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センバツ不出場組も近畿勢は強い! 夏の甲子園狙う強豪ずらり

森本栄浩毎日放送アナウンサー
相変わらず強い近畿勢。春は逃したが夏に甲子園を沸かせそうなチームは?(筆者撮影)

 大阪桐蔭の圧勝に終わったセンバツの余韻も冷めやらぬ中、春季大会が始まった。準優勝の近江(滋賀)を始め、近畿勢は出場7校中5校が初戦を突破するなど、相変わらず層が厚い。センバツを逃したチームにも、全国屈指の力を持つチームは少なくない。夏の甲子園を狙う近畿の強豪を府県別に紹介したい。

昨夏王者・智弁和歌山は大阪桐蔭に迫る実力~和歌山

 今春の和歌山勢は、市和歌山が8強入りし、初出場の和歌山東も初戦を突破して、全国屈指の実力県であることを証明したが、夏に巻き返しを狙うのが、昨夏の全国王者・智弁和歌山。昨秋は和歌山東の小刻みな継投策に競り負けて、近畿大会出場を逃した。投手陣に不安はなく、武元一輝(3年)は187センチの恵まれた体から最速148キロを投げる。同じ右腕の塩路柊季(3年)も甲子園で勝利投手になるなど経験豊富。捕手の渡部海(3年)は甲子園決勝で本塁打を放っていて、攻守でチームを牽引する。現状、全国を見渡しても、総合力で大阪桐蔭に一番迫っているチームだろう。北嵯峨、鳥羽、立命館宇治(いずれも京都)を甲子園に導いた卯瀧逸夫監督(73)率いる初芝橋本は試合巧者で、上位校はやりにくい。

履正社は新監督で大阪桐蔭に挑む~大阪

 センバツ優勝の大阪桐蔭と同8強の金光大阪がいる大阪は、毎年、夏の甲子園を巡る争いが熾烈を極める。夏に向けてはやはり、長く大阪桐蔭とライバル関係にある履正社の動向が気になる。昨秋、近畿大会初戦敗退でセンバツ絶望となってすぐ、多田晃監督(43)が就任した。コーチ経験も豊富で、指導面で選手たちが戸惑うことはない。投手は、増田壮今仲巧の左右2年生コンビが中心。攻撃面では、経験豊富な遊撃手の光弘帆高(3年)が勢いをつける。例年は、先行する履正社を大阪桐蔭が追いかける構図となっているが、今チームは履正社がかなり引き離されている。昨秋は3-5で敗れていて、まずは春の直接対決で、力関係を見極めたい。近年、大阪桐蔭を脅かす興国関大北陽近大付などが、金光とともに2強を追う。

涙のんだ京都国際、追いかける平安にはレジェンド参戦~京都

 まさかのコロナ禍でセンバツを逃した京都国際近畿でも大阪桐蔭に次ぐ実力と言われていただけに、夏に懸ける意気込みは相当なものがあるだろう。エース・森下瑠大(3年)は、低めに鋭い変化球を集め、三振の山を築く。打っても中心を担う注目選手だ。昨夏4強を経験した選手も多く、京都では最も甲子園に近い。盟主・龍谷大平安には、頼もしいレジェンドが指導陣に加わった。平成9(1997)年夏の準優勝投手・川口知哉氏(42)がコーチに就任し、原田英彦監督(61)をサポートすることになったのだ。長く低迷していた平安が復活し、京都の盟主に君臨できたのも、川口氏の活躍があったからこそ。エース・久門晨平(3年)ら投手陣がどこまで伸びるか、楽しみにしたい。秋、大阪桐蔭に真っ向勝負を挑んだ塔南京都外大西東山は投手力に優れる。

選手層厚い神戸国際大付に迫る報徳学園~兵庫

 センバツ初戦敗退の東洋大姫路には、履正社を退職した岡田龍生監督(60)が就任。センバツでゲスト出演いただいた際に「打てませんわ」と話していた通り、まずは打力強化を図る。夏の代表争いは激戦が予想されるが、選手層の厚さで他を圧倒するのが神戸国際大付

神戸国際大付の楠本は、昨夏甲子園8強に大きく貢献。層の厚い投手陣を引っ張る(筆者撮影)
神戸国際大付の楠本は、昨夏甲子園8強に大きく貢献。層の厚い投手陣を引っ張る(筆者撮影)

 186センチのエース・楠本晴紀(3年)は、左腕から力強い球を投げる。山里宝(3年)、松尾優仁(3年)ら攻撃陣も力があり、攻守がうまくかみ合えば夏の連続出場も有望になる。名門・報徳学園は、秋まで主戦だった大型右腕の正重恒太(3年)に加え、左腕の榊原七斗(3年)が成長し、投手陣は万全。打線の強化が4年ぶりの夏への課題になる。秋に優勝したは、投打のバランスがいい。近畿大会出場の神戸学院大付は、打線に力強さが欲しい。春の公式戦で神戸国際大付を破った神港学園も楽しみな存在だ。

2強の一角・智弁学園は下級生の成長に期待~奈良

 長く「2強」が牽引する奈良は、秋に明暗が分かれた。県で優勝しながら近畿大会で初戦敗退した智弁学園に対し、天理は4強入りしてセンバツをつかんだ。この2強の直接対決が甲子園の行方を左右することは間違いないが、例年に比べると、他校との差は小さい。昨夏甲子園準優勝の智弁は、ピークだった昨年からの反動もあってチームがやや小粒。安定感のあるエース・大坪廉(3年=タイトル写真)や甲子園でも投げた左腕の藤本竣介(3年)は計算できるが、松本大輝(2年)ら下級生中心の攻撃陣は成長途上で、夏までにどこまで伸びるか。近年、天理に2度、土をつけている高田商は、同タイプの右腕・中村真実(3年)、鶴川内陽(3年)がいて、投手力に自信を持つ。奈良大付も安定して強く、2強にとっては油断ならない。

常勝・近江に挑む投手力の滋賀学園、八幡商~滋賀

 近江のセンバツ準優勝に沸く滋賀は、投手力のいいチームが多い。近畿大会で天理に延長で惜敗した滋賀学園は、本格派エース・服部弘太郎(3年)に注目したい。打線も前チームから4番を打つ鈴木蓮(3年)が健在で、陣容では近江に引けをとらない。秋に優勝した八幡商は、主戦の有園航大(3年)や、秋は抑えで活躍した石田大和(2年)ら、多彩な投手陣が看板。昨夏も近江を最も苦しめていて(4-6で惜敗)、打線の対応力が増せば、古豪復活も夢ではない。昨春の近畿大会で大阪桐蔭に5-7と善戦した綾羽は、エース・野村亮輔(3年)を軸に初の甲子園を狙う。北大津を春夏計6度、甲子園に導いた宮崎裕也監督(60)率いる彦根総合はまだメンバーが3学年揃っていないが、近い将来「打倒近江」の一番手になるだろう。

春の近畿大会は和歌山で開催

 春の府県大会上位校は、5月21日から和歌山市の県営紀三井寺球場で行われる近畿大会に出場する。ホスト県の和歌山から3校、その他は優勝校の計8校が春の近畿王者を懸けて戦う。レベルの高い和歌山3代表が府県優勝校と対戦するのは興味深く、夏の甲子園へ弾みがつくような試合が見られることを期待したい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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