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藤井聡太八冠、朝日杯2年連続5回目の優勝なるか? 2月10日、準決勝で早指しの雄・糸谷哲郎八段と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月10日。東京都千代田区・有楽町朝日ホールにおいて第17回朝日杯将棋オープン戦準決勝、決勝の対局がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。

 朝日杯は持ち時間は各40分で、使い切ったら一手1分未満で指す、早指しの棋戦です。

 10時15分に始まる準決勝のカードは以下の通りです。

 藤井聡太八冠-糸谷哲郎八段

 永瀬拓矢九段-西田拓也五段

 勝者は14時15分から始まる決勝に臨みます。

 前年度優勝者の藤井八冠にとっては2年連続5回目の優勝がかかっています。

注目の好カード

 藤井八冠は今期、斎藤慎太郎八段、増田康宏七段に勝ってベスト4に進みました。

 糸谷八段は将棋界を代表する早指しの雄。各棋戦で上位進出の常連ですが、朝日杯ではまだ優勝の経験がありません。

 昨年の準決勝では渡辺明名人(現九段)と対戦し、終盤で優位に立ちながらも、痛い逆転負けを喫しています。

 今期は井田明宏四段、久保利明九段に勝って2年連続でベスト4進出を決めました。

糸谷「次は藤井さんなんですけれども。公式戦では(過去に7戦して)勝ったことがないので、初勝利を飾れるようにがんばりたいと思います」「負け続けてるんで、あまりえらそうなことは家ないんですけれども、引退までにとりあえず1つは勝ちたいので(笑)。当たれるうちにとりあえず1つは勝ちたいので、がんばりたいと思います」

 藤井八冠と糸谷八段は、直近では2023年11月、将棋日本シリーズ・JTプロ公式戦決勝で対戦しました。棋譜は公式ページをご覧ください。終盤まで勝敗不明の熱戦となり、最後は149手で藤井八冠が勝っています。

 藤井八冠は相手のどのような注文にも堂々と応じる、王道の姿勢。糸谷八段は一手損角換わりや右玉などを好む力戦派です。まずは糸谷八段がどのような作戦を選ぶのかが注目ポイントでしょう。

藤井八冠、年間最高勝率の可能性も

 藤井八冠は2月8日、王将戦七番勝負第4局で菅井竜也八段に勝利。シリーズを4連勝で制して防衛を達成しています。

 藤井八冠の今年度成績は41勝6敗1持将棋となりました。(未放映のテレビ対局をのぞく)。

 勝率は0.872で、これまでの史上最高勝率0.855(1967年度、中原誠五段)を超えるペースです。

 ほとんどトップクラスの棋士を相手にして、信じられないようなハイアベレージですが、中原現16世名人の持つ不滅の記録更新も、いよいよ現実味を帯びてきました。

 藤井八冠はここから朝日杯であと2勝(優勝)、NHK杯であと2勝(優勝)、棋王戦五番勝負で3勝(防衛)をあげると、最大7勝を積み上げることができます。

 もし7勝すれば2敗まで、6勝以下ならば1敗までが史上最高勝率更新の条件となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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