」地球の気温差100℃超

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
ひまわりの衛星画像に筆者加筆 (画像元: 気象庁)

日本では数年来の大寒波が警戒されていますが、シベリアでは26日に気温が氷点下52.3℃まで下がりました。反対に南半球のオーストラリアでは同日48.5℃まで気温が上がり、南北の温度差が100℃を超えたのです。

日本の年末寒波

今日(27日)から30日(日)にかけて、日本列島付近では強い冬型の気圧配置となり、この冬一番の寒気が流入する見込みです。このため北海道や東北の日本海側、また北陸地方などで猛吹雪、東日本と西日本の山地でも大雪が予想されています。

気象庁によると、明日(28日)朝からの48時間に予想される降雪量は、多いところ北陸地方で160 センチ、東北や関東甲信で140センチにも達する見込みです。また仙台や名古屋などの太平洋側や、福岡、京都などといった平地でも雪が予想されています。

1070hPaのシベリア高気圧

27日3時の実況天気図に筆者加筆 (画像元: 気象庁)
27日3時の実況天気図に筆者加筆 (画像元: 気象庁)

この雪は、大陸からの風が日本海の上を通ることが原因で発生します。冷たく乾いた北風が、海の上で大量の蒸気を受け取りながら通過することで雪雲を発達させ、それが日本の脊梁山脈にぶつかることで日本海側の地域に大雪を降らせるのです。

この冷たい風をもたらすのは、大陸にある勢力の強い「シベリア高気圧」で、現在その中心気圧は1070hPaにも達しています。この高気圧の直下に位置するロシアのコマカでは、26日(水)の最低気温が氷点下52.3℃まで下がりました。また世界一寒い定住地の一つと言われるオイミャコンでも、気温が氷点下45.4℃まで下がったようです。

暑すぎるオーストラリア

一方南半球のオーストラリアでは、平年の気温を10℃以上も上回る異常な暑さが続いています。西オーストラリア州マーブルバーでは26日(水)、12月の観測史上最高気温となる48.5℃まで上昇しました。

つまり、26日(水)の地球の南北の気温差は(48.5℃ー氷点下52.3℃)で100.8℃もあったことになるのです。

暑さ寒さは当分続く…

この南北の極端な暑さ寒さは、少なくとも年末いっぱい続く見込みです。

世界気象機関、気象庁、オーストラリア気象局の天気予報を元に筆者作成
世界気象機関、気象庁、オーストラリア気象局の天気予報を元に筆者作成

北東アジアの予想最高気温を見てみると、いずれの都市でも例年を下回る寒さが続き、反対にオーストラリアでは熱波が続くと予想されています。それどころか豪州マーブルバーの今日(27日)の予想最高気温は49℃と、さらに熱くなる見込みです。

オーストラリアにおける史上最高気温は50.7℃(1960年)ですから、この記録に迫る高温となる可能性もあるのです。

(12/29 追記: マーブルバーの27日の気温は49.3℃まで上がり、観測史上最高気温となった)

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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