夏の甲子園に出場する珍しい名字の選手達 西日本編
6日開幕の「夏の甲子園」に出場する選手達の珍しい名字、続いて西日本編。
前回の東日本編同様、選手名簿は週刊朝日増刊号「甲子園2022」を使用し、漢字の新旧字体は同じとみなしている。
とくに珍しい、「外義」「岩来」
西日本の各校の選手でとくに珍しいのは、近江高(滋賀)の外義(そとぎ)選手と帝京五高(愛媛)の岩来(いわき)選手の2人。この2人の名字は東日本も含めて出場全選手の中で最も珍しく、おそらく両選手の親族のみ。
「外義」は大阪府にある名字で、近江高の外義選手も大阪府出身。一方「岩来」は奈良県の名字で、帝京五高の岩来選手もやはり奈良県の出身。これだけ珍しいと名字を見ただけで県外からの野球留学生であることがわかる。
次いで珍しいのが、帝京五高の灰咲(はいさき)選手、鳥取商の村奥選手、鹿児島実の駒寿(こまじゅ)選手の名字。
「村奥」は文字通り「村の奥」に住んでいた人が名乗ったもので、とくに珍しいという感じはしないが、実際には鳥取県岩美町独特の名字である。村奥選手も岩美町の出身。
「はいさき」は「拝崎」「灰崎」と書く名字もあり、これらの方がやや多いものの、いずれも稀少名字であることにはかわりない。このうち「灰崎」は佐賀県に地名があり、「灰崎」「拝崎」は九州北部に多い。「灰咲」は広島県の名字で、「灰崎」から漢字が変化したものか。
「駒寿」は鹿児島県いちき串木野市にある名字である。
最も珍しい名字はベンチ外に
実は西日本でも、最も珍しいのは下関国際高(山口)の方ヶ部選手になるはずだったが、背番号19の2年生ということもあり、甲子園ではベンチ外。地方大会でのベンチ入りは20人だが、甲子園では18人のため、甲子園出場が決まると2人はベンチ外となってしまう。
「方ヶ部」は極めて珍しい名字で、大阪府にごくわずかのみある。「ほうかべ」と読み、難読名字である「波々伯部」(ほうかべ)から漢字が変化したものだ。
珍しそうに見えて意外といるのが、興南高(沖縄)の東恩納選手。読み方は「ひがしおんな」である。
沖縄にある恩納ビーチは有名で、村名も恩納村。この恩納村の東側をルーツとする名字で、沖縄ではそれほど珍しい名字ではない。沖縄本島に広く分布しているが、恩納村には少ない。
そもそも沖縄の名字は独特で、興南高エースの生盛(せいもり)選手、4番を打つ盛島(もりしま)選手、キャプテンの禰覇(ねは)選手などの名字も沖縄独特の名字である。なお、「盛島」はかつて琉球王国の支配下にあった奄美大島にも多い。
興南高では我喜屋(がきや)監督の「我喜屋」という名字も、沖縄以外ではみられない。