大エースVS.複数投手! 球数制限迫るセンバツ準決勝

センバツは4強が決まった。2試合とも大エース対複数投手の構図となる(筆者撮影)

 センバツは4強が出揃った。休養日を挟んでの準決勝は、2試合とも、一人のエースに頼るチームと複数投手で勝ち上がったチームの対戦となった。1週間で500球以内という球数制限も立ちはだかる

天理(奈良)-東海大相模(神奈川)

大黒柱・達の天理と3試合とも先発異なる相模

 193センチの大型右腕・達孝太(3年=タイトル写真)が、ほぼ一人で投げた天理に対し、1、2回戦でエース左腕の石田隼都(3年)を控えに回した東海大相模。その石田が準々決勝で3安打完封し、門馬敬冶監督(51)にとっては、選択肢が一気に増えた。1回戦先発の石川永稀(3年)と2回戦先発の求航太郎(2年)はともに右腕で試合を作れる。今後は石田を救援待機させることもできるからだ。一方の天理は、達に全てを託す。

勝負強い天理打線に相模は打線復調気配

 攻撃力は互角だ。天理は、苦戦が予想された仙台育英(宮城)の投手陣を打ち崩した。中盤に相手エースから大量得点したが、全て2死からで、勝負強さが際立つ。主砲の瀬千皓(3年)は変化球への対応が素晴らしく、「体がよく反応してくれた。自信を持って打席に立っている」と胸を張る。下位では9番の政所(まどころ)蒼太(3年)が6安打5打点とポイントゲッターになっている。一方、低調だった相模の打線は、準々決勝で14安打8得点とようやく復調の気配がみえてきた。門馬監督は、「結果が出ていなかったので、積極的に振りにいかせた」と話し、達に対しても真っ向勝負を挑む構えだ。

球数制限関係なしの達

 日程運に恵まれている達は、このまま決勝まで投げ続けても3試合分しかカウントされないため、球数制限に抵触することはなさそう。準々決勝でも164球を投げたが、大量リードがあったため、消耗しそうな場面は少なかった。ただし、8四死球はいただけない。相模の攻撃は多彩で、機動力も使ってくる。急性胃腸炎でベンチを外れた大塚瑠晏(3年=主将)が復帰すればさらに手強い。天理は早めの援護で、達にリラックスした状態で投げさせたい。

明豊(大分)-中京大中京(愛知)

3投手役割分担が決まる明豊

 3人の鮮やかな継投が決まって、智弁学園(奈良)の強打をかわし、逃げ切った明豊と、剛腕・畔柳亨丞(3年)が孤軍奮闘の中京大中京。第1試合とよく似た構図だ。特に明豊は役割分担が鮮明で、右腕・京本眞(3年)と左腕・太田虎次朗(3年)のいずれかが先発し、最後を右横手の財原光優(3年)で締めるパターンが決まっている。特に新戦力の財原は球威があり、左打者への投球にやや不安はあるが、緩急が武器の京本、太田の後で出てくると、各打者は対応が難しい。

畔柳に迫る121球の球数制限

 ここまでの3試合中2試合で完封の中京・畔柳は、球威、制球とも申し分なく、準々決勝は味方の序盤からの援護もあって、楽な投球だった。しかし9回に力みが出て、最終的には138球を要した。初戦の登場が最後だった不運もあり、1週間で4試合目となる準決勝では、121球しか投げられない。このルールは、単純に球数そのものを制限するので、投手がどれだけ消耗しているかは関係ない

展開左右する畔柳の起用法

 相手打線の力量や畔柳の疲れを考えると、121球での完投は非現実的だ。畔柳は、「打たせてとる投球をしたい」と話したが、121球を意識して攻撃できるのは、明豊にとって大きなアドバンテージになる。中京の高橋源一郎監督(41)は、「次の試合は継投を考えないといけない」と、畔柳の先発回避の可能性をにおわせた。畔柳の起用法によって、展開も戦略も大きく変わる。いずれにしても、中京は目先を変えてくる明豊の継投に惑わされることなく、好機で確実に得点したい。

このルールは再考の余地ありか?

 同じように一人のエースに頼るチーム構成でも、初戦の登場順によって、ここまで差が出ると不公平感が拭えない。また、物理的に球数だけをカウントするのは、科学的な根拠にも乏しい。気温や試合内容によって消耗度は絶対に違うはずだし、ブルペンや試合間の投球練習はカウントされない。このままだと、ルールによって試合が壊されることにもつながりかねない。夏の地方大会や甲子園の本大会までに、余裕のある日程にするか、500球を緩和しないと、ルールに泣かされるチームが続出することになるだろう