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ゴールデンウィーク前半の空模様と、空の上で飲む「トマトジュースの味」

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(ペイレスイメージズ/アフロ)

日本は世界でもとりわけ国民の祝日が多く、年間16日ありますが、その中でも最も多くの祝日が並ぶのが「ゴールデンウィーク」です。

成田国際空港会社によると、ゴールデンウィーク期間中の国際線の利用客は、前年同期比7.2%増の79万人を超え、1日当たりの旅客者の数が、2年連続で過去最高になる見通しとのことです。 

ゴールデンウィークのお天気予報

国内では、ゴールデンウィーク前半は全般的に晴れるところが多いのですが、29日(土)と1日(月)には大気の状態が不安定となり、局地的に大雨や落雷、突風が起こるおそれがあります。黒い雲が近づいてきたら、即座に建物の中に避難しましょう。

一方国外では、前線がハワイを通過するために、1日(月)にかけ大雨や落雷の予想が出ています。またスペインのマドリードでは、寒気の影響で、平年よりも10℃ほど低い気温となっています。

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空の旅と味覚

旅行の醍醐味の一つと言えば空の旅ですが、機内では味覚が少し変わってくるという話をご存知でしょうか。

それには、機内の気圧の低さ、乾燥した空気、そしてエンジンの騒音が関係しているようですが、一体どのように味が変わるのでしょう。

トマトジュースが機内で人気のワケ

地上ではそれほど人気のないトマトジュースですが、実は空の上ではよく飲まれる飲料の一つです。ルフトハンザドイツ航空が数年前に行った調査によると、トマトジュースはビールにほぼ匹敵するほどの人気ぶりだったようです。でもなぜでしょうか。

同航空会社によると、気圧が低く、乾燥していて、騒音のある環境では、塩味と甘味の感覚が30%落ちるのだといいます。つまり、機内では味に対して鈍感になるというのです。このために機内では、味の濃い食事が多く提供されています。

さらに、米・コーネル大学の研究によると、騒音の中で食事をすると、甘味への感覚が鈍くなる一方、うまみや酸味の感覚にはあまり変化がないことがわかりました。

総合すると、トマトジュースが機内で人気だったのは、味覚が鈍って味がマイルドになった上に、トマトのうまみと酸味が際立ったために、爽やかで美味しくなったというわけです。

機内でおいしい食べ物

うまみが含まれているのはトマトの他に、芳醇なチーズ、ベーコン、チキンスープ、ソテーしたマッシュルームや醤油などがあるようです。ちなみにうまみ成分は母乳にも多く含まれているようです。機内で飲む母乳はいつもより美味しいのか、ぜひとも赤ちゃんに聞いてみたいところですね。

また、機内では味のしっかりしたイタリア・オーストラリア・チリ・カリフォルニアなどの産地のワインが、味の上品なフランスやドイツワインよりも美味しく感じられるといいます。さらに、カレー・クミン・カルダモンなどの香辛料を使ったインド料理も好評なのだとか。

飛行機に乗ってご旅行される方は、こうした味の違いを楽しまれるのも面白いかもしれませんね。

<参考文献>

" Food in the air and space: The surprising history of food and drink in the skies"

Richard Foss著

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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