ドラフト候補目白押し!  やはり近畿は逸材の宝庫だった!  

ハイレベル近畿大会終了。小園、松浦、関戸らのドラフト候補が活躍した(筆者撮影)

 強豪がしのぎを削った近畿大会。有力選手が目白押しで、それらのドラフト候補たちが期待通りの活躍を見せた。来春のセンバツで必見の選手たちを一挙、紹介する。

高橋宏に匹敵する市和歌山・小園

 投手では市和歌山の最速152キロ右腕・小園健太(2年)の名が真っ先に挙がる。

早くもドラフト上位候補の呼び声高い小園は、近畿大会でも3試合22回で10安打21三振の失点1。適時打なしで打たれた印象はまったくない(筆者撮影)
早くもドラフト上位候補の呼び声高い小園は、近畿大会でも3試合22回で10安打21三振の失点1。適時打なしで打たれた印象はまったくない(筆者撮影)

 いかにも投手らしい185センチのすらりとした長身で、ムダのないフォームから力強い球を投げる。カットボールと二種類のツーシームでコーナーをつくが、変化球の精度は極めて高い。フォークのように深く握って大きく落とすツーシームは、高校生ではまず対応できないだろう。本人は、「アベレージで140後半のまっすぐが理想」と話し、最速更新に興味はないようだが、試合の後半でも球威は落ちず、好不調の波も小さい。勝負所で力を入れて三振を奪える強みもある。バッテリーを組む松川虎生(こう・2年=主将)とは中学時代からのコンビで、まさに阿吽の呼吸。テンポも良く、バックの好守を呼んでいる。敗れた智弁学園(奈良)戦では救援に回り、4回を1安打に抑えて6三振を奪い、大会屈指の打線も牛耳った。昨年のこの時期の高橋宏斗(愛知・中京大中京~中日ドラフト1位)に匹敵する好投手だ。松川とともに注目したい。

大阪桐蔭の松浦は150キロ

 準優勝に終わった大阪桐蔭では、入学時から注目された松浦慶斗(2年=タイトル写真)と関戸康介(2年)の左右二枚看板がクローズアップされる。最速150キロの松浦は、北海道旭川市出身。186センチの恵まれた体格で、春夏連覇時の先輩・横川凱(巨人)を彷彿とさせる。今夏の甲子園交流試合でも東海大相模(神奈川)戦で2回をパーフェクトに抑え、投球内容ではすでに同時期の先輩を凌ぐ。変化球もスライダー、カーブ、ツーシーム、スプリットと多彩だが、近畿大会では制球重視で力感に乏しかった。「初球や先頭打者への入りが課題」と話すが、小さくまとまるような器ではない。速球をさらに磨いて、相手を圧倒するような投球を期待している。

世代最速の関戸は154キロ

 関戸は高知の明徳義塾中から、出身地の長崎へ転校して大阪桐蔭にやってきた。夏の大阪独自大会で自己最速の154キロをマークしたが、現在の高2世代では関戸の154キロが最速である。大阪大会の終盤は足の故障で登板がなく、近畿大会では初戦の長田(兵庫)戦と、決勝の智弁戦に救援でマウンドに上がった。智弁戦では暴投などが絡んであっさり失点。さらに相手の主砲・前川右京(2年)に手痛い一発を浴びるなど不本意な内容で、本調子にはほど遠かった。エースナンバーは松浦に譲っているが、甲子園では背番号1を奪うくらいの気持ちで、冬の練習に励んで欲しい。

中学日本代表主将の池田

 大阪桐蔭投手陣では、右腕の竹中健登(2年)が救援で活躍した。ピンチの場面で登板することが多く、落ち着いた投球で相手に流れを渡さない。攻撃陣では1年秋からレギュラーの4番・池田陵真(2年=主将)の存在感が際立っている。

大阪桐蔭の4番・池田は勝負強さが際立つ。前後にも強打者がいて、ひとたび打線に火がつくと止まらない(筆者撮影)
大阪桐蔭の4番・池田は勝負強さが際立つ。前後にも強打者がいて、ひとたび打線に火がつくと止まらない(筆者撮影)

 中学日本代表でも主将で、夏までの前チームでは1番。趣味が筋トレというだけあって、ユニフォームがはちきれんばかりの筋肉質だ。中学時代は捕手で肩も強く、三拍子揃っている。池田の前を打つ宮下隼輔(2年)は、思い切りのいいスイングが魅力で、天理(奈良)戦では、試合の行方を左右する3ランを放った。5番の前田健伸(2年)は左の強打者で、智弁戦で左腕のインサイド高めを本塁打するなど、パワーだけでなくうまさも兼ね備えている。故障でベンチ外だった選手にも逸材がいて、同校の選手たちは一様に甲子園で一気にブレークする可能性を秘めている。

智弁の前川は決勝でアーチ

 優勝した智弁学園では、1年から中軸を打つ前川右京(2年)が傑出している。

入学早々から名門の主軸として活躍する前川は、徹底マークもつなぎに徹して好機をたびたび演出した(筆者撮影)
入学早々から名門の主軸として活躍する前川は、徹底マークもつなぎに徹して好機をたびたび演出した(筆者撮影)

 決勝で関戸から放った高校通算29号本塁打は、内角低めをすくい上げたもので、前川らしい豪快な当たりだった。各校のマークが厳しく、ほとんどまともに勝負してもらえなかったが、つなぎに徹して四球もいとわず、精神的にもたくましくなったように思う。それだけに、最後の最後に出た一発で気分的にもスッキリしただろう。前川がマークされたため4番を打った山下陽輔(2年=主将)の役割が重要だったが、重圧に耐え、好機で快打を連発した。4試合で15打数10安打2本塁打の6打点は出色で、甲子園でもこの両者がうまく連動すれば、一気に得点力が増す。

智弁投手陣は二枚看板

 投手陣も強力二枚看板だ。左腕の西村王雅(2年)と右腕の小畠一心(2年)は、ともに実戦派で入学早々から公式戦で投げるなど経験値も高い。特に西村は、夏に甲子園で高橋宏と投げ合って自信をつけた。近畿の初戦で四死球から崩れる悪癖が顔を覗かせかけたが、2戦目以降は危なげなかった。投手らしい勝気な性格で、準決勝で小畠が完投勝ちすれば、決勝では自身が大阪桐蔭に完投勝ちするなどライバル心をむき出しにした。スタミナも心配なく、両投手をうまく使い回せれば、甲子園でも上位が望める。

神戸国際大付の阪上は復調なるか

 ひじのじん帯の炎症で準々決勝での登板を回避した神戸国際大付(兵庫)の阪上翔也(2年)は、初戦にすべてをぶつけた。

神戸国際大付の阪上は近江戦で3安打2失点の完投勝ち。センバツへ大きく前進する価値ある勝利だった(筆者撮影)
神戸国際大付の阪上は近江戦で3安打2失点の完投勝ち。センバツへ大きく前進する価値ある勝利だった(筆者撮影)

 180センチの右腕で、最速は145キロ。キレのいいスライダーやスプリットなどを低めに集めて三振を奪う。県大会終盤からひじの不安を抱えた中で、「2年続けて近畿は初戦で負けているから何とか1試合だけは」という青木尚龍監督(56)の祈りにも似た起用に応え、力投。粘りの投球で近江(滋賀)に逆転勝ちした。春には万全の状態で戻ってきてもらいたい。

将来性なら天理の達

 出場は微妙だが、天理達孝太(2年)は将来性ナンバーワン。

天理の長身エースの伝統を受け継ぐ達は、連投となった大阪桐蔭戦で100球を超えてつかまった。コールド敗退でセンバツは微妙な情勢だ(筆者撮影)
天理の長身エースの伝統を受け継ぐ達は、連投となった大阪桐蔭戦で100球を超えてつかまった。コールド敗退でセンバツは微妙な情勢だ(筆者撮影)

 193センチの長身から最速145キロの角度ある直球に、スライダー、フォークなどの変化球もいい。昨秋の大阪桐蔭との近畿決勝で好投して俄然、注目されたが、夏の甲子園交流試合でもさらに成長した姿を見せた。近畿大会では連投を強いられ、大阪桐蔭の猛打を浴びてコールドで散り、来春の甲子園はピンチ。「低めの変化球で空振りを取るつもりだったが、見極められ苦しかった」と相手の対応力に脱帽したが、前日の乙訓(京都)戦では、13三振を奪っていて、万全の状態なら打ち崩すのは至難の業。奈良大会ではライバルの智弁に完投勝ちしていて、実力は自他ともに認めるところ。マスクもスタイルもトップ級で、甲子園に出ればヒートアップすることは間違いない。

乙訓のパワー投手北見

 その達と互角に渡り合った乙訓北見隆侑(りゅうすけ=2年)も楽しみだ。

乙訓の北見は実力を存分に発揮した。味方の好守もあって力投し、9回を8安打8三振で2失点。9回2死から盗塁を許して前進守備の外野の頭を越された(筆者撮影)
乙訓の北見は実力を存分に発揮した。味方の好守もあって力投し、9回を8安打8三振で2失点。9回2死から盗塁を許して前進守備の外野の頭を越された(筆者撮影)

 175センチ88キロのがっちりとした体から威力十分の速球を武器に真っ向勝負を挑む典型的なパワー投手で、近年、好投手を相次いで輩出している同校の期待を背負う。最速は142キロだが、それ以上の球威を感じさせる。天理戦では9回2死から長打で決勝点を奪われ、「達君に投げ勝ちたかった」と初戦敗退に悔しさをにじませた。市川靖久監督(37)は、「最後はボールが浮いてきた。9回を投げ切る力をつけないと」と課題を与えたが、チームは京都3校でも一番安定した試合運びができる印象で、公立の雄として夏の甲子園初出場も夢ではない。

滋賀学園・阿字と智弁和歌山の中西も注目

 初戦で智弁との壮絶な延長戦で逆転サヨナラ負けを喫した滋賀学園阿字悠真(2年)と智弁和歌山中西聖輝(2年)も右腕の好投手。阿字は180センチで最速145キロを誇る。制球に不安を残すが、得意のスプリットが決まれば簡単には打たれない。県内公式戦34連勝中だった近江に土をつけ、自信を深めた。

智弁和歌山の中西は、初回に制球を乱して押し出しで痛恨の2失点。これが命取りになり、市和歌山に敗れた(筆者撮影)
智弁和歌山の中西は、初回に制球を乱して押し出しで痛恨の2失点。これが命取りになり、市和歌山に敗れた(筆者撮影)

 中西も181センチの右の本格派で、143キロの速球にスライダー、チェンジアップを交える。1年時から公式戦登板もあり、4番の徳丸天晴(2年)とともに、名門で投打の柱を形成する。この両校は、センバツ出場がかなり厳しい状況ではあるが、チームとしては全国でも通用する力がある。

1年生の森下と平野で躍進の京都国際

 4強入りし初の甲子園が有望な京都国際は、1年生の活躍で勢いに乗った。エース左腕の森下瑠大は打っても非凡で、先発しない試合では4番に座る。大阪桐蔭を5回まで1安打に抑えた平野順大は、大きなカーブの制球が抜群で、両者とも緩急を使えるのが強み。平野も3番を打ち、この1年生コンビの働きがチームの浮沈のカギを握る。また、初戦で敗れたが、近江の1年生エース・山田陽翔も有望だ。神戸国際大付との試合は、勝ちパターンの抑えで起用されたが、8回に足がつるアクシデントで暴投を連発し、まさかの逆転を許した。144キロの速球にスライダーとフォークも一級品で、この悔しさを糧に夏には本格化してくるだろう。

センバツがあると信じて

 全国的に見ても、近畿は例年以上に逸材が多い。特に現在の2年生世代は、来秋のドラフトをにぎわせそうだ。小園、松浦、達は上位候補に挙がってきそうだし、前川はトップランクの強打者。しかし、甲子園が開催されなければ、力のある選手、将来有望な選手も、本領を発揮できない。選手たちには、センバツが必ずあると信じて、長い冬を有意義に過ごしてもらいたい。