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いま米・デスバレーで、観光客が増加している理由

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
デスバレーの「悪魔のゴルフコース」。悪魔でもなければゴルフができないという意味。(写真:アフロ)

アメリカ南西部のデスバレーは、世界一の最高気温の記録を持つ場所です。先週からこの地を訪れる観光客が増えているらしいのですが、一体なぜでしょうか。

その理由は、今の天気にあります。

アメリカ南西部を襲う熱波

現在、アメリカ南西部には広く「猛暑警報(Excessive Heat Warning)」が発表されています。熱波は先週末から始まっていますが、今週半ばにかけて気温はさらに上がる見込みです。

19日の発令警報。ピンクは猛暑警報、オレンジは猛暑注意報。NWS
19日の発令警報。ピンクは猛暑警報、オレンジは猛暑注意報。NWS

デスバレーでは18日(日)には51度を観測しましたが、今後はさらに暑くなって、19日(月)には52℃、20日(火)には53℃まで上がる見込みです。普段から暑いデスバレーですが、先週末からは格段に暑い天気となっています。

つまり、この尋常ではない暑さを体験するために観光客が増加しているというのです。

世界一の気温に疑問符

ところで、冒頭でデスバレーは世界で最も暑い場所だと書きましたが、その世界最高気温とは、1913年7月10日に観測された56.7℃です。

しかし、この数字に懐疑的な科学者たちもいるようです。

なぜかというと、その日デスバレーの周辺はそれほどの高温ではなかったからです。このため測器に異常があったのではないかと考えられています。過去にもリビアのエルアジジアで観測された58℃が、場所や計器に問題があったなどの理由から取り消しになり、世界一の記録が無効になったことがあります。

仮に、後にデスバレーの記録が無効になるようなことがあるとすると、約55度というのが今の世界第2位の記録ですから、20日(火)のデスバレーは世界最高気温の記録に近づく可能性が出てきます。

いずれにせよデスバレーは、全米一低い海抜マイナス86mで、かつ周囲を山に囲まれた砂漠の盆地で、その名の通り恐ろしく暑い場所なのです。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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